8:00am/???
「うー、寒っ」
秋也はくるまっていた分厚い毛布から抜け出して身震いをした。
暖房は一応あるが、昨晩不測の事態により窓が一箇所割れてしまい、ビニールとガムテープで応急処置をしているような状態だ。
部屋の中は風が防げる分だけ外よりは幾分マシだが、温度は殆ど変わらないほど冷えきっていた。
秋也は一度は手放した毛布を再び引き寄せ、マントの様に羽織ってから窓際に近づき外の様子を伺った。
「何かいる?」
背後から聞こえた声に振り返ると、ぱっちりと目を覚ましているが、毛布から顔だけ出した芋虫状態の凜がいて秋也は少し笑ってしまった。
「何もいないぞ」
「そう」
笑われたのが恥ずかしかったらしく、凜は少し顔を赤くして毛布を肩まで引き下げた。
しかしやはり寒いようで、ちょっとでも隙間が出来ないように首もとをしっかり握っている。
その様子を見て秋也は申し訳なさそうに眉を下げた。
「ごめんな。今日はちゃんと窓を直せるものを買って来ような」
「シュウくんのせいじゃないわ。空気の読めないあの子たちが悪いのよ」
凜はあの子たち――昨夜攻めこんできた赤鬼たちを思い出して憤慨している。
普通の女の子ならば鬼に襲われた場合怯えたり泣き出したりするものなのだが、凜は怖がるどころか不服そうに愚痴を言う始末だ。
流石慎弥の家族と言うべきか、秋也は面白い子だと感心した。
「今日はどうするの?」
「今日は人に会いに街に出る予定だ。窓も何とかしたいしな」
「私も行ってもいい?」
「当たり前だろ? こんな危ないとこに置いてかないさ」
人に会う、と聞いて、自分は邪魔になるかもしれない、と不安気に尋ねた凜に、秋也は笑って答えた。
それを聞いてぱっと表情を明るくし、じゃあお出かけの準備しなくちゃ! と嬉しそうに動き始めた凜を、秋也は真剣な顔で見つめていたが、すぐに頭を振り自分も出かける準備を始めた。




