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森に囲まれた!  作者: ちかず
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なんで私?

 ジェラルドの話を纏めると、

 この世界の名は「ルボヤーノ」と言って地球とは全く別の世界。

 精霊の治めるこの世界では、妖精とはその精霊の名の下にある存在。

 精霊は、この世界にはほんの数人しか存在しないがそのひとりの精霊はこの「大森林」にいる。

 しかもその「大森林」こそ私が驚いた家の周りの森を指す。

 しかも「大森林」はかなりの訳ありらしい。

 何せ人間の国を呑み込もうとしているとか。



 ここからは、あの助けた騎士さんの話。


「我々の国では森は悪でその手助けをする者は、敵だと考えられています。

 。。ここからは、私の現在の考えではないとご承知おきください。

 敵の手先には、当然ながら木々の妖精達の名が挙がります。ですがそこは、精霊様のしもべ。

 となると、別の者に敵意が集中するのです。

 その者こそ、「緑の目の者」。

 彼らの特別な能力こそがこの事態を招いたと考え大変な差別が生まれています。」


「うーん。じゃあフローラは特殊能力持ちなの?」ジェラルドに尋ねた。


「もちろん。」とジェラルド。


「どんな?」重ねて私が尋ねる。


「それは緑を増やす能力です。木々の成長を手助けして森を守り育てる能力。

 ですから、今森に攻め込まれている我が国では彼らこそが我々の国を滅ぼす者なのです。」

 騎士さんの重々しい声。


 なるほど。事は案外深刻ね。

 でも、取り敢えず次々と湧く疑問を一旦置いて根幹的な問いをしなくちゃ。


「ねえ、どうして私をこの世界に呼んだの?」

 とジェラルドに尋ねた。


「フローラが呼びたがったからだよ。」と淡々と答えるジェラルド。

 でも答えになってないわ。

 じゃあ質問を変えて聞くわ。


「そう。ではこれからする二つの質問にハッキリ答えて。

 なぜ私だったのか?

 そして帰れるのか?

 ジェラルドなら分かるよね。」


 怖い。本当は答えを知りたくない。

 帰りたいのは当然の感情。

 今は次々と起こる出来事で驚くのに忙しくて忘れてるけど、私はフローラの身体にいる。

 じゃあ、私の身体は?

 もしかして…


「帰れないよ。

 フローラの命懸けの最期の魔法だから。

 そして君を選んだのは

 彼女フローラの緑の目が君を見つけたから。」


 キッパリと言い切るジェラルドの声に返す言葉も見当たらない。

 帰りたい。なんでこんな事に。

 フローラに選ばれたって言うけど、望んでないし。

 落ち込む私ではなく、別の場所から驚きの声が上がった。


「ま、まさかあの転移魔法が存在してなんて。

 それは、禁術では?

 フローラさんはなんて事を…

 じゃあ、貴方は転移魔法を受けてこの世界に来たと。

 フローラさんの様子があまりに違うのでおかしいと思っていましたが。

 しかもそんな事が今この時に起こるなんて。」


 いや、なんで私よりもこの騎士さんの方がショックな訳?何かショックに私が集中出来ないし。

 膝から崩れて落ちるってかなりのショック度よね。

 そんなに禁術の転移魔法をフローラは使ったって事?

 だから、消滅したのかしら?


「あのね、この時でなければフローラは命を賭けないよ。君達人間をいつまでも想うフローラが本当に憎らしかった。」


 何でかジェラルドが怒り出して、二人の言い合いになってる。

 ダメよ。

 私の質問が先のはず!


「コホン!話を戻します。

 何の為に私なの?知ってるよね。」

 えっ?

 二人は振り向いて驚きの表情とは。

 なんで驚くの?



「「そんな事は決まってるじゃないか。この世界を救う為だよ。」」とまさかの二重奏。


 当たり前の事を何で聞くんだみたいな答え方とは。

 えーと、救う?何を?

 いや、ラノベファンだから一度は言われてみたいセリフだけど。。

 私は単なるOLだし、しかも結構出来は悪いのに。


 私の不審そうな素振りにジェラルドが気がついたのか面白そうに笑う。


「ははは。あんたらの世界ではその能力は活かされないからな。

 いいかい。雪菜は特別な能力を持ってる。

 お祖母さんから教わったはずだよ。

 今は忘れてるだけだよ。雪菜なら絶対大丈夫。ってフローラは何度も言ってたから。

 もう選ばれたんだよ。諦めてよ。」


 選ばれる。選ばれると連呼される日が来るとは。

 はー、選ばれたとか言われたいって念願し過ぎたのが悪かったのかしら?

 バチ?三十路の妄想が悪いのかしら。

 色々考え込んでたらジェラルドが丁寧な説明がいるんだと思ったらしく色々教えてくれた。


「現実逃避はダメだよ。

 これはね、フローラの命が懸けられてるんだ。それを忘れないで!

 じゃあ分かりやすく言うよ。

 君は薬草の知識に詳しく草を見分ける能力に優れてる。

 そして、それはお祖母様から受け継いだ能力だろ。

 その見分ける能力こそが、木々の声を聞く能力に繋がる訳。」ジェラルドが得意げに話す。


「今この「大森林」の声を聞けたら。それは人間と森の対立の終止符となります。

 それは最大の希望であり最後の希望なのです。」

 悲痛な騎士さんの声。

 大事になったはは


 混乱も極まった私は、今更の質問をする。


「ところで貴方はどなた?お名前は?」


 キョトンとした騎士さんと笑い転げるジェラルド。


「失礼しました。私はルスタ国の騎士でサイラスと申します。以後お見知り置き。」


「ははは。雪菜最高!

 サイラスは、自分を知らない人がいるって思わなかったんだよ、馬鹿だね。」


 ウケるジェラルドはほっておいて。


「あのー。フローラのお知り合い?ご用件は。」


 ダメだ。

 今度は二人とも馬鹿面して固まったわ。

 変な質問かしら。

 もう。



 そこへ、コンコン。

 今度はちゃんと扉を叩く音がしてまた一人訪ねてきた。


「こんにちわ。リュカです。」


 えーと、少年っぽいのばっかり増えるな。

 これは、また誰なの?

 強張った表情のジェラルドとまだ固まったままのサイラス。

 ニコニコのリュカ。

 もう収拾はつかないわ。



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