変装…いやコレ仮装大会になってるから!
「本当の本当に、変じゃない?」
この作戦…失敗かもしれない。
そりゃ、思いついたのは私よ。
でも、人には向き不向きがあると思うのよ。
私が思ってた『変装』ってのは、もっと地味な、なんて言うかおじさんで言えば付け髭とかそんな感じ。
だから、ちょっと自分の姿を変えるのはどう?って提案したのに。
した相手が不味かったのね。
サイ村長以下、全員がいた今や指令室と言える部屋で話し合いの途中での事。
皇帝の即位式とは、恐らく罠だと。
そして、行く必要は無いけど無視も難しいと。
で。
新生雪菜として会おうと。
それは。
後から来る危険を考慮してのこと。
なのにーーー!!
すっかり張り切ったジェマがラドンさんを呼んだのが運の尽き。
どうやら、前から話し合っていたかの様な用意周到で今やゴスロリ?も真っ青な状態な訳なのよ。
無理ーー!!
三十路になってから、ミニスカートもやめたのに。
何故なの?
この歳から、お姫様スタイル始めますとか。
あー、皆んなの視線が痛いわ!
ほら、一番爆笑してるのがブルーノ。
「ラドンさん。せっかくの変装ですけどあまりに無理があってかえって怪しまれると思います。
これなら、そのままの私で行った方が…」
「「「ダメだ!!!」」」
あら。
大合唱?
「雪菜殿。貴方の様な方には思いもよらない人間がいるのが我がドルタ帝国の王宮です。
あそこは、氷の迷宮という別名を持つほどの場所。
使者も必ず能力者と思います。
こちらは、魔法使いと思われていますから」
ん?
途中で言葉を切って躊躇ってるのは何で?
言いにくい事?あーー、この服装ね。
大丈夫よ。似合ってないのは承知してるから!
「違います!!
とても、良く似合っていて。
違う意味で危険かとも思えます。でも、貴方の姿は相手を撹乱することになります。
あのフローラが大人に変化したとなると。
それは、別な意味になりますから。ベラ殿の代わりが誕生したと言う意味です」
なるほど。
成長がゆっくりのフローラが、大人になったからベラさんみたいな強大な魔力を持つ。それを相手方は一番に警戒しているという訳ね」
そうか。
それでお姫様スタイルなのね…。
ちょっとーー!!
待ちなさいよ。緑の目でも無いのよ。
フローラだとすら、分からないじゃない?
じゃあ、黒目黒髪でいいんじゃ…
「この世界に雪菜殿の様な色を持つ者はいません。
それが意味するところは、分かりますよね?」
異世界人だとバレるのも不味いのか。
じゃあ…諦めて仮装大会に参加するしかないか。
あー。
題名は。
「お姫様に憧れるイタイ三十路!!」だわね。
取り敢えず、サイラスとジェマと一緒に使者の待つ部屋へ(どうやら、別の意味でもジェマさんは怖がられてるみたい…何となく分かるわ…)
あ!
またご覧なさいよ。
固まっちゃったじゃないの!!
仕方ない…まずは挨拶を。
「初めまして。
フローラの代理を勤めますスノーと申します」
久しぶりのヤケクソ状態での挨拶を。
サイラス!
ジェマ!
君たちだけは、固まるなーー!!!




