10:30am/広報課事務所
「おい」
「あれ? きょーちゃんじゃん、めずらしー! なになに? 俺に会いたくなっちゃったの?」
「クソうぜぇ」
恭介は自分の行動を後悔した。
ただそのまま帰るのも癪なので、さっさと伝えることだけ伝えて戻ろうと口を開いた。
「黒崎のアホ、西区にいるらしいぞ」
「え? 会ったんですか!?」
千紘ではなく春陽が反応したことに、ますます恭介は来なければよかったと思った。
「やっぱりな」
「え?」
「てめぇ、黒崎の居場所知ってやがったな?」
秋也が来なくなってから、そのことを気にするのは準太や春陽ばかりで、千紘は全く気にした様子はなかった。
それは信頼から来るものかとも思っていたが、今の反応で恭介は確信した。千紘は一瞬どっちの反応をしようかと迷ったのだ。
「あの、すいません。実は僕もさっき千紘さんにそのこと聞いてました」
「お前は律義すぎ。わざわざ謝ることじゃねーよ」
「ってか俺も怒られることじゃないよね?」
「は?クソ傍迷惑な騒ぎを起こしてる相方の片棒を担いでる時点で有罪だろ」
「えー? だって口止めされてたんだから仕方なくない?」
「藤咲にしゃべってんじゃねーか」
「はるちゃんはちゅんたじゃないからいいんですー」
「意味わかんねーよ」
恭介はガシガシと頭をかいて、ついでだからと思い念のため確認した。
「ちなみにアイツが二階堂さんの娘と一緒なのは犯罪じゃねーんだな?」
「え? 俺それは知らないよ?」
「え? 二階堂さんって娘さんいたんですか?」
「え? 誰が二階堂さんの娘さんと一緒なんですか?」
「は? だから黒s」
恭介の後ろから聞こえた声に千紘は慌てて恭介の口を塞ぐが遅かったようだ。
恭介からぐいっと押しのけられた千紘に準太が掴みかかったのを見て、恭介はため息をついて部屋を出て行った。
「神谷さん? 今あの人黒崎さんの話してましたよね? なんであの人の言葉遮ったんですか? 僕に聞かれたら不味いんですか? もしかして黒崎さんがどこにいるか最初から知ってたんですか? ずっと妙に落ち着いてましたもんね? ちょっと詳しく聞かせてもらえませんか?」
「七尾さん! ちょっ、落ち着いてください」
「藤咲、お前も知ってたのか?」
「僕も今朝まで知らなかったです! ……あっ」
「やっぱり知ってたんじゃないですかぁー!!」
「……つまり、僕に何かを手伝ってもらうから僕には内緒にして欲しいと言われた、と」
「うん。シュウはそう言ってたよ」
「意味がわからないっ……!」
千紘の話を聞いて膝から崩れ落ちた準太を見て、春陽は心から同意し、心から同情した。
「千紘さん、ほんとに何でか聞いてないんですか?」
「うん。準太だから、とは言ってたけど。ちゅんたが不運だからじゃない?」
「だから何だよ!」
ついに涙目になってしまった準太に、春陽はなんと声をかけてよいかわからなかった。




