第一話
竜の髭、デスシックル、力の杖、ティンカー
ベル・・・・・・・・。
俺はレアアイテムが好きだ。例え苦労の割に見
合わない性能のアイテムだったとしても、その
存在にお目にかかれただけで俺の心は達成感と
幸福感に満たされる。
そして、他の人はそもそも存在すら知らなかっ
たりするそれを自分だけが持っているという優
越感にも浸ることができる。
入手が困難だったり、普通のやり方では
入手できないというだけで俺の中のコレクター
魂はくすぶられる。
さて、今日も早速レアアイテム収集に励むとす
るか。
高校から帰って来た俺は自分の部屋のゲーム機にカセットを差し
込む。タイトルは『ワイバーンクエストⅤ』。
「さてと。」
慣れた手つきで電源ボタンを押す。
タイトルを飛ばそうとボタンを連打する。
しかしその時だった。テレビの画面からは見慣れたタイトル画面
は出てこず、代わりに眩いばかりの白光が画面から溢れ出る。
「うわーーーーーーっ。」
俺の意識は一旦そこで途切れる。
「う・・・ん?」
意識が戻ると周囲の様子が変わっていた。そこはまるでゲームの
中にある城の中の、それも王様がいるような豪華な部屋のよう
だ。そして俺の目の前にはいかにも女王様らしい格好の人物と、
その両隣に家臣のようなごつい騎士が立っている。
「目覚めたか。異界の客人よ。」
女王が声をかける。まるでゲームの世界に入り込んだような感覚
だ。それとも夢か?
「はい、何でしょう?」
俺はわけもわからないまま適当に答える。
「おぬし、名は?」
「狩谷雅人です。」
「そうか。いきなりで悪いが汝に勇者の適正があるかどうか確か
めさせてもらうぞ。」
尊大な態度で女王は言うと、手に持ったステッキの先を俺に向ける。
「カリヤマサトよ。汝が真の力、妾の前にさらけだせっ。」
ステッキの先についた青い宝玉が力強く輝く。
そして俺の前にゲームのステータス画面のようなものが現れた。
狩谷雅人:16歳:男
力:B
体力:A
知力:C
精神力:S
俊敏性:A
運:D
何だこれ、もしかして俺のステータスか?
「ふむ、能力は悪くないのう。しかし良くもない。普通じゃな。」
頬杖をつきながら相変わらず尊大な態度で女王は言う。
「あの、さっきからなんなんすかね?」
俺は聞いた。だが女王はそれを無視する。
「さて、お次は肝心の職業じゃな。」
再び女王はステッキを俺に向ける。またも宝玉が輝きを放つ。
ステータスが消えたかと思うと今度は俺の前に一行の文字が浮か
び上がった。
職業:レアハンター
それを見て女王だけでなく家臣までもがざわつく。
「おおっ。こんな職業見たことないぞ。一体何なんじゃコレは?」
いや、こちっちが聞きてえよ。俺は心の中で突っ込んだ。