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今のわたしに必要なことといえば明確である。それは特訓だ。


 先日、ヘンリー王子が家に訪れ、わたしはクロサリア魔法学園に通うことになるとヘンリー王子は告げた。もし、わたしがそこで優秀な成績をおさめれば、物事はわたしの思い通りに動きやすくなるのではないか。わたしの正しさがこの国を変える現実に一歩近づくのではないだろうか。そのためには、今から魔力を磨いて、少しでもいい状態で入学するしかない。今、わたしは7歳であるから、入学するまであと7年ある。この期間の間、わたしは魔力の特訓と知識教養を身につけることに費やすしかない。頑張るわよ、絶対に成績優秀者、1位で入学してやるんだから。


 早速、わたしはベッドから飛び上がり、特訓をすることにした。


 しかし、何をしようか。突っ立ったままで答えが出てこない。とりあえず、この前ルークの家でしたように手のひらに魔力を出してみよう。


 えい。魔力を出そうという意思と共に手のひらには黒い渦が巻き上がっている。ここまでは何の苦労もなく、魔力を扱えるようになった。きっとルークの家での体験が着火剤となって、わたしの魔術師としての体質を向上させたのだと思う。


 でも、手のひらに魔力を浮かべただけじゃ何のためにもならない。きっとこの魔力を活用して、頭に浮かべる目標のために、ただの力から何かを成し遂げる為の手段にしなくてはいけないのだ。


 他の人はどう魔力を活用しているのだろう。わたしは疑問に思い、部屋を飛び出した。


 大体何の予定もない昼間の間、お母様は書斎にいることが多い。今日も例外なく、お母様は書斎にいた。


 「ねぇ、お母様」

 「なぁに? エレノア」


 お母様は読んでいた本を閉じ、こちらを優しい眼差しで見つめている。


「お母様は魔法をどんなことに使っているの?」


「そうねぇ。魔法も最近はめっぽう使わなくなってしまったから……」


 お母様は少しの間考え込み、こう言った。


「お母様は水の魔法を使えるんだけど、エレノアくらいの時はお気に入りの薔薇に水をあげてたりしてたわ。あと、水で何かの形を作るのが好きで、よく水でイルカのオブジェを作ってたりしてたわ」

「……こんな具体例で、いいのかしら」


「えぇ、もちろんよ、お母様。教えてくれてありがとう」


「魔法の勉強、頑張っているのね。偉いわ、エレノア。その調子でもっと頑張るのよ」


「はい、お母様。では早速勉強してきますわ」


 わたしはそう言うと、書斎をあとにした。

 

 お母様は水の魔法だから、水ならではの特訓をしてたということなのね。なら、わたしは闇の魔法ならではの方法で魔法を磨くのが良いのかも知れない。


 闇の魔法は何に使えるのだろう。……ぱっと思いついたのはブラックホールであった。なんでも吸い込んでしまう宇宙の産物。でも、そんなもの日常で使わないだろうし、あまりにも危険なのでは……?


 わたしは廊下を歩きながらふと悟った。……もしかして、闇の魔法って使い勝手悪い? 闇の魔法の持ち主が身近にいなくて、参考例がいないせいか、火や水や風や地の魔法よりも幾分かわかりにくく、難しいように感じられた。


 部屋に戻ったわたしはため息をついて、椅子に座った。しかし、ここで落胆しているわけにはいかない。わたしはぐっと拳に力をいれ、背筋を伸ばす。


 いくら闇の魔法の使い勝手が悪いとしても、ここで諦めるわけにはいかないわ。闇の魔法が珍しいのなら、それだけわたしが逸材になれる可能性も上がるのだから、精進するに越したことはないわ。とりあえず、お母様が言っていたオブジェを真似してみよう。今は手のひらに渦しか出せないけど、これを好きな形にできるよう努力してみよう。


 わたしがそう決意したとき、ドアが三回ノックされた。


 

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