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剣の王

『なんて美しい剣なんだ!』


少年はひと目で心が奪われた。


それほど美しい剣だった。

さして華美ではない、むしろ柄や鍔(ヒルト)などは無骨な長剣だ。


だが、薄く樋の入った輝く剣身はいかにも頑強、ある種の霊力すら感じられる。


最近の流行は柄頭(ポンメル)(シース)を銀や彫刻で飾り立てるものばかりだ。

だが、そんなものは邪道であると少年は思っていた。


剣の本体はやはり剣身なのだ。

鞘をピカピカに飾りたてたところで、かえって持ち手がみすぼらしく見えるとすら考えていた。


そう考えると、鍛冶場の親方が客に見せている長剣はまさに非の打ちどころのない出来栄えである。


『ああ、なんてすごい剣なんだ!』


思わず少年が身を乗り出した瞬間「バカ野郎!」と怒鳴られ、上半身裸の髭面にぶん殴られた。鍛冶場の親方だ。


「またオメエかアーサーッ! 鍛冶場をのぞくんじゃねえと何度言ったら分かるんだ!」


鉄を鍛える技は鍛冶場の秘伝。

いかに下働きといえど盗み見ては殺されても不思議ではない。


「……すいません親方、砂鉄を置きに来ただけなんです」

「ふん、とっとと泉に戻って作業を続けろ! まだ日が高いうちから怠けるんじゃねえ!」


親方に怒鳴られながら、少年はトボトボと泉へ向かう。

少年は鍛冶屋の下働きなのだ。


この地には鉄の湧く不思議な泉があり、その湖底から砂鉄をさらうのが下働きの主な仕事だった。

もう春だというのに泉の水は身を切るのように冷たく、親方に殴られた頬はいつまでもズキズキと痛い。


(畜生め)


少年はなぜか剣が好きだった。

だから働き口を求めて貧しい生家から出たとき、鍛冶場の下働きになったのだ。


(俺だって、あの剣があれば)


だが、現実は甘くはない。

一族でもない下働きが鉄を鍛えることなどありはしないのだ。


(畜生、畜生め)


毎日毎日、うんざりとするような砂鉄集めを気の遠くなるほど、年を取り、体が動かなくなるまで続けるのみだ。


素早く水中でふるい(・・・)を動かし、泥を除けて黒い砂鉄のみを集める。

終わりの見えない、つらい重労働だ。


(剣さえ、俺に剣さえあれば)


悔しさではない、怒りだ。

怒りが涙となって頬をつたう。


この少年の名はアーサー。

いずれ王となる運命の少年だ。


だが、その運命を誰もが、本人すら知る由はなかった。

これ、アーサー王のつもりで書いてみました。

スマホゲームでアーサー王が流行ってたから考えてみたやつです。

アーサー王が女の子じゃないってクレーム来たら嫌だなあって考えてたら萎えちゃったんです。

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