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12:00pm/北原森林東

『神谷と藤咲が田口を見つけた。森の南の方にいるっつーことなんで、あいつら目印に笠原を向かわせる。お前らはそのままそっちから行ってくれ』

「了解」


 忠久から連絡があったのは、二人が北原森林の東側から森に入ってすぐだった。

 事前に田口の情報を知っていた二人は、一番の近道だがショッピングモールの側を通るルートを念のため避け、少し回り道をして森に入っていた。

ちなみにこちらはお互いが断固拒否の為、それぞれのバイクに乗っている。


「ざまぁ」

 千紘の悔しそうな顔を想像したのだろう恭介はご機嫌だ。

「おーおー、諏凰のお坊ちゃんは随分口が悪くなったもんだなぁ。昔はあんなに品行方正だったってーのに。弟が見たら泣くぞ」

「元凶が何ほざいてやがる。毎日毎日口の悪いクソガキが周りをウロチョロしてたせいだろーが」

「ほー、俺らはそれだけお前にとって影響力が大きかったと」

「毒ってーのはどうしようもないからな。残念なことに子供は解毒剤や抗体なんか持っちゃいねーんだよ」


 会話のドッジボールをしつつ、お互いに周りの警戒は怠らない。

 まだ若葉と春陽がいる場所とは離れているが、だんだんと森は深くなり、周りはいつ鬼が出てきてもおかしくない雰囲気だ。

 幸いなことにこちらのルートに人影はない。



 更に少し奥に進んだところで、恭介が前方を見据え目を細めた。

「……いるな」

「あぁ、どうする?」

「どのみちぶつかる。なら時間もねーしこのまま突っ切る」

「残念。同意見だ」

 そう言って、二人は前方に複数見つけた鬼の影に向かって真っ直ぐ進んでいった。


「チィ!! 鬱陶しい!!」

 思った以上に多い鬼の大群に、恭介が忌々しそうに悪態をついた。

 殺してしまうと更に仲間を呼んでキリがないため、鬼の間を縫うように走って先を急いでいたのだがそろそろそれも限界だった。

 恭介は持ってきた即効性の麻酔銃を使い進路を確保しつつ走ることにしたが、方向と配置を考えつつのその作業は神経を使い、大変に骨が折れた。


 恭介がそんな作業に集中していた時、恭介の確保した道を大人しくついてきていた後ろの秋也から大きな舌打ちが聞こえてきたかと思えば、突然秋也の乗っていた筈のバイクが無人で恭介の横スレスレを駆け抜けて行った為ぎょっとして後ろを振り返った。

 そこには仁王立ちでマシンガンを構えた秋也が立っており、恭介は咄嗟にヤバいと判断し、秋也と同じ様にバイクを乗り捨て直ぐに地面に突っ伏した。


 ズダダダダダダダダッ……


 恭介が伏せたか伏せないかのタイミングで秋也はマシンガンを乱射し始めた為、間一髪で蜂の巣を免れた恭介はそのまま匍匐前進で秋也の後ろへと回った。

 ちょうど恭介が秋也の後ろに辿り着いたタイミングでマシンガンの弾が無くなったらしい。

 今度はマシンガンを投げ捨て、手榴弾を続け様に三発程爆発させた。

 気づけば辺りに立っている鬼の姿はもうなかった。


「てめぇ、撃つんなら一言言いやがれ。当たったらどうしてくれんだよ? その口は飾りか?」

 恭介が額に青筋を浮かべて秋也に詰め寄るが、秋也はそんな恭介を全く意に介さずけろりとしている。

「お前なら当たらないだろ? 大体当たってもただの麻酔弾だ。死にゃしねーよ」

「こんなとこで寝たら確実に死ぬわ。アホか」

「願ったり叶ったりじゃねーか」

「ざけんな。てめぇが死ね」


 大量の鬼が周りで眠る中、勝者二人の下らない口喧嘩は暫くの間続いた。

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