リカルド視点ーブルーレルの異変?ー
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いつも、お読み頂いてありがとうございます。
宜しくお願いします。
図書館…。
そんな場所は、知らなかった。
食べていくだけで。生きていくだけで。
精一杯の毎日。
だから、ペペスの事がなければ『ゼロ』にもならなかったし、雪菜とも会えなかった。
巨大な図書館に住み込むように入り浸る日々。
雪菜曰く、図書館シショと言うモノらしい。
そして、
本の持つ面白さ・可能性・怖さを知る。
『幻影園』を探して本を読み漁る日々だ。
それにしても、ブルーレルと言う図書館の主は、気紛れで女好きらしく俺には全く興味なし。
でも。それは人見知りの俺にとって心地よい空間だった。
その日もいつも通りの朝だと思ったんだ。
突如として、ブルーレルに異変が生じるまでは。
いつものように、妖精に関する棚を漁っていたら、奥の方から大きな音がして振り返ったら…。
ブルーレルがバタバタし出して苦しんでいた。
驚いて急いで近寄ると…。
あり得ない…本当に信じられない情景が目の前に出現したんだ。
暫し、固まっていた俺が正気にかえり、慌てて図書館から外へと向かう。
雪菜の元へと…。
いつも、出入りの激しい雪菜だが、昨日は本当に慌てた様子でサイラスとギャビン共々戻ってきた。
そして、庭の方へ駆け出したんだ。
だから、庭へ向かうと慌てて角を曲がると…
ゴチン!!!
ぶつかった。。痛い…。
誰?
「いったぁー。
ご、ごめんね。慌ててたからよく見てなかったの。怪我は無かった?」
雪菜か…怪我は無いか?
そうか、慌てていて正面衝突したのか。
二人とも慌ててたんだから俺も悪いのに、こんな時先にいつも雪菜が詫びる。
いつでも、さっぱりと。
あり得ないほど、潔く謝る雪菜に最初は戸惑った。
そして、それが簡単そうで非常に難しいと知った。
ココヘ来てから色々考える事が増えたんだ。
ただ、ひたすらペペスの事だけ自分に、周りが見えてきた。という事だろうか。
「いや、こちらこそごめん。
雪菜に用があったから」
だから、スンナリ謝れた。
おや、雪菜のびっくり顔だ。
そりゃそうか…
人見知り全開で、滅多に喋る事すらしない俺が謝るのだから。な…。
「あ、いやいや、私の方が悪いから。
今度は気をつけるね。
それより、用事って何だろう?」
は!!
しまった。ブルーレルが大変なんだった!!
「雪菜!
ブルーレルが大変なんだ!」
そう言いながら、ブルーレルのいるテーブルまで雪菜の手を握って駆け出す。
ブルーレルの姿を見て、暫し雪菜も固まった。
当然だよな。
「転移しても、姿を見せないから心配してたのよ。
まさか…この卵がブルーレル??」
そうか…。
雪菜には、異変を薄々感じていたのか…。
愛おしそうに、卵を撫でる雪菜の顔は今までに見た事のないものだった。
後ろの二人も驚愕の表情だ。
そりゃそうだ。
卵から生まれたブルーレルが、再び卵になるなんて。
聞いた事も無いからな
雪菜が卵を撫でながら優しく語りかけてる。
「ブルーレル。
ごめんね、早く気づけば良かったね。
何か出来る事あるかな?
卵からまた産まれて欲しいのよ、ブルーレル」
雪菜の言葉に応えるように、微かに卵が揺れている。
「ブルーレル。
お願いよ。何でもするからもう一回、産まれて来て!!」
「本当だね。言質を取ったからね!!」
「「「「ブルーレル!!!!」」」」
それは叫びと同時の誕生だった。
しかも、言質を取る行為と同時に卵から誕生するとは…規格外過ぎる!!
ブルーレル…なんかブレないな…。
「二度目の誕生で、ヌイグルミから本物くらいに成長したわね。
皇帝ペンギンかしら?
少し、カッコよくなったんじゃ…」
雪菜の言葉を遮って、ブルーレルがバタバタと喜んでいた。
どうやら『カッコいい』とのセリフがヒットしたらしい。はぁ…なんか心配して損をした気になるな…。
確かに大きくなった。
テーブルに乗る程度だったのに、既に雪菜の腰の辺りまで身長が伸び、更に頭の上にフサフサも増えた。
「じゃあ、とにかく何でも言う事を聞いてくれるのは、後回しにして。
そのサイラスが持ってる石版から見ようか?」
石版とは何だ?
まさかテーブルの上の落書きのある石か?
まさか雪菜達が、態々紙でなく石に書いたのか?
随分と慌ててたんだな。
「こりゃ、凄い。
古代語とは…な。
しかも、下の地図も古代地図だな。
何処かの場所を、指し示しているんだろうが」
ええーー!!なんと古代言とは…。
突然、落書きから宝物に昇進した(俺の中で…)ワクワクして覗き込むと。
そこに書かれていた文字は、完全落書きだね。
まるで文字に見えないけど…本当に古代語なのか?
あ!
雪菜が…読んだのか?!
「えっとね。
妖精の集う地をここに示す。
その名は『幻影園』なり。
但し…アレ、ココは掠れて見えないな。
うーん。。。
たぶん、入り方に関する説明みたいかな?
あ!
もしかして『幻影園』ってリカルドが探してた場所じゃないの?
この変な地図で分かるの?」
雪菜。
何という能力なのだ。
どの言語でも、理解出来るとはこんな夢のようなモノなのか(アレはやっぱり落書きじゃなかったんだな…)
しかも、あんなに、あんなにも探した『幻影園』への入り口は突如、目の前に現れた。
胸の鼓動が強まる。
期待をして良いんだよな…今度こそ。
ペペス。
早く君に会いたい。
君の笑顔が見たい…。
ところが…ブルーレルが地図について説明する。
「コレはあんまり役に立たないかも。
古代地図は、この図書館には無いよ」
なんと…せっかくの希望のカケラが…。
愕然とした我々に。
「この絵…記憶違いでなければ見た事がある。
恐らく、ドルタ帝国の王宮に…」とギャビン。
希望は、見えた!!
例え…微かだとしても。




