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森に囲まれた!  作者: ちかず
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祭り開催?!

キッカケはたわいも無い話だったのよ。

この世界のお祭りや楽器なんかの話。


日本の祭りの起源は、ほとんどが田畑の稔りへの感謝や願いだったと話したら…食いついたーー!!



何故かピテレが。


どうやら妖精や精霊は、音楽を喜ぶらしく昔はこの世界にもそんな音楽もあったみたい。

畏敬の念が強すぎて、いつの間か無くなってガッカリしていたらしいのよ。



「雪菜殿。我々でも出来る音楽はありますか?」


と、サイ村長のセリフに思いついたの。


土の精達に、お話しをお願いするのは広まるのに時間がかかるから。



お祭りをすれば…。


そこで、簡単に出来る太鼓と篠笛の作り方を説明したらアレロアさんがあっさり引き受けてくれたの。

手先が器用らしいの。

イーサンさんは、何やら祭りの段取りをサイ村長と話し合いをしていて。

ジェマさんは、安定の衣装担当。


あ!

でも、祭りの法被なんかを絵を書いて提案したから今度こそは私も普通の衣装だと思う。

思うけど、あのジェマさんの元気の良さが気になるわ。


ブルーノはピテレと出物する気だし。

まさかのジャクと豆の木??


違うらしい…。



ギャビンさんには、お面の説明をした。

神様や色々なものに扮装して、参加したらと。


あれ?

意外にもベレットさんが張り切るし。



私の手を完全に離れたから、アーノルドやサイラスを誘って、お祭りのご馳走作りを励むわ。


薬草茶の販促にもなるしね!!



当日の朝…。


ぎゃーーー!

何故なの?


女神様の扮装って何ー!!!


ドヤ顔でラドンさんが差し出した衣装は、更には華美になってる。

反論をしようとしたら、味方が。


味方がいません!!


「今こそ、雪菜殿を披露するべきです。

生半可な心持ちで、手を出されては困りますから。

小悪党ならまだしも、貴族辺りも良からぬ企みをしている情報を掴んでいますから。


さあ。

この衣装でシノブエを演奏すれば完璧です!!」


幼い頃から慣れ親しんだ篠笛をアレロアさんが作り出してくれて喜び勇んで吹いたら。


なんか。

サイラスなんて涙目になるし。

ピテレが踊り出すし(めっちゃ可愛いかったから、良かったけど…)



こんな事になるなんて…。



この羽が後ろに生えている衣装の裾は幾重にもなっているもの。

前に描いたお姫様の衣装の絵が原因か…。


今後の参考にって言われて描いたのに。



くぅー。私の馬鹿!!

褒めされるとうっかり調子に乗るから、失敗ばっかりなのよ。


アキラメヨウ。

はぁ、仕方ないわ。

あの舞台じゃね。


イーサンさんの騎士団の渾身作。

素晴らしい舞台が完成していたわ。



沢山の作物への感謝を込めて一段高く飾られている。普段あるものが飾られる。

(ココが最高!)

沢山の料理は無料で配る。

(けんちん汁やお漬物なんかよ)


更には…。

その中央にある舞台に私や太鼓の練習をしたバーラド村の皆さん。

私の笛の音は、昔教わったお神楽。


太鼓は、ドドンと響く。

単なる木の桶を叩いているけど、揃った音は心地いいわ。


ギャビンさん達お面の一団が、舞を披露していた。

即興にしては、優雅よね。


あ!

魔法を使って落ち葉を舞に使うなんて、さすが!

幻想的に見えるわ。



参加者は、疎らだけど音は広く遠くまで広がって行くわ。何とか、来ていない人達に届きますように。



演奏が終わった舞台にピテレが上がる。


何を?



『土の妖精である私達をキチンと祀る者達が顕れた。禧し。

祝して、我から贈ろう!

受け取るが良い』



その声はいつもの声ではなかった。

頭の中に響く。


距離も関係ない。

何処にいても届く声!

(たぶんブルーノの提案ね!)



「「「「おおーーー!!!!!」」」」



大歓声が上がって私は驚いて振り向くと、見渡す限りの大地に黄色い小花が一面に咲き誇っていた。


それは、芋畑にも。

野菜畑にも。

畦道にも。



可愛らしいその花を見て悲鳴にも似た歓声が更に強まる。



「祝花だ!

数百年ぶりに祝花が咲いたぞ!!」


シュクカ?


なに?誰もが興奮していて教えてくれない。


そして。


パチン!

ブルーノが手を叩いた途端に、黄色い小花が一斉に風に舞い飛び散り出した。


あ!

と声を上げたのは私ひとり?


「雪菜殿。

この祝花は、大地の祝福を意味します。

咲いて散り、その花が溢れた場所は稔りが約束される。

言い伝えは、その様に伝わっています。


あの音楽は…特に笛の音は素晴らしかった。

妖精や土の精に力を与えたのでしょう」


狐の面を被ったギャビンさんの一言に私はただ、ただ頷いた。



こんな大事になるとは思わなかったから。

そして、ふとおばあちゃんの言葉を思い出した。



「雪菜よ。

祭りとは、お祀りする事。

我々の恵みに感謝する事じゃ。

当たり前は何も無い。

感謝を篠笛に乗せるのじゃ」



篠笛の練習が嫌で泣いた日。

そのセリフは幼い私にはまだ、分からなかったわ。

でも。



おばあちゃん。


私…今、ちゃんと理解したかも。



その日、祭りの影で何人かが、ドルタ帝国やルスタ国王都だけではなく各地に飛んだ。

それを一人笑って見てる者がいた。


ベレットだ。


「良い方向へ向かっている。

これならば…」


再び始まった祭り囃子にその声はかき消えたが…。



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