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3話

聖ヴィジランテ学園ーーー私たちが通うこの学園は多くの魔法使いを輩出しているところではあるが元は騎士学校であり、先々代のそのまた先代の国王のポケットマネーで作られた学園である。


学風は自由がモットーの何でもアリなこの学園は貴族の家の子から一般市民の子供までここでは皆んなが平等に扱われ、無事に卒業していく。

貧富の差で何かゴタゴタがあるのでは?と思われる人も多いが結構上手くやっている。

その秘訣は機会がある時にするとして何故、今この話が出て来たのかというと目の前の会長のことを語るのに少し必要だからだ。



ロイド・ルイーツァ。見た目はワイルド系なちょっぴり俺様気質な生徒会長。まぁ、設定としてはあるあるの王道ですね。そのロイドは家自体が代々王の近衛騎士団長をしている家系で、家族皆んなこの学校の卒業生だ。家の人の殆どが騎士を目指すからというのもあるが実は学校の創始者の血縁関係がある。ーーーつまりは、彼も血は薄いが尊き人の縁者だ。次期国王とも実際兄弟の様に育っていた筈である。




そんな彼の家族は全員この学園で恋人を見つけ結婚している貴族には珍しい恋愛結婚をしていた。

彼の家族自体は家がどうのこうのって言ったりしないけどまぁ、今回は同性って事もあり簡単ではない道をアレンと乗り越えていくのがこの二人の大体の話である。持ち前の天性のカリスマ性でアレンを引っ張っていき、アレンはその背中に憧れる。

そして、ロイドもアレンの真っ直ぐな性格に彼の隣にいるときだけは安らかな顔をする様になっていく過程は見ていてほっこりしたものだ。







そんなロイドと何故、生徒会室で二人きりでお茶を飲んでいるんだろう…。



すっごくいい香りがしている紅茶はさぞお高いのであろうが今の私には緊張し過ぎて最早お湯にしか感じない。



「遠慮せずに食べろ。聞くところによればかなりの人気店のフィナンシェらしいからな。お前の為に用意したんだ。」



何故!!?いや、ここのフィナンシェは知ってるよ?だって、常に並んでいるお店の並んでも食べれない幻とも言われている逸品だもん!この状況じゃなかったら喜んで食べたよ!!

ちらりとロイドの顔を覗き見る。その顔は見るからに弱々しい。



もーーー!!絶対に何かあったよね?貴方って俺様系でしょ?!今、鏡を見てみてよ!儚い系にイメチェンしてるから!!そして、それも様になってるのが尚更腹立つわ!!!




「食べたいのは山々なのですが、ちょっとここにいる意味が分からないと言うか…。」


長居する気はないと意思表示してみるも向かい側に座り会話をする体制を作ってきた。もう、これ本格的に聞かないといけない奴ですね。

どうせ、私も少なからず関わっていると思い私も聞く体制を作った。腹をくくるのは早い方がいいでしょ?

そう思って、置いてあったフィナンシェを一口食べてーーー戻した。アカン、これ食べ続けたら緊張で吐くヤツやで。動揺しすぎて言葉がおかしくなってるよ。


紅茶どころかお菓子の味も全然楽しめないとかフィナンシェになんか悪い気がしてきた。




「俺は、クロードが好きだ。友愛の感情ではなく、恋情を抱いている。」


えっ、何でそれを私に言うの?しかも直接的じゃん。もっとオブラートに包んでよ、びっくりするじゃん。



「何故、私にそれを?あと、言葉と相手は選んだ方が良いですよ。」


実際、ロイドからのカミングアウトはイベントではあるけど、アイリスは二人の仲を確信した時凄く軽蔑してたし罵ってたからね。この世界は恋愛はかなり自由だけど同性の恋愛は認められてない。



「そうだな…俺だけではなくあいつにも迷惑がかかる。配慮が足りなかった。」

その言葉にやはり、いつもの様な力強さはなくどこかヤケになっている様な気がした。



「だが、誰かにこの想いを吐露しなければ俺は…俺は…」


「ーーー誰かを思い続けるのって疲れる時ありますよね。」

今の彼の気持ちは少しわかる気がした。自分で納得している筈なのにある時ふと自分の気持ちが摩耗している事に気づく。納得しようが、覚悟を決めようが心がしんどくなることには変わらないのだ。


「そうやって、真っ先に嫌悪ではなく俺を心配する言葉が出ているのは何故だ?お前からしたら俺は邪魔でしかないだろう?」


「好きになるのって理性や道徳心でどうにかなるものですか?もし神様に懺悔する機会があったとして会長はアレンを好きになった事実を罪深いって思うんですか?」


すると、ロイドが大きく目を見開いた。

そうだ、ロイド・ルイーツァはアレンとの愛を誰に非難されたって自分の愛を信じていた。私は漫画を見ていて二人の真っ直ぐで眩しいくらいの愛情に泣いた覚えがある。



「そう言うところにクロードは惹かれたんだろうな。」



おっと、何かトンチンカンなことを言ってるぞ。


「アレンは私に付き合ってくれてるだけですよ。私は彼にいつ、別れを告げられるかそれが堪らなく恐ろしい時がありますよ。彼が本当に愛した人が出来たなら身を引く覚悟です。ーーーそれが例え、貴方であったとしても変わりません。」



そう言ってロイドを見ると可哀想な目でこっちを見ていた。

「フラれた俺から言うのもなんだが、流石にクロードが哀れだぞ。」




哀れって言いかたあんまりじゃーーーってちょっと待って?



「えっ?!会長フラれたんですか?!何で?どうして?!」




パニックに陥っている私をロイドは落ち着けと言って笑っていた。良かった、いつもの表情に戻ってきてる。



「まぁ、とりあえずフィナンシェ食べようぜ。俺もなんだか腹減ってきたし。」




そう言って食べかけのフィナンシェに手をつける。

今度はほっぺが落ちるくらいの美味しさを感じることが出来た。






















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