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森に囲まれた!  作者: ちかず
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大家族のオカンになる?!

「あんた達、ちゃんと座って食べなさーい!!」


大勢の子供達が、ワイワイと返事をしながら席に着いたのを見計らって。


「いただきます!!」


と、号令すれば全員が同じく「いただきます」と挨拶をする。


美味しそうに食べる人間の幸せそうな様子は、こちらの世界も一緒。

ましてや、子供達。

満面の笑みに私も自然と笑顔になる。



でも。


これで良いのかしら。



あの後。

気を失った私が、目を覚まして始めて見たものは、目・目・目!!!!


沢山の子供達が私を覗き込んでいたのよ。

もう。びっくり!!



私を攫った一団は、全員が子供。

しかも、あの門番達と揉めていた子供達もココの仲間。



攫った理由は、どうやら私の飴が原因らしくて。



と言うのも。


道中で、あちらこちらに配っていた飴がどうやら風邪以外にも効いていたらしく『伝説の薬』とか呼ばれてたみたい。

しかも、それをタダで配り歩いている人がいると噂になり探していたみたい。


そこへゴスロリの貴族令嬢が飴を持ってたから、さあ大変!!


貴族=悪人


一般人はコレが常識。


と、なれば飴を配る人を監禁したに違いない!!

そんな結論に…。


ところが。

誘拐した私は、貴族とはかけ離れた言動だし。

どうもおかしいとワサワサしたところで。


発見!!



私…見つけました。

床に落ちてるゴミの山!!!


ここって…、


一瞬言葉を失うほどの、酷さに呻き声が出たわ。


「こんなの。

こんなの許さないから!!!

アンタ達、箒と雑巾を持ってらっしゃーーい!!」


久々にキレました。

怒髪天となるほどの汚しっぷり。 


腕まくりをして、箒を手に子供達に命令しながら、鬼気迫る勢いで片付けまくって数時間。


やっと、床に出会えた!!


更にそれから半日。


はぁ。テーブルに何か置けます!!になりました。



「お腹すいたわ。

食べ物あれば作るけど…」


と私が見回せば、何故かビクビクして子供達が。。。



しまった。


やり過ぎたわ。


「これだから貴族のお嬢ちゃんはな!

こんな子供達しか居ない場所に飯なんて無いんだよ!!

毎日、何か一口食べれれば良い方なんだからな!!」



ええーーー!!!


驚きと共に周りを見れば、確かに痩せかけた子供達しか居ない。



どうしよう。


こんな時の為に役立つはずの売り上げ金は馬車だし、森じゃなきゃ食べ物探せないし。

(たぶん、監禁されてるから外に出れないわよね?!)



は!

胸に付いているブローチが目に入る。


ブチッ。


「これ売って、お金にしてきて食べ物買いましょう!!」


あれま。

何故がドン引き??


「お前…。

まぁ、良いや。そんな高級品売ってもいいのか?」


もちろん!!

でも、気をつけてね。


怪しまれないようにって心配したら、リーダーらしき子に「俺たちは裏ルートの常連だ!」と威張ってた。


それって…。

それ以上は、考えない事にしたわ。


例え、盗品を扱っていてもこの状況では生き延びるのが先決だものね。



ブローチ以外にもドレスに付いている装飾品を全部売ったらいい値段になったわ。

子供達に買い物を頼んで料理をして。


『野菜スープ』と『サンドイッチ』


驚くほどの大歓声に迎えられて、こちらがビックリ!!

もう。

その食欲の凄い事。


その日から、私は大家族のオカンになったのよ。



メゼルの怪我が心配なのと、皆んなに連絡出来ないのが気掛かりだけど。

ココから逃げるには、リーダーを倒さなきゃダメだと聞いたから。


「俺を殴って倒せば、門が開くさ!

さぁ、殴って逃げてみるかい?」

そう言われては…ね。


サイラスの言葉を思い出すのよ。

「もし、何か困った事があったら絶対動かないで欲しい。必ず助け出すから」



待ってて良いんだよね…サイラス!



ーレジー視点ー


逃げられたか…。


このアタシから逃げるなんて普通じゃ考えられない。


と、なればあの噂は本当なんだね。


魔力でない不思議な力の話。


人に見えない透明化。

身体を変化させる技。

見えないバリアを張る力。


どれも今まで聞いた事のない力だが、最近の王都ではよく聞く話だ。

それも、その場には決まって子供達の影が見える。


貴族と庶民。


交わることのない二つの人間。

一番大きな溝があるこの王都での、最もなる被害者は力弱き者達。

貧民街の子供達の事は、いつ聞いても胸が痛む。

このアタシでも、目を背けたい事案も多い。


アタシの勝手な想像だけど、子供達の中にこの力を手に入れた者達がいる。

恐らく、あまりの酷い現状に何かが力を貸したんだろうと。


それにしても、今この状況でその子供達と出会うとは、完全ない予想外。

しかも、よりによって雪菜を攫われるなんて。



くぅーーー!!!


悔し過ぎる!!

あんなに、可愛らしく飾り立てたのが逆効果になるとは…。


こうなりゃ、子供相手でも本気にならなきゃ…ね。


「1号!!

良いかい。

この王都で、廃虚を探しな。出来りゃ変な噂付きだと尚良い。

それと、今日助けた子供達の裏と住処の特定。


メゼルの怪我は完治させな!!雪菜を不安がらせるとは騎士団の風上にも置けない。

ゲラン辺りにゃ、このまま探し回らせな!!

良い陽動になる。いいね!!」


うんざりした感情を上手く隠した1号に、蹴りを入れる。

最近、コイツは雪菜とアタシの仲を邪魔するんだよ。嫉妬心じゃなく、老婆心だとかほざいていたが…。


ギャビン殿の意図は、恐らく罠の仕掛けだろうが。

雪菜のピンチを知れば、どんな事になるか流石にアタシでも想像出来ないし、したくない。



「ピィーーー」


雪菜も鳥使いだと聞いたが。

アタシの鳥は特別だ。


この中にある魂は、特別だからね。


さぁ。


頼んだよ。雪菜を探し守って!!



丸鳥は、そのまま空高く飛んでゆく。

影達が、それぞれ動き出した。



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