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1:00pm/北原森林南

「ふぃ~……こんなもんですかね」


 一仕事終えた一華が大きく息をついた。

「お疲れー」

 少し離れた場所で様子を見守っていた千紘が、一華の作品を見て感嘆の声をあげた。



 田口は、千紘達が鬼の子を駆除することを阻止しようと必死になっていたが、実は産まれたばかりの鬼は駆除対象ではない。

 対象となるのは人に危害を及ぼす可能性が大きいもの、既に人に危害を加えてしまったもの、などであり、対象外の鬼は結構多い。

 その基準は結構曖昧であり、明確な基準があるわけではない。

 明確であるのは、凶暴である赤鬼と、人に害を加えたものは駆除対象であり、産まれたばかりの鬼は何色であろうと対象外、という三点のみで、他は状況に応じて随時判断される。

 それは鬼も共に生きる生き物の一種であるという考えのもとなのだが、しかしそれらの事実は知られると反発が大きいと予測されるため、組織では極秘事項扱いとなっており、一般人は知ることはない事実だ。


 今回見つかったような産まれたばかりの個体は、組織でも鬼の生態調査のために重宝されており、見つけた場合は発見者が発信器と目印をつけることになっている。

 発見者は大抵は対策課の人間になるのだが、目印はその個体が識別出来れば何でもよいとされており、当人のセンスが問われると対策課の中でも賛否が別れている。

 一華は春陽と違い絵のセンスがあり、今回も二匹の鬼の赤ちゃんの背中に金と銀の対となる美しい片翼を描いた。



 ちょうど目印をつけ終えた時、ガサガサと音を立てながら一匹の鬼が現れた。

 その目は二匹の子供の側にいる一華を捉えており、殺気立っているようだ。

 緑鬼は基本的に臆病で、これほど敵意を剥き出しにして迫ってくることはない。恐らく母親なのだろう。


 千紘はその姿にびくりと肩を揺らしたが、一華は冷静に持っていた警棒のような武器で殴り倒した。一撃だ。

「あ、この子母親だったんですよね? 不味かったですかね?」

 一切の容赦も躊躇いもなく撲殺した後にそんなことを言う一華を見て、千紘は顔をひきつらせた。

 対策課の人間としても護身としても一華の反応は正解なのだが、千紘はその迷いの無さに恐ろしさを感じざるを得ない。

「えっと、問題ないと思うよ? 襲って来たわけだし、緑鬼の子供は親がいなくても群があればちゃんと育つことが確認されてるし。あと、たぶんショッピングモールに出たのもこの子なんじゃないかな」

 それを聞いた途端、もっと苦しめればよかった、と真顔で呟いた一華に、今後はもっと接し方を気をつけるべきか? と千紘はちょっと真剣に考えた。



「あれ?」

 仕事も終わったので春陽のGPSを確認した千紘が不思議そうな声をあげた。

「これって……」

 その様子を見た一華も何事かとその画面を覗きこみ、それに気づいて目を輝かせた。

「あ、ちょっ、いっちゃん!」

 すぐ近くを示す画面上の光に居てもたってもいられず走りだした一華に、とても追い付けそうにないなぁ、と苦笑しながらも千紘もその後を追った。

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