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森に囲まれた!  作者: ちかず
81/233

離宮に住むのは?!

昨日、81話として別の話を(他の小説の一話分です…)上げてしまいました。気がついた今朝、すぐ削除しました。お読みになった皆さまは狐に抓まれた様な心持ちだったと思います。

本当に申し訳ございませんでした。


今後、この様なミスの無いように努めて参ります。

改めて、本日上げさせて頂きました。

お読みくだされば幸いに思います。


拙いこのお話をお読み下さる皆様に深く感謝申し上げます。ちかず

ー雪菜視点ー


買い物にも限界はある。

そう思って、悩みながら手のひらを握りしめた。


「待ってましたよ、雪菜!」


あら?珍しくアーノルドが目の前に笑顔でいたわ。

何か良い事があったのかしら?


「コレ…」


差し出したのは…枝豆。



きゃあ!!


凄い…。

やっと出会えた枝豆!!


「良く種が出来たわね。枝豆に近い豆類はたくさんあったけどちょっと違うのよね。

これよ!!この味!!」


塩茹でして枝豆を口に含みながらテンション待ってMAXになったわ。

これなら…計画が頭の中で膨らむ。


「良く雪菜が言っていた『納豆』や『味噌』など沢山の関連品が出来ますよね?」


うんうん、、


何度も頷きながら、私は大豆の凄さを思い出していた。


乾燥する豆の持つ威力は計り知れない。


どんな場所にもどんな気候にも負けない移動できる食糧。

その上、沢山の加工品。

特に、醤油・味噌など日本人の魂の調味料には欠かせない。


「乾燥を風魔法で行っておきました。

子供達が待っていますよね?他の豆類も乾燥してありますのでお持ちください」


アーノルドの抱える籠に沢山入った乾燥豆類。

これほどの量。

彼の苦労が滲んでいるわ。


たった一人でこの森にお留守番なのに。

最善を尽くしてくれるもの。


「ありがとう。大事に使うわ」


私は、そのまま手のひらを握りしめた。

目の前の景色が一瞬で変わるこの転移も慣れたわ。

最初は、目眩に似ていてクラッとしたけど。


寝入った子供の顔を眺めながら、痩せた頬をそっと撫でた。

日本では、見かけない飢えと戦う子供の頬を…。


窓から真っ暗な庭を眺めながめていたら、ふわっと光が飛んでいる。

へぇ。こんな場所に蛍?


楽しい田舎の夏を思いながら、私は決心した。

やるしか無いと。




次の日から、手に包丁と共に鍬を持つ。

畑…。


お花が沢山あって、耕すのが躊躇われるけどこれ以上子供達に辛い想いをさせたく無い。

そう思って、鍬を振り上げた途端。



パラ。


パラパラパラパラ…。



真っ赤な花吹雪は、そのまま風に流れて消えてゆく。



ええーー??

あまりの驚愕の展開に暫く呆然となるけど。



鍬をもう一度振るうと、畝を作る。

種は、沢山アーノルドに貰ったし。

食べれる物を。

今は、お花はちょっとお休みで…。



起き出した子供達が、後ろでぎゃあぎゃあ騒いでるから、お手伝いをさせよう。

自分で出来る事を増やすのも、生き延びる力。



でも。

不思議はそのままでは、終わらなかったのよ。


翌朝。

窓を開けてびっくり!!


収穫期の様な実りをつけた野菜達。

既に大木となった果樹園。


夜明け前の様変わりした畑の上を、微かな光を放ちながら蛍が飛んでた。


なんとなく。


蛍が喜んでいる様に感じたわ。



よーーし!!

今日は、別の場所を畝作るわよ!



慶ちゃんにギャビンの事を頼んで。

少し痛む胸に手を当て、祈ってたら丸鳥が肩に止まってた。

毛色の違う丸鳥。


ピィ!



そうね。

ギャビンだもの。


きっと大丈夫ね?



ーオースティン視点ー



あり得ない状況は、懐かしい風景に感じた。

子供達と雪菜殿の取り合わせは、昔から一緒にいる者達の様に見えて声を掛けるタイミングを戸惑った程。



「雪菜!!!!」



しまった。

その隙に、レジー殿が突入した。


やられた!!


レジー殿の部下が必死な止めている。

当たり前だ。


落ちるぞ、アレ。


青白い顔になった雪菜殿を庇う様に子供達がレジーに押しかける。

あの迫力のレジーに向かっていける子供達の勇気。


よほど、雪菜殿が大切なのだな。

誘拐したけど。


解放された雪菜殿が子供達の頭を撫でている図は、レジーも入りづらいらしい。


さて。

とにかく、この状況を把握しなくては。


赤い花の無い場所になると言う事は…。



癒されたのだろうか?

リュカ様の大切な…あの方は。



「だから!!

これが凄いのよ。

とにかく、食べてみて。

さっき作ったから。美味しかったら聖騎士でも広めて欲しいのよ。


え?犯人って何?

ここにいるのは、被害者よ。

無能な大人の被害者。そうでしょ?」


レジー殿の苦笑いとは、珍しい。


その中に二人の子供が進み出た。

見覚えのある子供達だ。


「雪菜ありがとう。

でも、やった事を償わないならば僕たちはこれから胸を張って雪菜に会えない。

レジーさん。

僕たちを捕まえて下さい。

その代わり、ここにいる他の子供達は何も知りません。どうか罰するのは僕たちだけで」


頭を下げる子供達にレジー殿は?


「そうだね。

大人も子供もやったらいけない事は同じく罰するよ。貴方達の罪は、この子供達の代表となり纏めて働く事だ。

我々が支援を約束しよう」


二人は、大きく頷いた。



「雪菜殿。

貴方が作ったこの場所は、本来別の人間のもの。

でも、約束します。

子供達をちゃんと自立出来る手伝いをします」


レジー殿の言葉に少し驚いて頷いた雪菜殿。


あっ!!!!



その時、雪菜殿の肩に蛍が?!

真昼間に蛍??


もしや…。



雪菜殿が微かに光る蛍に話しかけていた。



「あら?貴方も賛成なの?

良かったわ。何となく貴方のお庭のように思っていたから。

素敵な場所ね。

沢山の野菜や果物をありがとう」



ピカッ!!!!!!



雪菜殿の言葉が終わるかどうかの瞬間に辺り一面を眩しい光が包み込む。

目も開けられない眩しい光!!



小さな子供が一人。

緑の髪に土色の肌。



『雪菜、ありがとう。

この庭を愛してくれて。子供達と笑いに包まれた場所にしてくれて。

僕も元に戻れた。僕の名はゼーラン。

土と緑の精。

リュカ様の使い魔的妖精だよ』


なんと言う。

なんと言う事だろう…。


まさか復活まで。

リュカ様の一番大切にされていた妖精ゼーラン様。



まだ、全回復では無いが。

それでも、人型を取れるまでに回復されたとは。


全く理解していない雪菜は「良かったわね」と言いながら頭を下げて撫でていた。



ふふふ。

あまりの規格外に笑いが込み上げるよ。



レジー殿と子供達には、見えないらしい。

レジー殿は、おおよそ理解は出来ていたらしい。

この場所の由来から、伝説を知っていたのだろう。



『離宮に住む妖精は、この国の先祖代々の護り手。緑と土の精のゼーラン。

美しいその姿は、見たもの全てを癒すと言う』



リュカ様。

次は、貴方様の番です。



どうか…。



雪菜殿を見つめながら、己の果たす今後の課題に想いを馳せていた。



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