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12:30pm/北原森林南

「そろそろ来るかな?」

「そうですねー」


 千紘が忠久と連絡をとって三十分近く経過した。

 そろそろ圭一達が到着する頃だろう。

 ちらちらと木の影から見つからないように田口の様子を伺っているが、千紘達が彼を発見した時から向こうの何かを気にしてずっとじっと動かない。

 向こうに何があるか気になるところだが、二人が今居る場所からは田口より更に向こうの様子は見ることが出来ないし、これ以上接近すると気付かれてしまう可能性がある。

 仕方がないので確認するのは諦めて田口の見張りを続けていたその時――


 ドォン……ドォン……ドォン……


 東の方から爆音のようなものが聞こえて、二人は顔を見合わせた。

 声にこそ出さなかったが、真剣な顔で頷きあう。

 音の正体は、ほぼ間違いなく彼らだ。


 その音は田口にも聞こえた筈で、目を細めてじっと音のした方向を見据えその出所を探ろうとしているようだが、その場から動く気配はない。

 それに千紘と一華は安心したが、ますます田口が気にしているものが何か気になった。



「目印発見」


 背後から突然声がしたと思って振り返ったら、千紘は肩に置かれた手から一本だけ伸ばされた人差し指にほっぺたをつつかれた。

「あかんよ、油断大敵や。ほいで? どこ?」

 笑顔を見せるでもなくそう言った圭一と、千紘は若干距離をとりつつも、あっち、と田口の方を指差した。

 千紘の指の先を辿って田口の姿を捉えた圭一は、心底嬉しそうで、見ているものをゾッとさせる歪んだ笑みを浮かべた。

 それを近くで見てしまった一華はぶわっと全身に鳥肌が立ち、足がすくんで動くことが出来なかった。


「ありがと」

 歪んだ笑みは既に消え、最初と同じ無表情で義務的に告げられたお礼だったが、その言葉には先程とは違い隠しきれない愉悦が浮かんでいた。



「たーぐちくん♪昨日ぶりっ♪」

 圭一は楽しそうに歌いながら田口に近づくと、振り替えった相手の頭上目掛けて手に持っていた木刀を全力で振り下ろした。

 田口はそれを間一髪で避け、焦った表情で圭一を見た。

 その顔には明らかに不味いと書いてある。


「避けるなんて酷ない? ボクの愛、受け取ってーな」

「煩い。俺は今忙しいんだ。お前らの相手してる暇はないんだよ」

 そういいつつ田口はその場所から離れようとしない。

 もう圭一達も到着したことだしと思い、千紘と一華が田口の気にしている向こう側を覗こうとすれば、田口が焦った声をあげた。

 田口はその何かを見られたくないようだったが、圭一と奈津美に足止めをされて止める事ができない。

 千紘と一華はそれを見ることに成功した。

 そこにあったのは――


「赤ちゃん?」

 田口が見ていた場所には、生まれたばかりの緑鬼の子供の姿があった。

「なるほどなぁ。田口クンはそいつらを守っとったワケや」

「……神聖な神の使いだ。お前達には理解出来ないだろう」

「せやな、ボクはそいつらのことなんて生きようが死のうがどーでもええわ」

 そう言って楽しそうな笑みを浮かべる圭一に、田口は臨戦態勢をとる。

「ボクは、田口クンと遊べればそれでええよ」

 途端に膨れ上がった殺気に、田口は舌打ちをして鬼の親子のいない方へと逃げた。

 圭一がそれを追いかけ、奈津美もその後に続いた。

 田口は千紘と一華がその場に残っているのを苦い顔で見ていたが、圭一とこの場で戦闘になる方が不味いと判断して立ち止まることはなかった。


「さて、と。じゃあ、お仕事しますか」

 田口らが完全に見えなくなったことを確認して、一華が自らの鞄に手を入れた。

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