呪い発動?!勉強は苦手です!!
呪いがーー!!
そうよ。
コレは恐らく、呪いのハズ!!
本を開くと眠くなる魔術に掛かってるのかもしれない。
大事な本にヨダレの跡を見つけたのは、気のせいだと思いた…
「そんな訳ないでしょ!!
バッチリ見えてるから!!
それにだよ。
雪菜が選んだ本の何処に眠気を誘うものがあるんだか?
えーと、、
『子供にも分かる魔法』
『簡単、世界地図』だろ。
その上…
『ミーバ鳥の卵は、何処に?』
『海鮮を食べたい人は、来たれ!!カザエルへ』
あのね、雪菜。
変わりたいんじゃなかったの?
選ぶ基準は、いいよ。
せ・め・て!!
ヨダレはやめてくれよーー!』
クッ。
ブルーレルめ。
何という的確なツッコミ。
隠し事の出来ないところが、使い魔持ちの辛いところね。
コソコソやってたのに。
「え?
あれ、コソコソやってたの?
俺、寝息が煩いから耳栓してたのに…」
うっ。
こっちからも、矢が!!
リカルドにまで、ツッコミまれたわ。
それにしても。
言語能力は、凄くても理解力は別とは。
(ツイテナイ…)
背表紙だけで、挫けた本も多いわ。
オタク心を擽るものも、ないし…。
あーーー!
ラノベ、読みたい。
「それより、ブルーレル殿に講義を受けた方が早いと思うよ。
選ぶのにもセンスいるし」
オタク発作を起こしてジタバタする私に、リカルドが鋭くツッコミながらも名案をくれた。
なるほど…。
期待の篭った目で、ブルーレルを見つめたらため息をひとつして、テーブルの上をチョコチョコ歩いて来た。
くー。
この辺りがツボなのよね。
あざとく可愛いし。
(性格が、ツッコミ体質だとしても。癒されるわ〜)
「分かった。リカルドの言う通りかもしれないね。
これじゃどんだけ時間が掛かるか分からないからな。
それじゃ。
まずは魔法から説明しようか」
結果から言えば、ブルーレルの講義は上手かったわ。眠気も来ない授業は薬学以来ね。
まずは。
魔法は、大きく4つある。
風・火・土・水。
で、これを自然魔法と呼ぶ。
その他に光魔法や、転移魔法など例外もあるけど。滅多に使える人はいないらしい。
でも、ちょっと含みを感じるのよ。
どうやら、まだ隠し球がありそうね。
次は、精霊。
これも、今では4代精霊になったとか。
(昔は、もっと居たらしい)
知ってるところでは。
リュカ
大森林の精霊
それと。
あと二人?はトトラルとカザエルにいる。
この辺りは、詳しくは話せないらしい。
でも、またちょっと精霊について詳しく説明して欲しかったのに。
(自分より上位にあるものの事は話せないキマリだとか…えーー!!
自力かぁ…が、頑張るしかない…ね)
そうそう。
国の名前よね。
知ってる三ヵ国の他に3つ。
(ルスタ国・ルーベント精霊強国・ドルタ帝国)
他の3国は…。
まずは『トトラル』
この国の特徴は高山にある事、謎に包まれている事。
(でも。重要な国よ。だって!!
ミーバ鳥の卵は、ココだけなのよ。じゃあ、私のプリンの夢は…)
次に『レサンタ国』
この国は、商人の国。
ここに売られてないものは、無いとか。
バザールが開かれる時は、沢山の人で賑わうらしいの。バザールという響きに惹かれるわ〜!
(乳製品…ココにあるのを期待!!)
最後に一番ココから遠い『カザエル』
海の近くにある国らしいの。
海鮮品なら、ココらしい。
(日本人なら行くっきゃないでしょ!!)
「ふぅ。
雪菜の食い意地は、理解したよ。
では、最後にちょっと危険な話をするよ。
それは『靄鬼』と呼ばれる。
いつ、何処から生まれたのか。
それを知る者は無い。
ただ…
コレが精霊の敵である事。
これだけは間違い無い。
一番の問題は。
コレは、どんな姿でも取れると言う事。
だから、まだ対抗策も持たない状況なんだ。
ただひとつ。
奴らの苦手が分かっている。
精霊石。
それに触れると元の姿を現わす」
最後のセリフの中には、ブルーレル初の暗い表情が見えたわ。
(とは言え、ペンギンな暗い表情…)
ドスン!!!
え?
物凄い物音に、ビクッとした。
何処から聞こえたの?
「雪菜。
この『大森林』にまたもやお客さんだ。
ただ、ちょっと様子が違うみたいだな…
そら!
外へ出すぞ」
また…ですか。
ふぅ。
ブルーレルの移動方法は、ちょっと乱暴よね。
目の前の景色がいきなり変わるのはびっくりするから、やめて欲しいのよね。
しかも。
目の前が、大きすぎの背中2つ?
なるほど。
サイラスとギャビンさんに塞がれて、なーんにも見えないのか!!
なんで?
二人の前に出ようとしてサイラスに止められたわよ?!
その上、珍しく強い力で後ろに戻されたし。
『おー、そんな態度で俺様に叶うと思うなよ。
人間共に、俺様に叶う訳ないだろ。
馬鹿だな…』
お!
隙間から見えたのは、日本人??
真っ黒な髪に黒い瞳。
ちょっと日本人にしては、体格が良いのが違和感あるけど。
なんで、この人…危ないの?
構えてる剣から、サイラスの本気が溢れてるわ。
(別名、殺気とも言う…)
『お嬢さん。
珍しく俺様に、ドン引かないね。
俺様の名はゲルガー。
闇の妖精だよ…』
闇の妖精?
出たわ。
また、新しい単語!!
べ、勉強には出なかったけど。
コレかしら?
ブルーレルがさっき、魔法の勉強で濁したモノは…。
でも。
私には、ゲルガーは悪いモノに見えなかったわ。
何処か、寂しげに見えたから…。




