第二十話
俺達は昼からクィリナーレの街の外の草原に集まった。
俺とレミィは二人並んで立つ。そしてシェーラもとい師匠は午前中自身が座っていた岩の上に立つ。
「さてと、特訓の前に二人のスキルを見させてもらうわよ。」
そう言って師匠は手に持ったロッドを俺とレミィに向けた。
「アナライズ!!」
ロッドの先についているルビー色の宝石が光り輝き、その光が俺達に照射されると俺とレミィのステータスが現れた。
レミィ=アーラント
lv.22
職業:プリースト兼モンク
力:B
体力:B
知力:A
精神力:B
俊敏性:S
運:E
スキル:癒やし嘗め
:モンスターフェロモン
「ステータス平均はB。まずまずってとこね。スキルは癒やし嘗めと何コレ?モンスターフェロモン?」
スキル:癒やし嘗め
効果:怪我した部分を嘗めることで、自然治癒 力を高める。唾液に効果がある。
:モンスターフェロモン
効果:魔物が好む匂いを常に発し、魔物をおびき寄せる呪い。常時発動。
「魔物をおびき寄せる、その上常時発動!?げっ、完全にマイナススキルじゃないの。」
師匠は驚きの声を挙げる。
そういえばレミィが呪われてたことまだ伝えてなかったな。
続いて俺のステータス。
カリヤマサト
lv.26
職業:レアハンター
力:B
体力:A
知力:C
精神力:S
俊敏性:A
運:D
スキル:レアハンターの心得
:アイテム消費なし
:秘められし力
「レアハンター?変わった職業ね。ステータスは知力と運以外はまずまずってとこね。それでスキルはっと。」
スキル:レアハンターの心得
効果:レアアイテムのドロップ率が1%上がる。常時発動。
:アイテム消費なし
効果:アイテム使用時に10%の確率で失われない。常時発動。
:秘められし力
効果:レアアイテムの隠された効果を引き出す。常時発動。
「う~ん、変わったスキルばかりだけどどれもパッとしないわね~。唯一戦闘に役立ちそうなのが秘められし力くらいね。」
「そのスキル、よく分かんないすよね。」
レアアイテムの隠された効果を引き出すというがつまりはどういうことなんだ。
「強くなるためにはまず自分のスキルを把握して、できることを理解することが重要よ。」
「できることっていってもなあ。」
俺にできることは結局剣を振ることだけだ。ロクなスキルがないのだから。
「まあ、まずはやってみなさい。」
「秘められし力っていうのがあるじゃない。レアアイテムが必要だけど。」
「それならあるぞ。」
俺は懐から凝血石を取り出す。
「じゃあやってみてよ。」
「嫌だよ。」
「どうして?」
師匠の眉間に皺がよる。
「使ったらなくなるかもしれないだろ。これは俺が苦労してやっと手に入れた貴重なものなんだ。そう簡単に使えるかよ。」
ドカッ。
「いてっ。」
いきなりロッドで顔面を殴打された。
「師匠に向かって生意気な口きくんじゃないわよ。大体あなた強くなりたいんじゃないの?だったらやりなさい。これは命令よ。」
凄い剣幕で言う師匠。おびただしい量の魔力も出して威圧している。
忘れていたわけではないがこの人はやっぱプラチナランクだ。逆らったらどうなるか分からない。
「わっ、分かりました。やらせていただきます。」
とは言ったもののスキルの使い方が分からない。
「どうしたの?早くやりなさいよ。」
「それが使い方が分かりません。」
「スキルの使い方は簡単よ。意識を集中して、スキルを使ってるところを想像すればいいのよ。そしたら勝手に発動するわ。」
いや、難しいんですけど。スキルを使ってるところを想像するっていってもどんな想像をすればいいんだ。
ええいとにかくやってみるか。
俺は目を閉じ右の拳に握りしめている凝血石の力が解放され、赤く輝くイメージをする。
すると、本当に凝血石が輝き始めた。
「カリヤさん凄いですっ。」
「やったわね。」
二人が褒める。
さて、ここからどうするか。
「凝血石よ!!秘められた力を解き放て!!」
俺は凝血石を真上へ放り投げた。赤いダイヤのように輝く凝血石が宙に浮かぶ。
三人は期待の目でそれを眺める。
さあ、どんな効果が出るのか?