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覇王別姫

これは項羽と劉邦の話をなろうで連載している先生にプレゼントとして書いたやつを連載化しようとしたものです。

やっぱりマイナーな時代だと説明ぽくなって断念した経緯があります。

紀元前205年、彭城

中国――現在の江蘇省徐州市



始皇帝の死後、世は麻のように乱れ、各地にて英雄豪傑がしのぎを削る乱世の様相をしめしていた。


そして今、ここでも1つの戦いが始まろうとしている。

50万人が駐屯する城塞に3万人の軍が攻撃を仕掛けるのだ。誤記ではない。


戦をまえに3万の将帥は敵に大軍の油断があると断じ、味方を鼓舞した。

メチャクチャな理屈――だが、その軍には男の言葉を疑う者はいない。

その男の示し続けてきた武威が、圧倒的な説得力となり兵卒にいたるまで染み渡っているのだ。

兵たちは大軍を前にして怯むことなく、歯を剥き出しにして笑う者すらいる。

3万人の士気は天を焦がすほどに熱く燃えたぎっていた。


その味方の様子に満足し、3万の将帥は「我に続け」と自ら(ほこ)を手に、馬上先頭を駆け敵陣に踊り込んだ。


そして、それは起こる。


それは、目を疑うような光景であった。

男が吠えれば天を裂き、その気迫は地を揺るがす。

否、この表現ではまだ足りぬ。

男の戦いはまさに筆舌に尽くしがたいものだった。


その将帥が戈を振るうたびに敵兵が死に、血の華が咲く。馬首を向ける先で示し合わせたように敵陣が崩れる――尋常ではない。


その男の武勇は絶倫だった。

その姿に敵は怯み、味方は励まされる。


男の闘志は伝染し、3万の軍は(きり)を揉みこむかのごとく敵陣に食い込み、引き裂いていく。

その軍は1つの意思のもとで完全な動きを見せたのだ。

それは一種の奇跡だろう。


戦とは水の流れに似ている。誰かが逃げれば流れとなり、つぎつぎと兵は流されていく。

戦況が傾けばその流れを押し止めるのは難しい。

なにせ50万もの大軍が作り出した流れだ。


見るも無惨に50万の軍勢は打ち砕かれ、10万もの戦死者を出して壊滅した。

さらに逃げ遅れた兵士は川に追いたてられ、将棋倒しとなり10万以上が溺死した。

その損害は20万とも30万以上ともいわれる。数えるのも馬鹿馬鹿しいほどの死者は比喩ではなく地を覆い隠し、川の流れを止めた。


驚くことに3万人の軍勢には目立つ損害はない。

まさに完勝である。


たった1人の資質が、圧倒的に勝る大軍を撃破したのだ。


この史上にも稀な大勝利をもたらした男の名は項籍、(あざな)を羽という。


その武勇で天下をつかみ、覇王と呼ばれた英傑。

70に余る戦の末、一度しか敗れなかった天才。


この男の名を不朽にしたこの戦は『彭城の戦い』と呼ばれ、今なお色褪せることはない。


とりあえずはここまでにします。


これいいじゃん、読みたいよ、などのご意見がありましたら連載化にむけて……無理かなあ

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