12:00pm/第三研究室
千紘と春陽の二人が第三研究室を訪れると、先ほど訪れた時には綺麗に片付いていた部屋が大量の何かの破片と埃にまみれていた。
その惨状について春陽は大変気になったが、そんな場合じゃないと無理矢理自分を納得させて、何も気になることなどないらしい千紘の後に続いた。
「言霊の力は偉大だな」
部屋の奥から箒とちりとりを持って現れた秋也は既に事態を把握しているようで、苦く笑いながら皮肉を言った。
「偉大過ぎるでしょ。何このタイミング」
千紘が溜め息を吐いてそれに応えた。
「藤咲、前に渡した武器は持ってるな?」
「はい、大丈夫です」
「よし。ならあとはこれ着てくれ。防護衣だ」
「あれ? いつものと違うんですね」
「ああ。今回はトクベツだ」
いつもは鬼から認識されにくいという理由で紫色の防護衣なのだが、今回秋也から渡されたのは真っ白だった。
「もう倉持さんから話は聞いたか?」
「いえ、一緒に行ってくださるみたいで、時間がないから話は向かいながら、と」
「そうか。なぁ、藤咲」
「はい」
「死ぬなよ?」
呼ばれて春陽が返事をすると、秋也から真顔でとんでもないことを言われた。
「ちょっ、縁起でもないこと言わないでくださいよ!」
春陽が焦って文句を言うと、秋也は声を上げて楽しそうに笑った。
「ちょっとは緊張も解れただろ? まぁ気をつけて行ってこい」
そう言われて、確かに少し気分が軽くなった春陽は苦笑しながら頷いた。
「藤咲」
先に部屋を出た千紘に続いて春陽も出ていこうとしたところで、再度秋也に呼び止められて振り向いた。
「ヒロのこと頼んだぞ」
先程と違い笑顔だが、その目は凄く真剣で、春陽はよく分からないながらもとりあえず頷いた。
呼び出しがかかってからずっと千紘の様子がおかしいことに春陽も気付いていた。




