17
胸元に輝くルビーをわたしはベッドに寝そべりながら、ひたすらに眺めていた。
今でも昨日の出来事が鮮明に思い出される。二人で薔薇咲く庭を歩いて、会話して、ルークはわたしにプレゼントをした。嬉しくって堪らない。わたしはそのときめきのまま、枕に顔を埋め、足をばたつかせた。
さて、この嬉しさをどうしようか。せっかくなら、この気持ちを形にしてルークにお返ししたい。わたしの感謝の気持ちをどうか受け取って欲しい。
あ、そうだ! こうしよう!
わたしは顔をあげ、急いでメイドを呼び、街へと飛び出していった。
◇◇◇◇
わたしは街へ行った直後にルークの自宅へ寄った。
「ごきげんよう、ルーク」
「やぁ、昨日ぶりだね」
ルークはわたしの訪問に驚いた様子であった。わたしは応接間に通された。
「それでどうしたの?」
「わたし、昨日のプレゼントがとっても嬉しかったの。だから、わたしもあなたにプレゼントしに来たのよ」
わたしは買ったばかりの箱を取り出し、そのままルークに手渡した。
ルークは戸惑いながらも、そのリボンを解き、箱を開けた。
「わぁ、サファイアだ。僕の瞳の色と同じ色だね」
「気づいてくれた? あなたがわたしを想ってくれたのと同じように、わたしもルークを想って買ったのよ」
わたしがルークにあげたのはサファイアのペンダントである。ルークは早速、自身の首元に身に付けた。窓からの光を受け、煌めくサファイアは彼の青色の髪の毛や褐色の肌、そして海のように深い青の瞳によく似合っていた。
「わたし思ったの。このペンダントはわたしたちの共犯者としての証ってね。どう? 少しロマンティックだと思わない?」
わたしは首にさげたペンダントを手に取り、ルビーを光りに照らした。これから、どんなことが起こっても、わたしはこれを外すことはないだろう。そう、わたしたちの目的を果たすまでは。
「うん、素敵な考えだね」
ルークは優しく笑った。
太陽光溢れる応接間の中で赤と青が静かに輝いていた。




