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剣闘士(タイトル未定)

個人的には好きですが膨らまなかった

コツ、コツ、コツと足音を立て男が進む。


左右の壁が今にも男の肩に触れそうなほどに、暗く、狭い通路だ。

ただ天井のみが高く、いびつな空間を進む男の姿は処刑台に向かう罪人を思わせた。


暗い通路が行き止まり、男が鉄格子(てつごうし)

前に立つ。漏れる日の光が男の姿をうっすらと照らした。


逞しく、美しい男だ。

顔の造形ではない。彫刻のように鍛え上げられた肉体に幾筋も残る傷痕が凄みを加え、見るものの目を惹き付けやまない迫力がある。


『冷酷無比!! 正体不明の殺し屋!! 無敗の100人殺し!! その名も――黒い稲妻クズミー、ヨシヒコ!!』


どこからか声が響き、鉄格子が上がる。

男は日の光の中、兜のフェイスガードをおろした。

右手に剣、左手に盾、半裸の肉体に要所を守る革鎧。

典型的な剣闘士の姿がそこにある。


「クズミ! クズミ! クズミ! クズミ!」


大歓声が男――クズミヨシヒコを包む。

それに応えるように剣を突き上げると「ワッ」とコロシアムが揺れた。


男の対戦相手はすでに待ち構えている。

リザードマンかであろうか、顔を隠した兜からチラチラと長く赤い舌を動かした。

魚を模した兜に鱗のような金属片をつけた亜人闘士と呼ばれるスタイルである。

剣闘士と一口に言うがその出で立ちは微妙に差異があるものなのだ。


リザードマンの闘士は2度、3度と剣で盾を叩き、クズミを威嚇し、クズミは応じて剣を軽やかに回した。


ただ、これだけで観客は喜び声を上げる。

この戦いは本日のメインイベント、人気の剣闘士同士の戦いなのだ。


じり、じり、と間合いを詰める両者は互いに剣を突き出し、盾で弾く。

はじめの軽い牽制から徐々に剣擊は激しさを増し、戦いにリズムが生まれる。


この均衡を破ったのはリザードマンだ。


一定のリズムが生まれた戦いを破壊するかのごとく、直線的に荒々しく盾を繰り出す。

盾は守るだけでなく、敵を砕く武器なのだ。

続けて鋭く剣を繰り出す。

剣、盾、剣、盾、そのコンビネーションは徐々に速度を上げ、暴風のように攻めたてた。


この変化を嫌ったか、クズミは後ろに転がりながら距離をとる。

だが、リザードマンはそれを許さず、大振りの攻撃で追撃を仕掛けた。


リザードマンが追い、クズミが逃れる。

この激しい動きに観客は総立ちだ。


観客は血の予感に酔いしれ「オッ!オッ!オッ!」と合唱を始めた。

これは剣闘士の戦意を煽っているのだ。


リザードマンは勢いに乗り、大振りに盾を繰り出した。

その瞬間、クズミが跳んだ。


転がる動きから、盾を飛び越え剣を繰り出す。

そしてその刃先は深々とリザードマンの首筋をえぐった。


敷き詰められた白い砂に、青い鮮血が模様を描く。

リザードマンは首筋を押さえながらふらふらと数歩進み、大の字にひっくり返った。


あまりに呆気ない決着。

観客は静まり返る。


クズミが天に剣を突き上げると、コロシアムが大歓声で揺れた。


「クズミ!! クズミ!! クズミ!!」


この男の名は久住義彦。

この闘技場において無敗を誇るチャンピオンであり――


日本からの転移者である。

これは頭の勢いがあるので1話だけ置いておきますね

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― 新着の感想 ―
[一言] 天下一武闘会みたいな なーロッパベースのなんちゃって剣闘ではなく 古代ローマ剣闘を調べた上での作品なら ファンタジーでも時代小説風でも どちらでも良いのでお願いします
[一言] なーロッパベースのなんちゃって剣闘ではなく 古代ローマ剣闘を調べた上での作品なら ファンタジーでも時代小説風でも どちらでも良いのでお願いします
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