暴徒と対決?!ーミセル・ガスタ視点ー
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ーミセル・ガスタ視点ー
この重苦しい空気に押し潰されそうになる。
理由は、簡単だ。
陛下。
ガランド陛下の鬼の形相が理由だ。
逆らう者を許さないガランド陛下が即位してから、様々な問題が起き続けたが今が最も最悪の状態だと言える。
まぁ、今までとて、さして差もなく最悪だと感じていた貴族は多いが。
「無能な奴らめ。
皇帝の代理であるべき、公布を偽造する罪深き者共を野放しにするとは…、
ランバル!!
あの国賊は見つかったのか?」
怒りに満ちた声に震え上がる貴族は多い
何故なら、八つ当たりは即、死罪となるのだから。
(無論、現陛下から変わったのだが)
ランバル様…。
ガランド陛下の叔父であり後ろ盾であるグース家筆頭にして、最側近のランバル様。
前デルトライト陛下を抹殺して引き摺り下ろした人物。
現陛下は、自分自身が前陛下を弑逆したが故かとにかく誰も信じない。
それ故に、部下の些細なミスすら許さずあかりが爆発する。
だが、それで幾つの家が取り潰されたが。
特に、デルトライト陛下に近しい人々の悲惨さはかなりのモノだ。
処刑された人々は有能な人間が多いのだ。
無能な人間ばかりが役職に就き、政府機能は麻痺し国は混乱していた。
そこへ『あの公布』だ。
王都の市民の生活をここにいる誰も気に留めない。
今や、荒れ放題の街を取締る者もいない。
犯罪と飢えが蔓延するその惨状を…。
そもそも、警護団のバズール隊長を牢獄へ監収したのがそもそもの間違えなのだ。
警護団はバズールあっての隊。
しかも、警護団そのものを先日解散させたのだ。
これで王都は無法地帯となったのだ…。
「陛下!!
街で暴動が起きております。
このままでは、王城は迫る勢いかと」
やはりか…。
伝令の言葉にビクッとする陛下の顔色は悪い。
「そうだ。
こういう時は、警護団だな。
出動させろ!!」
なんと?!
先日解散させたのを忘れたのか?
そこまで落ちたのか!!
「陛下。
警護団は先日…」
側仕えが言いにくそうに進言すれば、カッと睨む。
「お前達は、だから無能だと言うのだ。
こう言う時は、私の命令に含まれている危機的状況を見越して解散させるのを止めるべきだろう!!」
はぁ。
終わってる…。
この国の中枢がコレでは…。
ため息混じりに俯く私に驚くべき発言が耳に入る!!
「陛下。
ここはガスタ家のミセルに私兵を率いて当たらさるべきでは?」
…これがココに呼ばれた理由なのか?
下級貴族である我がガスタ家が、側近のみの会議に呼ばれたのが甚だ疑問だったが。
目的は、叔父上であるエイダム様の失態を償わせるつもりだったのだな。
叔父上を恨む気持ちもある。
だが、本当は無理難題を言われた叔父上自身がスケープゴートだった。と、俺は思ってる。
とにかく、返事はひとつしかない。
「はっ!!
最善を尽くします」と。
暴徒の相手だ。
必ず、恨みを買う。
絶望感に苛まれながら、そのまま扉へと向かう。
もしかして、
戦うフリさえすれば…。
後に…。
そんな風に考えていた自分を叱りたい事態となった。
『新しい時代の幕開け』に会う事になるのだ。
大きな驚きと共に…。
ーブラン視点ー
大勢の人間を動かすのに必要なのは。。金
色々な理想も熱い忠誠心も全ては、最低限の金があってこそ。
「ほら。
コレで勝負出来るだろ?」
目の前に積まれた金・金・金!!
憎らしい奴だ。
ベレットと言う名が本名でしかもデルトライト陛下の側近だったとは。
始めはそう言われてもてっきり揶揄われたと思った。当然だろう?
こんな場末の酒場だ。
だが、その出逢いそのものが俺にとっての奇跡となる。まあ、それを知るのはずっと先だが。
現状をひっくり返す力のある『金』
そして、たくさんの人手。
それも、あのベレットが連れて来た男が問題だった。
あり得ない人誑しなのだ。
大柄な男は、あまり喋る人間ではない。
だが、彼の語る未来を誰もが夢見る気持ちになる。
もしかして、叶うのでは?と…。
心躍る気持ちが、この俺ですら湧いた。
そう。
『クーデターを起こす』
『市民の手に王都を取り戻す』
夢見る俺は、チャチな策を立てた。
男は『それでやろう』と簡単に受けたのだ。
最も危険な立場に自分がなると知りながら。
何故?
と、問えば。
「目的の為ならば、何でもやるさ!」
快活に笑う彼の目は、決意の固い気持ちが見える。
公布を旗印に、暴動を起こそう!!
その作戦は、目の前に積まれた大量の金は有効に使ってやった。
地下道で繋がっている他の組織を使って武器や人を総動員するも、それはあっという間に膨れ上がり、自分の手をいつの間にか離れて暴走していた。
まさに
蜂起…。
キッカケの『あの公布』。
デルトライト陛下とマティ殿を救う為に、本気で民衆が立ち上がったのだ。
建前だと俺は思う。
庶民とは危険に敏感だ。
何せ無力なのだから。
しかし、今の王都はまさに危機的状況だ。
だから、この蜂起は、自暴自棄と言えるだろう。
それにしても、
予想外の結果に、俺は絶句した。
広場には…。
人・人・人。。。
街中の人間がここに集っていた。
その手には、俺の配った武器を持ち目は怒りに満ち満ちていた。
彼が立ち上がった。
「ゲラン。
さぁ、我々も参戦しようか!」
この男…
ベレットが再来した際に連れて来た男。
ギャビン。
名を聞けば、誰でも知っている。
いや。彼の決意に満ちたその表情は『王』そのものだ。
いつの間にか、彼は俺すらも誑していたのだ。
民衆の前へと進む彼の後を追う。
いざ、進め!!!
と…、




