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森に囲まれた!  作者: ちかず
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産まれたのは?

ー雪菜視点ー


「雪菜殿!!」



どうしたのだろう?

真っ青なアーノルドが立ち尽くしていたわ。


最近のアーノルドは、いつも落ち着いた学者風なのに…。


「あと、1分です。

いや、あと数秒だったかもしれない…」




ん?

1分?数秒?


何の事??


「約束です。お忘れですか?」


は!!


精霊との約束…『それは1日一回は必ず森へ帰る』


ま、拙いわ。本当に忘れてたかも。

ドタバタは理由にならないわね。

アーノルドの真剣な表情からどのくらい危機的状況だったかも察せられるし。



「ごめんなさい。

正直、忘れてたの。

言い訳は、良くないわね。森は大丈夫?

アーノルドは?」


ここまで話したところで今日は珍しくブルーレルが割り込んで来た。


「雪菜!!

忘れてたでは、済まないよ。

精霊との約束は、絶対なんだ。違えればどんな言い訳も通用しないんだから!!

だいたい、雪菜は…」


説教モード発動!!


と、思ってたわ。

ブルーレルは、とにかく説教が長いのよ。

学生時代の校長先生のお話を思い出すわ。


あれ?

身構えてた私の目の前に、固まってるモノたちが数名。



アーノルド。

ブルーレル。

そして、ゲルガー。


意外に畑仕事を勤しむゲルガーをアーノルドが褒めてたっけ。今日も泥だらけだしね。


しかし。


動かないわね。


あら?

何か手の中で動いたような…!!!


卵…こっちもうっかり忘れてたわ。

無事かしら?

握りしめちゃったから、割れたりしてないよね?

大丈夫?



ジッと見た瞬間…


割れました!!!


中から出てきたのは。



『あおむし』


マジで…。

乙女の夢…ピヨピヨひよこが定番じゃないの?!


乙女の敵、『あおむし』とは。


ふふふ。

でーも!!!


私は虫とが怖くないし。

都会育ちじゃないもの。

『あおむし』なんて、幼い頃の友達よ。


しかし、目玉が大きいわね。

黒目がクルクルしていて、可愛いかも…。


そっと撫でてやると、甘えたように手に擦り寄る『あおむし』。

ちょっと、超可愛いんだけど!!


「雪菜。

ソレ…」


言いかけて絶句したアーノルドの後を継いでブルーレルがどうしたのか?と言葉少なに問うた。


事情説明すれば、呆れ顔のアーノルドとため息をやたらつくブルーレル。



ゲルガーだけが興奮してる?

しかも、嬉しそう。


「雪菜。

この『アオムシ』と呼んでいるモノはこちらでは『ゼラ』と呼ばれているんだ。

『幸運の羽』と呼ばれる存在の幼体で、奇跡の存在なんだ。

ただ、幼体の時代は闇属性だから」


なるほどね。

自分のお仲間とは、ゲルガーも嬉しいわね。


「雪菜。

闇属性は不味いぞ。ゲルガーは今は闇属性の特性を失ってるけど、本来なら近づいた者達を闇属性に変える力を持つ。

そのゼラを何処か…」

「ダメ!!!」


間髪入れずに断る。

闇属性は何かとか、知らないけど。

この子は『あおむし』、今日から私の家族よ。

えーと。名前は『(みどり)


その瞬間、お腹の底から熱い何かが?


『繋がった。

その碧は、我らと其方を、繋げたのだ』



あの声は?


周りには聞こえない声の主は、この森の精霊だったわ。碧ってば、やるわね!!


ブルーレルは、話を聞いて暫く動かなかった。

いつもは精霊の事なら、興奮するのに…。


「雪菜。

精霊との繋がりにより、一日一回帰るという約束は無くなったよ。

何処にいても、精霊の暴走ばもう無いから安心するといいよ。


しかも。」


どうやら、碧の闇属性も少し変化があるみたい。

でも、詳しい事はこれから分かるとか。


碧ってば、すごーい。


と、言ったら。


「凄いのは、雪菜ですよ。

それより、何か用事があったのでは?」


アーノルドの問いかけで思い出したわ。


ギャビン!!



帰らなきゃ。。。



ん?


『分かったよ。

これから、僕が頑張るね』



小さな声は、誰のモノ?



でも、考える前に私は、別の場所にいたわ。


ココってば。



何処?



やたらフカフカの絨毯の廊下にいましたけど…。

えーーー!!



まさかの迷子?!




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