本領発揮?!
戦闘シーンに、少し残酷な場面があります。
苦手な方は次話へ飛んでください。
前書きにあらすじを入れます。
図書館へ全員を連れてゆき、私の考えを伝えた。
そしてそのまま台所へ…。
早速作戦に取り掛かる。
大反対の声は聞こえるけど、此処は私の考え方を通させて貰う。
だって。
あの使者…。
台所でアーノルドとサイラスに手伝って貰う。
薬膳料理を作るのは手間暇がかかるのだ。
だが、手を抜く訳にはいかない。
私の見立てが正しければ…恐らくあの使者は…。
ギャビンさんと聖騎士の皆さんには、会場の準備をお願いしてある。
どうせ仕掛けるならば、派手な方が良い。
私の上司が良く言った事だ。
相手の印象を大切にするべきだと。
事実だとしても、演出方法で人の印象はコロっと変わると。
もう一つ。
おばあちゃんの言葉を頼りに。
食べ物は、生き物だと。
生命を戴くと言う事。何度も聞いた大切な話。
胸に秘めて料理を作る…。
翌朝、その料理を持って再びサイさんの家へ。
以前に沢山作った蝋燭は雰囲気を出す小道具だ。
魔女のイメージを大切に。と。
その晩、彼は再びやってきた。
私はと言えば…やられました!!
またもやジェマ&ラドンさんのコンビに。
いつの間にか、フローラに似合う衣装まで用意万端で断れないし。
レースの靴下とか…フリルのブラウスとか。
髪は二つに結い上げて、リボンで飾るとか。
ディ○○ーに憧れる女の子と言うコンセプトなの?
自分自身が魔女のはずなのに??
コレ良いの?って言ったら、ジェマが首が取れるほど頷くし時間は無いし。
仮装大会の続きだと思う事にして飲み込んだわ。
ヤケクソとも言うけど…。
「初めまして。
スノーからお話しは聞いています。
お返事は、夕食の時に。
さあ、こちらへどうぞ」
彼を案内しようとしたら、ん?
キョロキョロしてるわね?
何?
「いえ、代理人殿はどちらに?」
あー、スノー探してたのね?
「今晩は、私自ら参りましたので彼女はお役御免となりました。
さあ、とにかくどうぞ」
アレ?予測と違うわね。
フローラへのリアクションが無い。
肩を落として、何をガッカリしてるのかしら?
あー、そうか。
スノーなら言いくるめられると、思ってたのね。
まぁ、フローラの方が経験豊富の上、魔女だものね。無理もない。
サイラスが変な顔で笑ってる?
意味が分からないけど、とにかく作戦決行よ。
料理を出すのは、聖騎士の騎士団の方々。
ゴツい給仕だけど安全の為よ。
「コレは、美味しい。
なんと、こちらも美味ですな…グゥ!!」
物凄い勢いで食べ続ける使者殿は、突然喉を詰まらせた…。
きたーーー!!
それこそ、待っていたものよ。
やっぱり私の見立ては間違いなかったのね。
サイラスに目配せをして合図をした。
はぁはぁ…使者殿の荒い息が苦しそうに続き使者殿の部下たちが騒ぎ始める。
部下の数人はやけに大袈裟に騒ぎ立てる。
サイラス達が素早く押さえ込んでくれていた。
口は塞げないけど。
やがて、苦しみから捥がいていた使者殿は口から何か吐き出した?!
ゴフッ
口から現れたのは、卵っぽい何かで。
あ!
証拠がーー!!
卵は煙を出すと、呆気なく消えた。
「貴様ら、あろうことか使者殿に危害を加えるつもりだったな。ドルタ帝国に楯突いて無事で済むと思うなよ!!」
騒ぎ立てていた部下の1人がサイラス達を振り切りこちらへにじり寄る。
もう1人が、使者殿へ近づこうとしていたが聖騎士の騎士団の鉄壁の守りの前に手が出ず煩いくらいの文句を言い立てていた。
私は、ソロソロ頃合いだと使者殿に近づいた。
「おかげんはいかがですか?
薬膳料理はお口に合いましたか?」
使者殿は俯いたまま固まっていた。
身体はプルプルと震えている。
「コレは。
この卵はまさか…」
唖然とした表情の使者殿にきっぱりと断言した。
「ええ。
毒です。しかも遅延性の毒。
もし、今日卵がお腹で孵れば貴方様のお命は無かったでしょう」
「やっぱり…」そう言ったまま、使者殿は固まった。
でも、私はその返事から使者殿はあの卵を見た事があると分かった。
だとすれば使った相手も既に理解しているだろう。
だからこその、今の状態ね。
そう思ってたら…
あ!!
突然、使者殿は従者の持っていた刀に手をかけ、部下を二人斜めに切り捨てた!
目の前で起こった事に意識が追いつかない。
た、助けなきゃ。
倒れた二人に近寄り、慌てて近寄り治癒を施す。
後ろからは「裏切り者には似合いの末路よ」と呟く使者殿が。
サイラスやジェマさんは使者殿を抑えて、その隙にブルーノが力を貸してくれた。
私の持ってた薬草と併せて使えば…命に別状な無い。
と、思う。
あまりの出来事に唖然となりながらも、後から出てきたギャビンさんにより全員が歯向かう意志すら失って投降した。
「雪菜殿。巻き込んでしまって、言い訳もありません。此奴らを連れて私はこのまま去ります。
恩返しも出来ぬ身の上をお許し下さい」
な、なんで!!
絶対ダメー!
「ギャビンさん。
この作戦は、これから本領発揮するんですよ!
私のやり方をギャビンさんに見てほしいの。
異世界人である私のやり方が正しいかを…」
言っちゃった。
異世界人とバラしたわよ、私!!
でも。
ギャビンさんは、私の道標なの。
そう願いながら必死に見つめていたら、ギャビンさんがため息を!
あー。破れたり雪菜…。
どこで間違ったかしら。
でも。
逃げ出したって必ず捕まえるわよ…ん?
「ですから、雪菜殿のお言葉に甘えようと思います。本領を是非この目でみたいので。
私は…
かっこ悪いですね。啖呵を切ったのに…」
私は、首を横に振る。
絶対、かっこいいから!
そんなギャビンさんだからこそ、道標なのよ!
ホッとして私は、エイダムさんに向き直ると。
「エイダムさん。
せび、別室でお食事の続きをしましょう。
元気な身体で食べる食事は、絶対美味しいから」と誘った。
そう、別室で食事再開したわ。
斬られた人は、騎士団の方にお願いして。
(何故かブルーノも付いて行ったわ)
静かな食卓には、私の腕によりをかけた料理が並ぶ。そしてその料理は全て薬膳。
美味しさと目に楽しい料理である事。
薬膳料理は、ソコがポイントだから。
全力の料理を黙ったまま食べていたエイダムさんは最後にスプーンを置くと私の方を見た。
「色々な事柄を話したのは、このまま帰さないからですか?
それとも、私を信用して?」
頬に赤みが戻り少し健康そうになったエイダムさんに、私はネタバラシをする。
「いえ。
知って欲しかったからです。
薬草。そして薬膳料理の本領を。そしてご馳走とは相手を想う事だと料理で証明して信頼を得たかったの。
どうですか?
私は信用出来ますか?」
俯いたエイダムさんは無言のままその日は帰っていった。
どうやらベレットさん辺りが手配を様々かけたみたいだけど。
明日…たぶん回答があるわ。
今度は私が答えをもらう番ね…。




