闇の妖精の力とは…。
「ちょっと、待ってよ。
あの闇の妖精の後ろに、誰かいない?」
ゲルガーとサイラス達の睨み合いの向こうに、倒れてる人間発見!!
誰?
また、何かの妖精?
『コイツは、俺たちの仲間じゃないよ』
ゲルガーが指差した人は、ピクリともしない。
不味いわね。
皆んなが、倒れてる人に気を取られた瞬間!
ダッーシュ!
やったわ。成功!!
(運動神経無しの私も、やれば出来るのねー)
えーと、倒れてるのは、子供かな?
でもないか。少年…かなぁ。
呼吸も脈拍にも乱れはないし、落下したなら身体に怪我を…と見たけど問題無し。
じゃあ。
もしかして、寝てる?
この状況で??
う、羨ましい図太い神経。
あれ?
サイラス達がやたら怒鳴っる?!
ふと、振り返るとゲルガーが目の前に!!
何?
戦いの手段とか無いわよ…
ピーンチ!!
えーと。
木の棒、木の棒…初心冒険者は確か…
(人間ってパニクると、訳の分からない事を考えるって本当ね…)
ま、間に合わないーー!!
迫って来ないでーー!
ポン。
ん?
ポン??
何故、肩に手を置いたの?
「「「雪菜殿ーー!!!」」」
何?
皆んな、物凄い叫び声はどうしたのよ?
ゲルガーが私の肩に手を置いただけじゃない?
攻撃は、まだ受けてないから!!
「「「「嘘だーーーー!!!!」」」」
ん?
何が、嘘?
しかも、叫ぶ仲間に何故かゲルガーまで一緒とか。
『嘘だ。嘘だ、そんな訳ない。
俺が触れたのに、変化しないなんて!!!』
え?
もしかして、カエルに変わるとか。
『えーー!!
なんて言う恐ろし言う事を言うんだ。
可愛い…女の子なのに。
俺は、闇の妖精だよ。触れたんだよ!
驚かないの?』
??
「雪菜殿。
眠く、眠くなりませんか?」
えーー。
サイラス…。
いくら私が、KYだと言われていても。
この状況で、眠くなる人いたら見てみたいわ。
「ですから。
闇の妖精に触れられた人間は、黒目黒髪に変化して昼間活動出来なくなるのです。
その為、闇の妖精を我々は恐れているのです」
ギャビンさん。
いつも、的確な説明をありがとう。
(かなり遠方からの説明だったのは、ゲルガーに触れられるのを恐れていたのね)
あれ?
私は、じゃあ…
あ!!
「分かったわ。
私は、元々日本人だもの。
黒目黒髪の人々の国なのよ。
そのせいね」
私が納得して、頷いているとゲルガーからツッコミが!!
何故!!
(ボケ体質だったかしら?私…)
『あのね。
黒目黒髪は、後天的要因なの。
問題は、夜行性になる事。
これは、俺たち闇の妖精が人を求め過ぎたからだと言われてるんだ。
でも。
俺も、初めてだ。
触れも、なーにも変化のないのは。
手応えも全く無かったし」
グーグー。
ん?
あの少年?
まさかの、この状況でイビキーー!
「とにかく、ゲルガーは皆んなには触れないで。
私は、いいけどね。
はい。
後ろに下がってね。
この意地汚く寝てる少年をサイラスに運んで貰うから」
すると、ゲルガーがびっくり発言をした。
『もう、大丈夫。
俺…闇の妖精の力を失ったから。
何故か雪菜に触れたら、パッとなくなったんだ』
振り返ると。
紫の混じる黒髪に変化とか。
妖精として、大丈夫か?
ペペスさんみたく消えたりとか…
『あのね。
闇の妖精は、妖精族でも力の最強の部類なんだ。
消えたりとか、あり得ないし!』
それを聞いたので、安心してサイラスを呼んで少年を家に運んだ。
少し冷えてきたもの。
低体温症は、怖い病だもの。
一定線を過ぎると、取り返しのつかない事態になる。
家に入ると、ベラの家は予想通り変化していた…
ええー!!
予想破れたり…。
なんと!!
地下を更に二階に!!
(どうなってるの?この家…)
最下層(地下二階)に、ベラの部屋とゲルガーの部屋らしい。
地下一階の少年の部屋は、食料庫の横に。
物凄くよく寝る少年の為に、私は腕まくりをしてご飯作りに入る。
『けんちん汁』
野菜の沢山入ったスープよ。
味噌…ないから、似たもので代用。
豆の調味料。
肉も入れて、旨味を出す。
で。
パンではなく。
トウモロコシから作ったトルティーヤ?もどきを作る。
なんとなーーーく。それっぽいの完成。
肉の甘辛炒めも添えて。
レタスも必要ね。
(挟むと美味しさが数倍になる。
この不思議は、トルティーヤの魅力よねーー)
しかし。
サイラスが後ろでギャビンさんと話し合いしてたわ。
どうも、ゲルガーが気になるみたい。
とにかく!!
美味しいご飯が先!!
「「「「いただきます」」」」
声を揃えて、食べようとしたその瞬間!!
ムササビ?!
素早くテーブルから、食べ物が一部消えた…。
振り返るとあの少年が、リスのようになって頬張っていた。
薔薇色の頬。
栗毛色の髪。
愛らしいその姿は、今は!!
まさに野獣。
言葉…通じるかしら?




