5話
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めっちゃ眠い…
「お願い、目を覚ましてアレン…っ!それは異常よっ!…あの人が、全部全部悪いのね。」
「違う!聞いてくれ、アイリ。俺はあの人を愛してるんだ。だから…」
違う、アレンはこんな事言ったりしない。アレンの口から違う人への恋慕の言葉なんて!
「聞きたくない、聞きたくない!!何でよりにもよって男なの?気持ち悪いのよっ!」
何で貴方が傷ついた顔してるのよ。私の方がずっとずっと辛いのにーーー。
ずっと、不安が残っていた。
私は同性の恋愛に嫌悪感は無かったけど私がアレンを好きでいる限り彼を傷つける可能性は決してゼロじゃない。泥沼な展開に入りたくないのは自分が破滅するのが嫌なのも勿論あるが何よりも大好きなアレンを傷つけるのが怖かった。
実際、漫画ではアイリの言葉に何回も傷ついて何回も涙を彼は流している。そして徐々にアイリも壊れていく描写は見ていてとても痛ましかった。絶対にあんな風にはなりたくないって思ってたけどアレンと一緒にいるのであれば避けて通れない道だとも思っていた。
でも、推しカプのライバルポジならいい感じに茶々入れて背中を押して去っていく……実に素晴らしい。
アレンがロイドに惚れるまでお局様の気持ちでアレンの横で見届けてやる。簡単になんか実らせないんだからねっ!私が砂糖を吐くくらいまでイチャイチャしてね!!
「じゃあ、私は授業に遅れるのでこれで失礼します。会長は授業に遅れても私の事を言い訳にしないで下さいね?私はしますけど。」
この人と喋っていて結構時間が過ぎてしまった気がする。時計がないから確認できないけどまぁ、チャイムが鳴ってないからギリギリ授業に遅れる事はないだろう。
「さっきから思ってたんだがお前って随分と強かだな。だが、残念な話ーーー手遅れだ」
するとタイミング良く扉がバンッと音を立てて開いた。えっ、ロイドって気配がわかる人間なの?全然分からなかったから普通にびっくりしたんだけど。
扉の方を見るとそこに居たのは息を切らして汗だくなアレンがいた。
うっわ、すっごく色っぽい。めっちゃ事後に見え……ゲフンゲフンッ!慎みます。
「アイリッ! 何でここに居るんだ!!授業はとっくに始まっているのに教室にいなくて…っ!心配したんだよ?!」
嘘っ?!チャイムは鳴ってないのに!
そう思っているのが分かったのかロイドは私の方を向いて苦笑いをしていた。
「悪りぃ、この部屋は会議に集中出来るように音が届かない魔法がかかってるんだ。入る時はみんな時計を持参が必要何だか生徒会じゃないお前は知らなくて当然だな。」
いや、知らなくて当然じゃないよ。だって
「会長は時計持ってたんでしょう?!何で過ぎてるって教えてくれなかったんですか!」
おのれっ!遅刻するなら道連れってことか…なんて外道なっ!!
「いや、話すのが楽しくて言い出せなかった。ーーーー友人との会話って楽しいんだな。」
はい、許した。友人のくだりの言葉はすっごく小さかったけど聞こえたよ。えっ、何私の事友達って思ってくれてるの?楽しいって思ってたの? 尊い。
私がニマニマと笑っているとずんずんと歩いてきたアレンが私たちの間に入った。
「て言うより、二人は何で此処で一緒に居るの?俺に内緒の事って何?…やましい事じゃないなら俺に話せるよね、心配かけたんだからこれくらいは話して。」
貴方の事ですが…って流石に言えない。
昨日の事は二人の問題だしなぁ、でもこれくらいなら言ってもいい気がするんだよなぁ。
うーんって唸っているとロイドが口を開いた。
「あぁ、こいつが生徒会ではお前がどうしてるか逐一細かい所まで知るまで此処から出ないって言って聞かなくて困ってたんだ。」
この男私を売りやがったな!私がいつそんな束縛が強いめんどくさい女になったのよ!!絶対さっきのくだり何持ってるでしょう?!そんな機会があったら絶対に先生にチクってやるんだから。
しかし、ロイドが言葉にしてしまった手前違うって言ってもこんがらがりそうだし…適当に合わせるか。
「そ、そうなの!アレンって生徒会の事って全然話さないでしょう?職員室の前で会長と会って聴けるチャンスかもって思って此処にきたの。」
するとアレンはポッと顔を赤くしていた。何でや。
「俺の事をずっと考えていてくれたんだね…だったら仕方ないかぁ。先輩と二人っきりっていうのは腑に落ちないけどまぁいいや。」
「でも、急にいなくなるのは本当に勘弁して。最近この学園って物騒なんだから。」
あ、そうか。イベントは順調に進んでは無いけど漫画の大半を占める学園の事件は此処ぐらいから始まってたっけ?
するとロイドが思い出したかのように話し出した。
「そうだな、今起こっていることの調査を先生方から頼まれている。この調査は出来るだけ少ない人数で動こうと思っている。」
「何が起こってるか聞いても大丈夫ですか?聞かれちゃダメならもう私教室に戻りますけど。」
えっ、ここで漫画のストーリーの最初の事件にいくの?確かここってアレンとロイドの二人で行動して事件解決する奴だ! よし!このイベントで名誉挽回頑張ってね!
そう思ってさっさと出ようとしたらロイドに止められた。かまってちゃんか。
「お前にも手伝ってもらうぞ。今日の放課後またここな。」
「ーーー俺がアイリを危険な目にあわすのを許すと思いますか?先輩?」
ヤバイ、アレンの目に光が入ってない!心配してくれてるのは嬉しいけど、このままじゃアレンは人一人余裕でコロコロしてきそうな勢いである。
「アレン、落ち着いてよ。アレンが私を守ってくれたら良いだけじゃん。そんなに心配ならずっと私を見ててよ。」
言ってからアレンを見ると何故かうっとりしてた。
「ずっと…ずっとアイリのことを見てろなんてなんて大胆な事を言うんだよ、アイリ。情熱的すぎるよ!」
なんかアレンが言っているがよく分からない。
頭にはてなを飛ばしてるとロイドが苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「お前、そういう事ポンポン言うもんじゃねぇぞ。すぐに言葉が薄っぺらくなるぞ。」
確かに一理あるがそれよりも
「私からしたら言って薄っぺらくなる言葉の方がダメな気がしますけどね。思った事を言わない方が後悔も大きいと思いますし。」
そう言ってロイドを見ると呆れた顔をしていた。
「そう言うところだよ、お前は」
いや、何が?