森から出たら…
久しぶりに歩く自分の足は、少しばかり萎えているような気がした。
細い道を暫く進むと、前の方から明るい日差しが見えてきた。
出口だ。
森から出るのを、少し不安に思っていた私はびっくりする事になる。
なんと。
サイ村長始め、大勢の村人が出迎えてくれたからだ。もちろん聖騎士の3人もいる。
サイラスが足早に駆け寄る姿に、絆を感じ…!!
なんでーーー?
ジェマさん。いつも体当たりなのは何故ーー?
姿が私自身に戻ったのに、ジェマさんが私の名前を叫びながら飛び込んできた。
地味に痛い…。
あ、サイラスありがとう。
気づいたサイラスが引き剥がしてくれた。
「ジェマ。君のツボが雪菜なのは理解出来る。
小さくて可愛らしいモノに目がないからな。
だが、戦士の身体で体当たりは相手が怪我をするぞ!」
サイラスありがとう。でも、なんか変なワードが入っていたような。
「ベレット…」
あ!
後ろでは、土下座が始まってるわ。
ギャビンさんの苦々しい顔は久しぶりに見た。
「陛下。私は…」
「私は陛下などではない。単なるギャビンだ。
貴方の上司でも無い。
自由に、自分の好きに生きると良い」
これは…。
事実上突き放しって事よね?
縋るベレットさんにとっては容赦無い。
「いえ。貴方様は紛うかとなく陛下で在られます。
貴方様は危険から、その場を離れたのみ。
今も、これからも私の唯一の跪く方。
そして、民たちは皆、病で伏せっていると思っており
、貴方様の回復を祈願しております」
うわ、強心臓!!
ベレットさんは、ギャビンさんの言葉をスルーして続けてるわ。
「何を言われようとも、私はこの雪菜殿と共にある。出来れば僅かなりとも力添えをして行きたいのだ」
あ!飛び火がきたーー!!
ベレットさんと目が合った?
おー!何か迫力あるような…。
「陛下をお助け下さりありがとうございます。
フローラ様のお姿と伺っていましたが…」
お?核心に迫ったわね?
さすが元皇帝の側近!
「そうね。サイ村長始め皆さんもまずは挨拶から。
春川雪菜と申します。
フローラの身体を借りていたはずなのだけど『緑葉の光』を使ってたら元通りの姿になりました」
サイ村長はとても優しく笑って。
「貴方に直接お会い出来る日を心待ちにしておりました。沢山の感謝を村人全てと貴方に捧げます。
雪菜殿。本当にありがとうございます。
まずは、村へご案内いたします。さぁ、どうぞ」
落ち着いた笑顔のサイ村長に案内された村は丸ちゃんの姿で見るより、少し小さかった。
そして、村全体に薬草茶の香りが充満していて皆さんの頑張りがひしひしと伝わったわ。
まずは、現状の報告やこれからの事を話し合っていたら、日が暮れてきた。
そうよね…森からの道はかなり距離があったから。
ええーーーー!!!!
なんでーーー!!
また、縮んでる?!
フローラになったわよね?!
「こりゃ、夜になると元に戻るって事だな。
まだ、『大森林』の力が弱いからだよ!
お日様がある間だけの姿だったんだ」
と、ブルーノ。
なんと。
じゃあ私はこの先…朝夜で雪菜とフローラの間を行き来するの?
小さくなった私へ、当然またもやジェマさんが駆けつけて抱きしめた。
この人の習性は、覚えたわ。
次こそ、!
避けるわよ…私。




