約束…。
これは予想外よ…何で天馬に変身?
近くにいたピテレが興奮してる?!
「雪菜!!
コレって凄いんだよ。分かってる?!
あのね、ガーハレは幻影園への辿る唯一のモノと言われてるんだから!」
ええーー!!
幻影園って、空の上にあるの?
どうも、ピテレの説明は分かりにくいけど門が特別なんだとか。
入るモノをガーハレが選定するんだって。。
え?
まさか…ユニコーンと同じシステム?!
まぁ…それなら残念ながらバッチリOKだけどね。
干物なら、当たり前と言うか。。
は!!
「雪菜。
何をブツブツ言ってるの?
ガーハレはね『真実の目』の持ち主なんだよ。
彼らの前では嘘は通用しないという訳」
し、しまった。
ブルーノのツッコミで救われたわ…よね?!
。。。
まぁ、誰も聞いてなかったわよね?
あれ?
アーノルドの耳が何か赤い気がするけど。
まさか。。。
そんな訳ないか。
あんな遠いから、無理よね。
実は昨日の夜、ブルーレルに呼び出されたのよ。
旅についての事で、大切な話をしたわ。
でも…。
呼び出し方法がね。
アレは無いわ…ブルーレル。
昨夜、寝ようと思ってベットに入った時の事よ。
突然
ギギギギ…。
扉が音を立てて開くじゃない!!
扉…アンタ!!
今まで、一度も音とか立てた事なかったわよね?
何?
反抗期なの?
闇夜に限って、反抗期はヤメて!!
怪談は夜中のトイレの敵なのよ。
その上、私はこの手はカラッキシなのに。
ええーー!!!
マジ…アレ。
更に追い込むなんて、ひどい!!
目の前に見えているのは、確かに…
火の玉!!
扉の隙間からふわふわと侵入?!
ダメ。
もう、真面目に失神したいレベルだわ。
だって声が…声が出ないもの。
怖すぎると声が出ないって、都市伝説じゃなかったのね。マジなのね。
ゴクリ…。
喉が鳴る以外に、出来る事もない私は壁に張り付いて必死に心の中で神様仏様にお祈りを捧げる!!
『頼みます。火の玉を消して!!』と。
でも、困った時の神頼みは当然きかない…。
しかも。。せ、迫って来る?!
ヤメて!!
心の声も虚しく、火の玉はそのまま私に迫る!
更に目の前にピタリと。
あー、神様ぁせめて失神させて下さい!!
こ、こ、怖すぎます!!
ペロン…。
ん?
火の玉が、何かを吐き出した?!
『図書館で待つ』
え?手紙なの?
コレ何?
私が顔を上げたら、火の玉はもう無い。
夢よね。
そうよ。
コレって夢オチと言うヤツよ。
きっと…。
ギギギギーーー!!
扉よ。
何故、全開に?
さっきまで、隙間程度だったのに。
酷すぎるよ、この怪奇現象の後で図書館とか。
ボンボンボン!!!
ギャアーーーー!!
小さな火の玉が大量に湧いて出た!!
か、覚悟を決めました。
図書館へ向かいます…。
光花の灯に見守られながら、ビクビクした私がいつもの数倍の時間をかけて到着したら、ブルーレルが待ち構えてたわ。
「遅い!!
せっかく案内係まで付けたのに。
何?そんなに怒ってるんたよ。
大切な話があって呼んだのに…」
あ、危ない。
握りしめた拳が火を吹きそうだったわ。
ブルーレルめ。
やり方がおかしいでしょう。
私が怒りと格闘してる間にブルーレルは『大森林』の精霊の話を始めた。
「雪菜のお陰で精霊は、自己復活出来るまで回復したよ。ただ…。
まだ、雪菜をココから解放は出来ない。
1日。
1日に一度は戻らないと…」
戻らないと。。なに?
胸の鼓動が激しくなり手を握り締める。
「大森林の本当の暴走が始まる。そうしたら誰にも止めなれない。
雪菜、約束してくれ!」
もちろん。
私は大きく頷いたわ。
「それと、管理人が必要だ。
もちろん、雪菜以外で大丈夫だけど」
やっぱり、リカルドかしら?
そんな風に考えていたら。
「あ、リカルドは無理だから。
コイツは、普通の人間じゃないから。
招かれた誰かにしてくれよ」
頷いた私は、気がつくとベットの中で。
ええーー!!今度こそ…夢なの?
そう思った私は、目の前が鬼灯が落ちてるのを拾って気づいた。
火の玉だと。
だって。
鬼灯の中には、まだ小さな火が灯っていたから。
でも、不思議と朝になって拾った鬼灯はもう怖くなかったわ。
そして、旅立ちの日。
鬼灯はそのまま、固まって宝石になっていたわ。
ーアーノルド視点ー
驚きに包まれる馬車とガーハレ。
天馬とは…さすが雪菜だ。
規格外がこれほどぴったりの女性はいない。
感慨にふけってガーハレを見ていたら…。
誰も、聞こえない声が聞こえる。
私の性質。
特別な能力は、変な時に力を入れて発揮する、
何もこんな台詞を拾わなくても。。。
め、目があったよ。
不味いな。
ポーカーフェイスが出来なかった。
雪菜の口から聞くとインパクトがあるよ。
干物って、そう言う意味だったのか。
確かユニコーンって。。
目を逸らしつつ、今朝の彼女のお願いを思い出した。
残って欲しい。
たった一人で。。。
快諾した。
ドルタへ向かうのは、不味いからだ。
そんな事をしたら、国を出た意味が無い。
しかし…一人とは。
さすがに、少し戸惑う。
毎晩帰るからと告げる雪菜殿の必死の顔に、『全く問題ない』と答えてみたが。
不安は過ぎる。
出発する馬車を見送りながら、森への道を歩く。
最近は、我々招かれた者は出入りは自由なのだが、今日から別だ。
人に誰も会えない。
そんな日々を不安に思いながら、家の戸を開くと。。。
「雪菜殿!!」
「へへへ。
帰ってきちゃった。
良いもの見つけたから!!
ほら、コレ」
雪菜殿の手にあったのは一つの花。
まさか…実在していたとは。
「話花。
二つの花と花は、繋がっていて話が出来るって聞いたのよ。
コレさえあれば、いつでもアーノルドと繋がっているから!」
私に話花を押し付けるとその足で、雪菜殿は帰って行った。
手のひらの花を見る。
ピンクのその花が、私には雪菜殿の笑顔と重なって、見える。
私は、その足で薬草園へ入る。
雪菜殿の大切にしている畑だ。
「私に出来る事を…。
○○の仰っていたのは、そう言う意味だったのですね。今、理解しました」
一言呟いた私は、薬草園と向き合う。
雪菜殿の代わりにこの場所を守ると誓いながら…




