ブルーノ少年…登場。
部屋の隅で、警戒心いっぱいにこちらを眺めてる少年に、どうやって声をかけようかと思っていたら…?
ハ、ハリネズミ??
ちっさなハリネズミが彼に話しかけてる?
『ブルーノ。
この人は、精霊の加護のある特別な存在だよ。
だから、大丈夫』
ハリネズミの言葉を咀嚼する前に、少年がこちらを向いた。
「精霊の加護?
こんなチビが…。
もしかして、お前が俺をココに呼んだのか?」
おー。
チビにチビとか、いっちゃダメよ。
特に身長が150㎝しかないのをコンプレックスにしてた私には!!
ほーら。そんな悪ガキには…
グリグリだー!
「痛!!
こんなに痛くするなら、やっぱり外の奴らは悪い奴だ。
親方の言う通りだ!!」
ふう。
いつまでも大人気ないかぁ。
何となくギャビンさんの視線が痛いし。
「あのね。
ココは『大森林』のベラの家。
今は、私フローラこと雪菜の家よ。
貴方を連れてきた覚えは全くありません!!
ハリネズミ!!
貴方は、話が分かりそうだわ。
貴方からこの子にちゃんと説明して」
あら?
何で、びっくり顔?
いや…と言うより顔色が急激に青ざめて…何故?
ん?
振り返ると、リカルド以外の全員が目が点?
なんでー?
『ハリネズミって。
僕のこと?
僕は、土の妖精でピテルと呼ばれてるんだけど…』
土の精霊かぁ。
ハリネズミとは、ちょっと意外ねぇ。
モグラみたいかと思ってたのに…。
「雪菜殿。
貴方は、いったい誰と話しているのですか?
ハリネズミとは?」
サイラスの困り顔?
そりゃ、誰って…。
えーと。
ピテル?だっけ。
「まさか、土の妖精では…」
アーノルド。
ちょっと驚き過ぎよ。
ハリネズミ君よ。とってもちっさな可愛い…。
「小さいって言うな!!
しかし。
俺意外にも、妖精を見る事が出来る奴がいたのか?」
え?
ええーーーー?
だって、ジェラルドは皆んな見えたし…。
「雪菜殿。
ジェラルド殿は、自ら姿を現していたので見えたのです。
ですが、ピテレ殿は隠れていたはず。
しかも、そこの少年に加護を与えている為ココに共に跳んだのだと思います。
トトラルの少年よ。
私は、ドルタ帝国のギャビンと申すもの。
そなたの名前を伺いたい」
あら?
少年は、ギャビンがトトラルの子だと分かったのをやたら…ビビってる?!
「雪菜殿。
トトラルの人間を見た事のある人は滅多にいませんから。ギャビン殿が特別なのです」
サイラスナイスフォロー!
なるほど。
「ブルーノ。
それが俺の名前だ。
ドルタの人間…。
トトラルの人間だと分かったんなら、何で俺がココにいるか分かるか?」
ギャビンに聞くブルーノは、ようやく心細そうな顔色になった。
ギャビンにトトラル人だとバレたのがそんなにショック?
「俺たちトトラル人は、特殊な一族なんだ。
閉鎖された国には、滅多に他の国の人間は入れない。
もちろん、俺たちも外へ出るには特別な許可がいるんだ。
もし。許可なく外へ出たら…」
出たら?
「もう二度と故郷の土を踏めない。
入国する事は出来ないんだ。
俺は、山の中を歩いてたはずなのに。
ココが『大森林』なら…」
さっきまでの元気は、何処へいったのか…なるほどね。
それほど厳しい罰則じゃ、しょうがないわね。
でも、今回は例外になるんじゃぁ…。
「そうだね。雪菜殿の言われる通りだと思うよ。
君がココにいるのは、間違いなく『大森林』の精霊の力だ。
だとすれば、如何にトトラルの国主と言えど罰は与えないよ」
サイラスの優しい言葉にブルーノは再び顔を上げた。
「しかし…。
ココは変な場所だな。
精霊の気配はめっちゃ弱いし。
家の中には、おかしな気配もあるし。
『大森林』の精霊は、何であんな姿に?」
「「「ええーーーー!!!!」」」
マジですか。
探してた『大森林』の精霊って近くにいた?!
皆んなの唖然とした顔を見ながら、この少年の特別な瞳が気になる。
紫色の目の中に…?




