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森に囲まれた!  作者: ちかず
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精霊リュカの祝福を受けしモノ?!

ー碧天騎士団  とある団員視点ー

(レジー部隊)



精霊は、その姿を見せる事は稀なる事。


とは言え、この世界の始まりより変わらぬ姿でこの地に祝福を与えて下さる精霊の姿は、時に壁画に。

時に写し絵になり今まで伝わっている。


ドルタ帝国とトトラルの境にある高山バルス

その山に住むと言われる精霊リュカ様。

風を司るリュカ様はドルタ帝国と謂れの深い方だ。


跪く者達に目も向けず、まっすぐにギャビン殿の元へ。


『駄目じゃないかぁ。

こんなに手こずるなんて、約束が違うよね?』


我等騎士団でも、ギャビン殿の力は桁が外れていると有名だ。

特にマティ様など、同類に近いと言われていたのだから。


なるほど。

精霊の祝福を受けておられたのか。


「リュカ様。お久しぶりでございます。

この地の主人にようやくこの国を返す事が出来ます」


怯まず話すギャビン殿に、第一騎士団の面々が驚いている。精霊と対等に話す。

祝福を受けているのが、誰の目にも明らかだ。

例え、愚鈍の極みと言われる第一騎士団でも…。


「ギャビン。

まだ、分かってないね。

この人たちは、この国そのもの。

彼等こそが、国なんだから当たり前だよね?


でもね。

国を形作る者達を、守り導く。

それが歴代皇帝の仕事だよ。

安心して、暮らすには皇帝は欠かせない。

それがまだ、分からないの?」


!!


そうか。

皇帝が要らないのでは無いのか。


マティ様は、その事を『物足りぬ』と言われてたのだな。ギャビン殿に欠けてるモノを。


静まり返った広場にいた子供が当然立ち上がって叫ぶ。


「ギャビン様を責めちゃダメ!!

お腹空いた僕らに頭を下げて誤ってくれたんだよ。

皇帝なのに…。

町でも、邪魔にされてた浮浪児の僕を大事だって。

大事な民だって…」


泣き出す子供に、凍りつく広場の人々。

精霊に逆らう事の恐ろしさを知る故、黙り込む。



「リュカ様。

私は幸せ者です。この子に誓ってこの国を守る為に力を尽くすと改めて誓います」


笑顔で子供の頭を撫でながら応えるギャビン殿。


どうなる?

精霊リュカ様は、いったいどうなさるのか?



「もう!!嫌になるよ。

あのね。

私達、精霊は決してやたらと人々を罰したりしないよ。我々の守る自然に手をつけた時。

自然を壊そうとする時。

その時しか…ね」


なんと。

そうなのか?


疑心暗鬼な我々にギャビン殿の一言が響く。


「その通り。

精霊リュカ様は、暖かな方。元々精霊とは、我らを守り導く存在なのだ。

リュカ様、ありがとうございます。

教えを今一度、胸に刻んで参ります」


跪くギャビン殿。


その時、一陣の風が強く吹いて、リュカ様の姿は消えていた。



全員、今の出来事を消化出来ずにいると向かうから甲高い声が響いた。



「ギャビン〜」



こちらに駆け込んで来る小柄な姿に全員の視線が注がれる。



が、俺はレジー様より連絡を貰っていたので偶然、ギャビン殿を見ていた。


そして、知ったのだ。


彼が見た事のない表情で微笑んでいたのを。

素の彼…。



そして、その表情こそ、誰もが知るモノ。




愛する者を見つめる男の顔だったのだ…





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