表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森に囲まれた!  作者: ちかず
34/233

森に出来た一本道!!

緊急事態発生!!


囲まれてた森に。

あのビッシリのはずの森に一本の細道が出来たから。



と、言うのもあの大食い少年ブルーノは、食べながら色々な話をしてくれたのよ。

(物凄く食べ物に釣られやすい体質ね…)


もぐもぐと動く口は一時たりと留まる事をしないで、そりゃあもう!

中身がバラバラ飛び出す勢いでの、話の内容は…。



精霊が、各地で弱りつつあると言うもので。

特に、この『大森林』の弱り方は尋常じゃないと。



だから、森が暴発しているのかもしれない。


あ、新しい意見!!

そうか。精霊を守ろうと森の木々が生い茂り、やがて森が広がっていったのか。


ん?

じゃあ、ジェラルドは?

確か、木の妖精だったような。


噂をすれば影なのかしら?

そんな話題の中で、ジェラルドがふらりと現れた。

いつもの剽軽な様子は無く、髪は乱れ痩せ細っていたわ。


いったい…。


「あー。

トトラルの少年を呼んだのか。

僕のしている事は、やっぱり間違っていたのかなぁ。精霊を守りたかっただけなのに…」


肩を落とすジェラルドの話は、良く分からない。

でも。

この森の異常とも言える木々の様子に、ジェラルドは加担していたのだと分かった。

フローラが苦労しているのに?


ジェラルド…。


「雪菜。

そう思うのも無理はないけど、この事はベラもフローラも知ってたよ。

精霊を失えば、今より状況は悪化する。だからどうしても、精霊を守りたかったんだ」


なるほど。

じゃあ、精霊は何故弱ったの?


「それが分からないから、大変なんじゃん!

チビ助は、やっぱりチビ助だな。

それにしても、ジェラルドだっけ。

木の妖精だよな?

それ、不味いだろ。そのままなら…」

ブルーノ…チビ助はソロソロやめようよ。

本当なら、ずっとお姉さんですから!!


それより話の最後に、ジェラルドの事で何か…


もしかして…と、問いかけようとした途端!


「さあ、とにかく雪菜の美味いご飯でも食べて元気出すかなぁ」

と、無理やり元気風を装うジェラルドに邪魔されたわ。それにしても、その元気は無理ありすぎ!


誤魔化したって、ブルーノに理由を聞くわよ。



「それはな」「やめろよ!!黙ってろ!!」


答えようとしたブルーノの声と、ジェラルドの声が重なる。


でもね。こうなるとどうしても理由を聞きたくなるわよね、大切な事の気がするし。

何より解決する為には全員の力を合わせなきゃ。


でしょ、ジェラルド。



「チビ助の割にはいい事言うな。

お前の言う通りだ。

木の妖精、お前そのままじゃ消えるぞ!

エナジーの殆どが身体に残ってないし、そのエナジーは普通の人間のご飯では、補えないし。

そりゃ、さ!この飯は美味いけどさ。


それでも、エナジーを集めた方がいい。特に、この森の為にも」


アレ?

なんでジェラルドが驚いてるの?


知らなかったの?自分の状態を?!


「ふふふ。

雪菜、そんな訳ないじゃん。

分かっていたさ、自分の事くらいは…ね。

でも、この少年が言う『エナジーを集める』というのは、初耳だから」


え?

そうなの?


じゃあ…この大食い少年は実は凄い人?



「ははは。

これだから、チビ助はさ。

こんな事は、トトラルでは常識なのさ。昔からの言い伝えを大切にしてきたからな。

それに木の妖精!

エナジーは、特定の場所に溜まるんだ。


例えば『精霊樹』」


!!!!


何?ジェラルドの動揺が大き過ぎない?

サイラスまで、びっくり顔だし。



『精霊樹』って、大切なの?


「雪菜殿。

『精霊樹』は、その名すら知る者もない秘匿中の秘匿。『大森林』の心臓部です。

私もギャビン殿やアーノルド殿だって、名前を聞いた事があるくらいで。

実際、見たものは、恐らく居ません。

それを、このトトラルの少年が何故…」

サイラスの顔には苦みが広がっていた。


トトラルの少年に知られたら不味いのかしら?


「へへへ。

そりゃ、俺は親方の弟子だからな、特別さ!

だから、心配ないよ。

トトラルでも、その事を知ってるのは親方くらいかもね。

なぁ。

木の妖精も『精霊樹』の位置を知らないんだろ?」


青白い顔のジェラルドが頷く。


アレ?

そう言えば、慶ちゃんが葉っぱを持って来てくれたような…。

気のせいかな?

あ、そうだわ。きっと別の『精霊樹』の事ね!


「あのね、雪菜。

別の『精霊樹』とか無いから!!

あったら、こんなに苦労してないからね。


その少年の言う通り、知らないよ。

それは、あのベラでも同じ事。


あ!!


まさか…まさか君が?

それって!!」


「違う、違う!!

そんな訳ないだろ?

でも、それ臭い人は君も知って…」



ん?

皆んなが一斉に扉の方を見た!!

何?


何かまた、来たの?!


ジェラルドは、扉をすり抜け外へと。

それを合図に皆んなは、扉を開けて追うと。


出来ました!!



まっすぐ伸びる一本道!!



唖然とする私の肩に小鳥がとまって。


『奥へ向かえ』


ひぃーーーーー!!!!


痺れる低音ボイス。

間違いない!!



『精霊』?!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ