お化け関係は、NGでーー?!
ー雪菜視点ー
薄暗い室内は、変わらないけどコレはないわ!!
蜘蛛の巣だらけ?
え?
ブルーレル…もしかして碧の真似なの?
思わずの叫び声に反応したのは、まさかのエイダムさん。
なんで?
ん?
あ、そうよね。
私がやっちゃったのね。
強く握りしめたから。
それにしても、アーノルドは?
無事かしら?
不安を胸に扉へ向かおうとすると、エイダムさんが立ちはだかる?!
どうしたの?
え?
「何の危険があるか分かりません。
先頭は私にお任せください」って。
本物?
エイダムさんの偽物じゃあ…し、失礼よね。
勇気を出しているエイダムさんの足元が少し震えているのを見て安心したわ。
本物みたい。
あんまり騎士風だったから。
ブルーレルを何回呼んでも返事がない。
諦めた私たちが扉の前に行くと向こうから『ドンドン!!雪菜殿ですか?
無事ですか??』って。
ア、アーノルド?
ガチャ。
ゆっくりノブを回すエイダムさんが扉の前に出た途端!!
アーノルドが喉元に剣を突きつけた!!
うぐっ!!
苦しそうなエイダムさんの声に慌てて私がアーノルドを止めた。
「大丈夫よ。この人は私が勝手に連れてきた人で味方だから!
それより、この図書館はどうしたの?
ううん。アーノルドは変わりない?
ブルーレルは?」
次から次へと質問した私は、アーノルドにいつの間にか抱きしめられていた。
アーノルド自身は、少し震えていた。
掠れた声で。
「あれからどれほどの時間が経ったと思うのですか!
大森林は、何とか無事でしたが残ったブルーレルやゲルガーには異変が…」
ええーーーー!!!!!
「消えたのです。
二人の姿が見えなくなったので、何回も何回も探し回りましたが何処にも…。
そのうち、図書館の扉が閉まり。
どうやっても、中へ入れなくなりました。
もしかして、雪菜殿に何かあったのかと随分心配しました…」
涙声になったアーノルドの告白に、ギャビンとの再会を思い出していた。
あの時も、同じようだったと。
私には、たった数時間だったのに。
皆んなは、私の事を何ヶ月も行方不明だったと言うわ。
申し訳ないわ。
でも、帰り次第こちらへ飛べばよかったかも。
「そうですか…そんな不思議な場所に居たのですね。雪菜殿らしい…。
でも、今日来て頂いてよかった」
窶れた姿のアーノルドは、無精髭と乱れた髪の毛がたった一人で不安と戦い耐えてきた人間の厳しさを見せていた。
ごめんなさい…。
そして、ありがとう。
丁寧に説明すると、隣でエイダムさんも驚きの表情で。
もしかして、私をエイダムさんまで探していてくれたの?
真剣な瞳のエイダムさんの様子に思わず、人の縁の不思議を、思った。
「それで、図書館はどの様な様子ですか?
ブルーレルやゲルガーはおりましたか?」
私は静かに首を横に振った。
とにかく、アーノルドを連れて図書館へと。
アーノルドが開けようとノブに手を掛けると
「痛っ!!!」
え?
感電?!
「いつもこうなんです。
このノブに拒絶されていて…」
もしかして、私なら…と手を伸ばすと横からエイダムさんが割り込んだ。
何で?
「危険があるといけません。
まずは、私が挑戦します!」
エイダムさん。。あ!!!
返事する間もなく、エイダムさんがノブを掴むと、ドタッ!!!
「「エイダムさん!!」」
倒れたエイダムさんの側へ二人で行くと、完全に失神してるみたい。
「治癒の魔法を流しました。
この男は大丈夫ですが、雪菜殿が挑戦されるのは正直賛成したくない。
ですが…」「ですが、手はない…でしょ!!」
私の言葉に苦笑いのアーノルド。
私はそんなアーノルドにニコッと笑うとノブを握って回した。
ほら!!
出来たわ。
相変わらずの蜘蛛の巣状態の図書館。
驚きで目が点のアーノルド。
アーノルドの治癒で回復したけど、フラフラのエイダムさんは、扉に触れないように細心の注意を払って図書館へと入った。
「コレは…。
これでは、ブルーレルとゲルガーが余計に心配になりました。
ブルーレルのタフさはかなりのモノ。
問題ないと思いたいのですが…」
アーノルドの言葉にブルーレルを思い出す。
そうね。
ゲルガーだって、闇の精霊だもの。
きっと、二人は無事。
不安の時ほど、信じる力がモノを言う。
そう思い直して、ゆっくり図書館を三人で調査する事したわ。
「私の知識ですと、精霊の世界において、蜘蛛の巣とは吉兆だとか。
『蜘蛛は、家を護る』と言う諺がありますし」
え?
そんなのあったっけ?!
でも、何となく分かる。
蜘蛛は、家の毒虫を駆除する益虫。
その時、キラッと光った鏡にドキリとした。
図書館の奥の方にある、装飾の素晴らしい姿見。
大きな鏡は、グレーの色味のまま何も写していない。
ふぅ。
何の変哲もないわね。
この曇った雰囲気が、古さを表しているのかしから?
「「雪菜殿!!」」
ん?
二人揃って、大きな声過ぎる!!
「ですから、この鏡はおかしいのです。
だって、写ってないでしょ?
仕掛けがあるはず…」
鏡の仕掛け?
もしかして…。
あーー!!
まさかのラノベ展開?!
手が!
テガ…ハイッタ。
曇った鏡の中へ、私の手首まで入ってます!!
ど、どうなってるの???
ぎゃあーーー!!!!
だれ?!
鏡の中の手を誰かが握り返したわ!!
コレはダメーー!!!
お化け関係は、NGでお願いします!!




