図書館の管理人、ブルーレルの能力?!
「仕方ないなぁ。
とにかく、そこのヤロー共と一緒に雪菜に説明するよ。
そこに座って!」
私の肩を定位置にしたブルーレルが指(羽?)指した場所を見て二度見しました。
アレ?
私の目には、椅子が5つ見えるんだけど。
さっきは、重厚なこの机しかなかったよね?!
しかも。
机の大きさが、何か伸びた気が…
「さすが、雪菜だ。その通り!!
この図書館の管理人の役目は雪菜に快適さと便利をお届けすることだからね」
目ヂカラ…ペンギンってこんなにあったっけ?
私をガン見?!
血走る勢いのブルーレルの凄さは、ココからだった。
「まずは、この図書館。
ご利用は、自由だけど。
ひとつだけ、他と違う大事な事があるんだ。
『持ち出し禁止』
それだけは、守って欲しい。
でなければ、二度とこの図書館へ人は入れない。
これは、絶対の決まりだから。
分かった?!
さて。デルタライト王。
ココにある本の価値。
王なら理解出来るでしょう」
腕を組んでじっと話しを聞きいっていたギャビンさんが頷くと話し始めた。
「まずは、この本の殆どは私には理解出来ない言語だと言う事を申し添えて置こう。
それでも。
私が読める例え数冊でもその価値は、戦争さえ起しうるもの。
それほどの知識の集約がここにある。
それと、ブルーレル殿。
私は、単なるギャビンなのだ。
既に王としての地位から追われた身。
気安くギャビンと呼んで貰えまいか?」
は!!
王様だったんだった。
ギャビンさんがあんまりラフな雰囲気だからすっかり忘れてた。
それにしても…ちょっと気になる内容があるなぁ。
色んな言語で書かれてる?
おかしい…私には全部日本語なんだけど。
違いすら分かんないよ。
およ?
何で、サイラス達がガン見?
「本当ですか?雪菜殿。」と、サイラス。
うん…。
もちろん…頷くけど。
何故ガン見?!
それに。
ザッと見ただけだから奥の方は自信ないけどね!
「いや。雪菜に読めない文字はないよ。
それこそ、雪菜の優れた能力なのだから」
えぇ?
それって、結構有効なスキルよね…、
ようやく、チートスキルキターーー!!
それにしても…
なんで、ブルーレルは私より私を知ってるの?
使い魔侮り難し!!
(後でたっぷりと、その事を実感する間に合うけど…)
チートかぁ。
植物図鑑に、言語能力。
ふふふ…。
ちょっと、転移者っぽくて、オタク心を擽られるわぁ。
他のもあるかなぁ。
「コホン。
雪菜、能力よりまずはこの図書館の事だろ。
ほら!
他の人達は、分かってるみたいだよ。
サイラス。
君の言う通りだよ。
ココは異空間さ!
ベラ様の作られた特別な場所。
この場所は、ベラ様の地下室にあるように見えるけど、違うよ。
何処でもない場所で
何処にでもある場所。
それが異空間。
ココに来るにはこの『鍵』と雪菜の希望があればこそ」
そう言うと金色の古びた『鍵』を私の手のひらに乗せた。
うーん、オモチャの鍵に似てる。
飾りの部分の絵は…『精霊樹の葉』かなぁ?
あんまり。有り難みを感じないけど…。
手のひらのソレをじっと見てたら。
あぁーー!!
「ちょっと!!
ブルーレル、大変!!
鍵が!!
鍵が手のひらに埋め込まれたじゃない。取ってーーー!!」
「雪菜。落ち着いて。
グッパーしてご覧よ。ほら。
何も変わらないでしょ。コレは魔法の鍵。
雪菜の安全の為にも、無くさないようにこの形なの!
そりゃ。コレならば紛失しないでしょーよ?!
(ちょっとやだなぁ…手のひらに入れ墨)
「雪菜。
分かってる?この手を握って願えばいつでもこの場所に来られるんたよ!!
例え…
どの場所に居ても。
例え、遠くの国でも。
危険な場面でも。
必要な時、この扉は開くから。
必要なものを整えて。ね!」
ワァオ!
それ…○○でもドアだよね?!
アレ?
何か違うなよな…
『何処でも避難場所』
…の方がしっくりくるか?
何にせよ、めっちゃ便利だね。
あぁーーー!!!!
もしかして…
もしかして、この森から脱出出来る??
遂にき…
「あー、それは無理。
図書館から出ると、元居た場所にもどすだけだから。
別の場所に出るとかはないよ。
まぁ。説明は今のところこのくらいかな。
おいおい、だな。
さてさて。
雪菜がこの図書館を望んだ訳。
ソイツだよね」
ブルーレルは、リカルドを指差して言う。
「本当は、不法侵入のヤツなんか入れたくなかったのに。
雪菜がコイツに味方するから、罰を与えられないし。
おや?
お前の目的って。その羽の本体か?」
マジなの?!
しまってある『羽のカケラ』を見抜いた?!
ブルーレル…透視能力が!!
(単なる小煩い小姑じゃなかったのか…)
お?
ブルーレルが私の肩から飛んで、リカルドの頭の上に。
フンフンフン。
ペンギンなのに。
ペンギンなのに、犬みたいに匂いを嗅ぐとか?!
臭いで何が分かるのかなぁ。
「臭うんだよな。
恐らくは…。
まぁ、いいや。
お前!!
お前の望みがその『朝露の妖精』の復活ならば、恐らく『幻影園』へ行けば何とかなる。
だが。
さすがの図書館にも『幻影園』の本は無い。
ヒントならこの図書館にあるかもしれないが」
また出た。
新しい言語『幻影園』?
何のこっちゃ?!
「『朝露の妖精』…ペペスはそんな妖精だったんだ。凄いや。あんなに調べたのにここに来たら一発とか…」
リカルドは、目はキラキラでバラ色になった頬で美少年感が半端な!!
新しい情報を追いつかない頭をフル回転しようと、ジタバタしてたら。
「雪菜!!」
肩に戻ったブルーレルの鋭い声がしてビクッとしたわ。
何?
『慶鳥が雪菜を呼んでるよ。何か急ぎの文らしいよ」
ブルーレルのその言葉を聞きく終える前に、全員がベラの部屋の前に?
ブルーレルの姿は、消えていた。
およ?
まさかの、また転移??
はい!!
家の前に、慶ちゃんの伝令でした。
それなら、いつもの事だけど、でもその内容こそ、大問題だった。
サイさんから。
しかも…内容は。
『緊急事態発生!!
ルスタ国軍が、王を伴って『大森林』を目指しています。目的は『大森林』の火攻め。
王は『火の精霊石』を手に入れたり』
その内容を聞いた途端、真っ青な顔色のサイラスが呟いた。
「『火の精霊石』だけが、この『大森林』を傷つける事が出来ます。
もし…
もしも、本当に王がソレを使ったら、この国はお終いです。精霊は二度とこの国を許さないでしょう」
ええーーー!!
ピ、ピンチじゃないの?
ど、どうする?
すると、慶ちゃんが。
『到着まで、あと二日かな。
どうする?
仲間を集めようか?』って。
仲間?
小鳥じゃ…ちょっと無理じゃあ…。
戸惑う私をよそに。
慶ちゃんは『任せて』と言うと飛び立った。
大丈夫かな。
慶ちゃん!!
頼んだよーー!!!




