場違い?脱出って骨が折れます?!
ー雪菜視点ー
場違い…。
この言葉がぴったりの状態だわ。
だって…
間違い無く、一度も体験したことの無い、この足下のフッカフカの絨毯。
この沈み込む勢いのすごい事ったら!!
もうね。
次の一歩なんて絶対出ないから。
そ・の・上!!
周りを見ても何処かの宮殿?って言いたくなる。
教科書に出てたもの。
このピカピカの柱っぽいモノ。
ピカピカに飽き足らず、何故か何かの生き物の彫刻がグルグル巻きついて更なる高級感満載だし!!
前に行けないのには、まだ理由があるわ。
壺!!
彫刻!!!
何処かで見た。
割ったら、人生終了値段ってヤツよ、絶対!!
上とかも見ちゃダメ。
だって…天井にあるシャンデリア的な何かが…。
あんなに飾りいります?
はぁ。
宝石付けてるわね。きっと。
もちろん、フッカフカの法則は天井にも…ね。
はぁ。
どうしろって?
恐る恐る進もうにも、
この無駄に真っ直ぐな廊下など先が見えない程で。
更に!!ドアがない。人がいない。前も後ろも廊下。
ええーー!!となるでしょ。
どっちに行けば正解なの?
あーー。人に会いたい。
この際、怒られてもいい!!
誰かぁ、居ませんか??
む、虚しい。
返事のない叫びって。
。。
ん?
右手のゴージャスな額縁にある『絵』
何だろう。
どうも、覚えのある人がいるような…。
あ!!
リュカ?!
そうだよね?
…だいぶ見た目が違うけどたぶんリュカだよね??
でも、綺麗な風景ね。
リュカの後ろには、高い山と風を感じる風景。
そして、リュカの隣には渋いおじさま?
おじさまの後ろは、深い森。
特徴的な一際高い木…。
その隣は、さらには火山の前にも一人、更に隣に海の中にも一人?
でも。おかしな『絵』ね。
それぞれの背景が違うなんて。
だけど、それ以外にも何か違和感があるわ。。。
あ、分かった。
見たことのない程屈託の無い笑顔のリュカだわ。
それに。
他の人たちもいい表情ね。
え?
何?!
遠くの廊下を動く影が見えたような?
目を凝らしてジッと見たら…やっぱり!!
居た!!
人よ。とにかく、誰か居たーー!!
今こそ、私の大声が役に立つはず。
「あのーーー!!!
不法侵入にしてごめんなさい!!
悪気はないです。迷子なんです。助けて下さい!!」
ダメだ。
止まってくれない。
こうなりゃ、追いかけるしかない!!
影が廊下を走って行くのを、私も必死に追いかける。
は、早い!!
こんな場所に一人ぼっちとか、絶対に無理!!
もう、学生時代以来の猛ダッシュをして長すぎる廊下を必死に走っていたら。
あの影、まさかの知り合い?!
そうよ。
間違いないわ。
近づいて来たら、あの懐かれた外国人の子供だもの。
まぁ、とは言えちょっと遠すぎてはっきりとは分からないけど。
ドンだけの俊足なの?
子供の足にしては、凄いスピードだけどこっちも必死に食い下がる。
負けられない戦いだわ。
どのくらい走り回ってか…目の前にひとつのドアが現れた。
あのドアが出口だーー!!
それだけは、確信があったのよ。何故か…。
飛びつくようにドワノブをガチャガチャして押す。
引く。
押す。引く。押す。引く。押す…。。。。
あ・き・ま・せ・ん!!!
定番か?!
と、突っ込んでる場合じゃ無いわ。
振り向いたら、退路も絶たれたから。
廊下は?子供は?
あんなに走ったながーーーい廊下は?
なんで小部屋にいるの、私?!
いつの間にか壁に囲まれていた私は、ゾワっとした。
突然、狭い小部屋で真っ白な壁に囲まれるなんて。
何か急に頭が真っ白になって必死にドアをいじり回すと…
ん?
ガラガラ…。
コント???
引戸でした。
そう。
障子のようにガラガラと扉は開いたけど。
なんでーー!!
ドアの向こうは…ドアとか。
カラクリ屋敷、ココ!!
ガチャガチャ。。。。
当然、開きません。。。
はぁ。
がっかりと落ち込む私の目に、もう一つドワノブが見えた。
けど…。
随分と下の方にもドワノブがあるわね。
しゃがみ込んでドワノブを回すと。
開いた!!
ドアが手前に引いて、目の前から光が溢れて来る。
間違い無い!!!
出口だーーーー!!!!
ハイハイの形で脱出しようとする床は灰だらけ。
ゴ、ゴホン。
くぅ!
灰が口にも鼻にも入るわ。
もちろん、灰まみれの私はめげずに必死にハイハイしたわ。
え?立てないのか、って?
だって…異常に天井が低いんだもの。
ハイハイしてる私の目の前に突然、手のひらが差し出されたわ。
誰?
恐る恐る顔を上げてびっくり!!!
ギャビン?!
驚いて固まる私をそっと、引っ張り上げたギャビンはそのまま暴挙に出たーー!!!
ぎゃーーー!
まさかの、姫抱き?!
抵抗虚しくギャビンに姫抱きされた私が連れて行かれたのは、お風呂。
ううん。
あれは、お風呂とは呼びません!!
プール。
もしくは、温泉宿の大浴場!!
あり得ない広さのお風呂に突っ込むには、私は灰だらけ過ぎたわ。
とにかく!!
入浴します!
後で知りました。
脱出した場所は、ギャビンの私室の暖炉の中でした。
何でーー!!




