プロローグ
「…………どこだよ……ここは……」
俺は辺りを見渡した。
瞳に映るのは視界を埋め尽くさんばかりの人、人、人の群れ。
何かの催しものだろうか、この広場と思しき場所にびっしりと隙間なく人々がひしめき合い、じっと静かに佇んでいる。
その様子はどこか何かを期待する子供のようにも見えた。
皆が見つめる視線の先には城のような立派な建物があり、それを囲むように様々な楽器を持った楽団が見えた。
とその時、一斉にラッパの大合唱が始まり、男の野太い声が辺りに響く。
「メル・ナルク新トゥーンランド王のおなぁぁりぃぃぃ!」
「「「うぉぉぉぉおおおおおおお!」」」
その瞬間、地響きを起こすような人々の歓声が沸き起こった。
太鼓やラッパの大合唱もここぞとばかりに場を盛り上げる。
いったいこれから何が起こるのか、俺は混乱しながらも前を見続けた。
すると城の物見台から一人の大男がぬっと現れた瞬間、人々の怒号のような声がさらに大きくなった。
そんな興奮気味の人々を尻目に、俺は注意深くその男を観察する。
ここから何百メートルと離れているというのに、男の姿ははっきりと見えた。
おそらくそれは2mを優に超えているだろう筋骨隆々の体躯とそのあまりに常人離れした圧倒的なオーラの為せる技に違いない。
男は見事としか言いようのない真っ白なローブを羽織っており、手には3mを超える立派な長槍を構えていた。
男の髪は色素が全て抜け落ちているのか、白雪のように真っ白であり、爛々と鋭く光る眼光は歴戦の猛者を思わせる。
「………………っておい、あれって漫画“トゥーンランド”の登場人物じゃねぇか」
俺の一人言が場違いにポツリと漏れた。