12話
久々の投稿です。
果たして覚えている人はいるのでしょうか…?
所変わって、生徒会室に私とロイドは来ていた。
理由は言わずもがな、このヘタレ会長を慰める為…というのもあるがもう一つ確かめたい事があってここに入らせてもらった。
「会長…さっきは出過ぎた真似をしました。すみませんでした……。」
そう言うとロイドは笑いながら気にするなと言っていたけど、正直頑張って笑っている感が凄い。
気持ちは分かる。自分を棚に上げるようにはなるけど、私だってアレンにあんな態度取られたら数日は立ち直れない。
「あの、アレンは会長といる時はいつもあんな態度なんですか?」
聞きたかったのはこれだ。確かにアレンとロイドはケンカップルではあるけど話的には内気なアレンが唯一何気なく気楽に話せる相手がロイドなのだ。喧嘩もするしその内容はそれぞれだけど大きくぶつかる時はお互いを思っての意見のぶつかり合いだったはず。それによってアレンが自己を出していくーーーそれなのに。
そう考えていると少し思案顔をしたロイドが口を開いた。
「いや、確かにあいつの物言いは多少はキツいところもあるが、それは大体正論をオブラートに包まなかったり、嫌味を嫌味をで返すくらいだった。」
さらに聞くと嫌味だって本当に軽くてロイド自身ですら軽口だと分かるほどだったらしい。
えっ、私の軽口で傷ついてたのにどれだけのこと言われてたかすごく気になる。だって、ロイドが「ハハハ、こいつぅ!」って思う程度ってことでしょ!?
どんなレベルの軽口なの…?
私が恐れ慄いていると、ロイドがじっとこちらを見ていた。
「えっ、会長そんなに見つめてどうしたんですか?お腹空きました?今なら私寛大になれるので何か買ってきますよ。」
「いや、別にいい。それよりもアレンの態度が変わったのは外であった時かと思っていたが、お前と図書館であってからだったなと思っただけだ。」
華麗に私の気遣いをスルーしたかと思えばとんでもない発言をした。
「えっ、それこそ何でですか?私は特に態度を変えてないですよ。」
それこそ免罪だ。悲しいことに私はアレンに恋愛アピールをしていない。付き合ってもらっている手前大胆な行動が取れなかったのだ。
これからとっていこうとは思っているけど、私の行動とアレンの感情の変化はあまり関係ない気がする。
「変わらないからこそ、あいつが変わったとは考えないのか?」
今度は哲学的な事を言い出したよ。
そもそも論点が違う気がして再び会長に視線を合わせた。」
「前も言ったと思いますけど、私とアレンは確かに付き合ってます。けどそれは、私が無理矢理頼んで成立しているものなんです。アレンは私の感情に付き合わされているだけです。」
終わりの見えている恋愛に踏み込むなんて不毛すぎる。本当の別れが来た時に泣いてすがるなんて事したくないから私はずっと律してきた。
「お前はアレンを真正面から向き合ってないんだな。俺もこれは前にも言ったが、それだとアレンが余りにも哀れだ。なんて言ったって気持ちを伝える事をお前が制限してるんだから。」
アレンの気持ちが分かったとロイドは言っているけど私は全然納得していない。
「あいつの精神が壊れる様なら俺が力ずくでも俺に振り向かす。お前はもっとアレンの事を見てやれ。」
ずっと見てきたよ、貴方に言われなくても。
貴方のアレンになるんだから少しくらい私のアレンでいさせてよ。
そう思ったことに嫌悪して私は生徒会室から飛び出した。嫌な感情に気がついてしまった。
何が応援するよ、何が身を引くよ。だよ、そんな事全然思ってないくせに。
「どんだけ頑張っても私はアイリスなんだ…。」
会長の忠告を聞いて心を占めたのはどす黒い感情だった。独り占めしたいなんて。
「私の恋人にならなくてもいい。でもーーー」
他の人のものにもならないで欲しいと願っているのは
確かに私の感情だった。