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森に囲まれた!  作者: ちかず
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ベレット視点ー予想外ー

全くの予想外の展開だ。


マツリと言う催しの凄まじさは、祝花に象徴されるが、本当の凄さはあのシノブエだったのだろう。


バーラド村に限られていた『根深い森や魔法使いに対する不信感が無くなる』と言う驚異の出来事が、徐々に広がりつつある。

数十年…いやもっと長い間続いていた差別が消える。

それは、どの国も信じられない事態だろう。


そんな偉業を行うのがこの少女だ。


本人は30歳だと言っているが、恐らく異世界では歳の数え方が特殊なのだろう。

どう見ても、15.6歳だろう。

黒目黒髪の闇の妖精を想起させる姿にも関わらず、その美しさは(本人は…全く自覚なし…)強烈なモノだ。


笑顔の多いのは、人柄もあるだろう。

信念もあり、周りへの気遣いもある。

これも、無自覚ながら我が君が雪菜殿を見る目の熱さはかなりのモノだ。

(あの歳で無自覚とは…我が君ながら情けない…)



あれから、数日。

周辺の変化は、村々に止まらない。

何故なら『大森林』そのものに大きな変化が生じたからだ。


一寸先も見えない木々の密集から、『深い森』なったのだ。



そう、単なる『深い森』に…。



誰の目にも分かる変化は、ルスタ国の貴族達ですら変化へ巻き込まれ始めていた。

マツリに放たれた影達の行く先は、ルスタ国の貴族が多かったのもこの理由だ。


まぁ、我がドルタ国からも来ていたが。



王宮へ入ってから、作り上げた私の個人的な配下は影のモノが多い。

私が国を離れても、誰も脱落しなかった。

(正直、予想外だったが…)


我が君を今一度…。

失われたモノを取り戻したいと思う私にこの三人での話し合いは完全に不意を突かれたモノだった。



「あのね。

カザエルへ行きたいの。

どんな国か教えて欲しいのよ、ベレット」


雪菜殿と我が君。そして私の3人での秘密会議に少なからず期待をすれば、カザエルとは…。


理由を聞けば、驚きの答えで。


『雪星の雫』が盗まれた話は我々も耳にしている。

聖騎士が総力を上げて探していると。

その『雪星の雫』と関係あるらしい本の存在。



しかし、この時期にカザエルとは…。


「では、私の知っている限りの情報をお話しましょう」


そう言って説明してのは、困難な旅だと言う印象付けだ。

無論、狙って話しているが事実もおり混ぜる。



ルスタ国の隣には、我がドルタ帝国。

その奥にある山岳民族のいるトトラル。

ドルタ帝国と山を挟んで隣合うルーベント精霊強国。


ドルタ帝国とルーベント精霊強国の双方に隣合う商人の国、レサンタ。


更に更に、砂漠や荒野を超えて海沿いにあるカザエル。カザエルは唯一海に面する国。


移動手段として、魔法などは使えない距離。

更に言えば、治安の面でも自然の厳しさでも…

そして様々な国が抱える問題でも…


過酷な旅なのは、間違いない。


私は話終えて雪菜殿を見た。

気落ちしている予測は、見事に外れた。



「凄さ旅になりそうね。

沢山準備が入りそうだけど、困難な程やる気が漲るわ!!

それにしても、ベレットさんは何でも知ってるし。

落ち着いていて知的メガネキャラなのに、眼鏡ないのね…」


??


時として、まるで意味不明な言葉を話す雪菜殿に最初は戸惑ったが、今は慣れた。

どうやら、褒められているらしい…と理解出来るまでになった。


それにしても、カザエルとは。

『ドルタ帝国へ雪菜殿を』と狙う私の計画はかなり困難になる。雪菜殿流に言えば、燃える!だろうが…。


ん?


今、なんと…。


「だからーー!!

ルスタ国の靄鬼の問題が一段落したら、ドルタへ行きましょう!

『大森林』の精霊が少し元気になったみたいだから、私も行けると思うの!


ギャビンさんを故郷に帰れないままにするのは、ダメよ。絶対ダメ。

微力ながら、私も協力させて!!」



予想外だ。

こんな申し入れを自ら…。

私の立てていた様々な策略は不必要になった。

呆気なく…。


ここバーラド村に来てから、少し人間が好きになったようだ。


そう、まさかの…


私がだ!!




これほどの予想外があるだろうか…。


な、ギャビン兄さん。


そう声を掛けると、こちらを見る陛下の笑顔を久しぶりに見ることに


我々は、更に動き出す…。


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