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森に囲まれた!  作者: ちかず
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リカルドの秘密とベラの部屋。

編集しました。


内容に誤差があり、数話を少し変えました。

(薬草瓶の記述のところです。フローラではなくベラの研究したものと直しました。)


申し訳ありません。

今一度精査して、書いて参ります。


宜しくお願いします。




 私のスープを飲んで、少し元気を取り戻したリカルドが少し諦観した表情で、話はじめた。


 それは…


「あれは、俺の住む村の近くで突然起きた事だった。

 その頃、ドルタ帝国とルーベント精霊強国との間にイザコザが続いていて。


 戦争になろうかという頃だと思う。


 やがて、戦争は何とか回避したが集められた傭兵は行き場を失って。

 命懸けの仕事なのに、二足三文の金で放逐されたんだよ。


 そりゃ恨むだろう。

 その恨みは、中央ではなく過疎の村に向かったんだよ。

 もう、何処も酷い有様さ。

 盗みや破壊などは生温い方で、殺された人も多いよ。


 でも、国は立て直しに精一杯で放置状態。


 やがて、そのツケは俺の村にも襲いかかってきた。


 近くに流れる川に毒を撒きやがったんだ。

 通りすがりのついでに、だ!!


 被害は農村地帯では絶大だ。

 村人も毒に当り幾人も犠牲になるしな。


 その時、ペペスが力を貸してくれたんだ。

 彼は…水の妖精だったと思う。


 ただ…とても力の弱い妖精だったから、普段は僅かな水を湧き出すくらいでさ。

 村人からは役立たずなんて呼ばれてたよ。


 でも、彼はいつも笑ってた。


 そんな時、奴が突然川を浄化する!とか言い出してさ。

 気づきゃ良かったんだ…

 一番の親友である俺が。


 彼の必死の浄化も、やっぱり役立たずで。

 結局、川は不完全な浄化状態になって、村人は村を捨てたんだ。


 彼は笑顔で

『やっぱり役立たずでごめん。リカルドも逃げて』ってさ。

 妖精は、住んでいる場所を動けないからって。



 家族のない俺は村人の情けで育てて貰ってた。

 子供だったし、否やを言えないのを知っていたんだろう。


 そして…村を出た日。

 手を振って、ペペスと別れたんだ。

 また会おうって、約束して。


 だけど。

 暫く行って、何か嫌な予感がしたんだよ。


 戻ると言う俺に


「もう無駄だ。力を使い果たして彼はもうダメだろう」村人たちは、言いやがった。


 気づけば止める村人を振り切って必死に走って帰ってた。


 そしたら、川の近くにペペスが倒れてたんだ。

 もう奴はうっすらと消えそうになっていて…。


 ペペスを抱きしめて泣き噦る俺に、


 ペペスが最後に言ったんだ。


「きっとまた会える。泣かないで」


 掠れた声でさ…、



 コレを残して…消えたよ。


 それから、俺は何でもやって生きてきた。

 ペペスと再び会う方法を探しながら…。


 でも、手掛かりすらねぇ。

 そんな時、ルーベント精霊強国のお偉方に『妖精の復活』と言う本があると聞いたんだよ。

 本と引き換えに、この『大森林』に忍び込んでフローラを連れて来いってさ」


 あまりの内容に、暫く誰も口を開かなかった。


 暫くしてギャビンが


「申し訳ない。

 一人の大人として。ドルタ帝国の人間としてお詫びしたい。

 両国の間にある其方の村に何の罪もない。


 そんな私が言える事ではないが。

 私の経験からひとつ。


 もしかすると、ペペス殿は毒に既に侵されていたのかもしれない。

 だから、最後の力を君の為に使いたかったのだろう。水の妖精が、近くの川を汚染されて無事とは考え難いのだ。


 川の浄化は無謀な試みだが、その為に彼は散ったのではないと思う。


 しかも、その『羽』のカケラだ。

 それが今だに消えていない理由が何かあるだろう。

 普通なら彼と共に消えている」


 真摯に詫びる彼の姿に、私も一人の大人として…出来れば力になりたいと思う。


 いったいどうすれば…『羽』がヒントなのかなぁ?


「でもさ、何でフローラを連れ去らず、何でベラの部屋へ無理矢理入ろうとしたのさ!」


 ジェラルドは、まだご立腹のようだ。

 ベラと仲良しだったから。


 少し、俯いてリカルドが言う。


「本の中には…ベラの長いの魔女が知っていると書いてあったんだ。そしたら、もしかしたら『大森林』にあるベラ殿の部屋に手掛かりがあるもしれないって言われてさ。

 藁にもすがる思いでココに来たんだよ。

 長生きの魔女しか救えない。とね」


 なるほど。

 じゃあ…ベラの部屋にさえ入れば何かヒントがあるのかしら?


 でも…眠り粉の問題が…。

 は!

 あの時…

 私が部屋のノブを触った時は、眠らなかったもの。もしかして…。


「ふーん。

 でもさ、単純だね。

 魔女がドアに細工しない訳ないじゃん!!

 。。。

 生きてる時から、僕だって入った事ないから!!」


 ジェラルド。最後は…嫉妬かい!!



 無理は禁物だと、その後皆と一緒にリカルドの部屋を出た。

 少し眠った方が良いよと。

 青汁でいつでも起こすからって伝えたら。


 めっちゃ首を横に振ってましたよ。

 首…痛めるよ!


 青汁…日本でもココでも不味さ抜群か。


 それから、私はベラの部屋の前にいた。

 もちろん、皆んなもついて来た。


「雪菜殿。何か良い案がありますか?」

 落ち着いたギャビンさんの声に首を横に振る。


 まずは、見ないとね。

 何事も、現地調査が大切!


 よーく見たけど。


 ドアには、『ベラの部屋』と書かれたプレートがあるだけで何処にも変な所はない。


 うーん。

 じゃあ…


 ドアノブに手を伸ばすとサイラスから「危ない!!」の声。


 敢えてノブを握る。


 。。。



 変化なし!



 仕掛けがあるかなぁと皆んなでドアを検分するけど何も無い。


 ふぅ。思い付きはダメか。


 諦めかけて、ふと気がつく。


 アレは何だろう?

 


 ドアの横にある『鏡』

 背が低いから、気にならなかったわ。


 サイラスに頼んでも持ち上げて貰う。


 木枠の可愛い鏡だ。

 木枠には、草や花の飾りが付いてる。



 女らしさを見習いたくなる、乙女心溢れる鏡に密かにコンプレックスを刺激されるわ。


 よく見て、乙女心の勉強しようとサイラスに頼む。

 鏡を側でみると、木枠にも精巧な彫刻がある。

 お値打ち品だなと、ロマンも何も無い事を思いながら眺めて、ふと気づく。


 ん?


 コレ…誰??

 まさかの私!!


 鏡の中の私は、渋めな金色の天パーな髪に美少女チックな顔立ち。目は緑のスーパー美少女??


 ガーン。


 日本人らしい顔で、地味に生活してた私にはキツイほどのプリティ顔。


 は!


 今はそんな事にショック受けてる場合じゃない!!


 アレよ。


 私の側に、無いものが写ってるのよ。

 顔の横にあるものは…何?!


 えーと…『葉っぱ』?


 その時の私は、その『葉っぱ』がとにかく気になって何も考えてなかった。

 だからだろう。


 そのまま、鏡の中へ手を伸ばしていたのだ。



「掴めた!」


 まるで水の中に手を入れるように、ヒンヤリするが目標の葉っぱが取れたのだ。



 抱き上げてるサイラスを見ると、目を剥いてるわ。無理もない。


 自分でも信じられない。

『葉っぱ』は手のひらにある。



「取れちゃった…」


 葉っぱは、少し硬い。

 アレ?

 よく見れば木彫りじゃない。

 コレをどうすれば良いのかしら。

 ヒントよね…コレ。


 私は再び、ドアへもう一度目を向けると


 あ!!


 プレートの横に隙間発見!!


 そっと触ると…何とプレートが横にずれて行くし!!



 まさかの、、、葉っぱの形に窪み発見!!


『葉っぱ』の木彫りを…カチッと嵌め込むと。



 消えた!!


 ドア?


 違うじゃない!!



 目の前のドアでなく、鏡の方がドアだったのかドアの横に空間が現れたわ。

 眠り粉付きの方はフェイクドアだったのね…。



 さすが、ベラさん。魔女怖し!!



 しかし…目の前に見えるのは、部屋と言うより。




 図書館?!


 ベラさんは、まさかの図書館にお住まいだったのかしら。ここでよく寝れるわね…。


 いつの間に?


 フラフラしたリカルドが後ろに立ってた。


「これが魔女の秘密…」


 ジェラルドさえ、ポカーンとする見た目と違う広い広ーい部屋。




「あの…

 とにかく、もう開いたのだからご飯が先で!!

 まずは腹拵え!!」


 プッと、笑い声。


 吹き出したリカルドと、笑顔の皆んな。



 冒険前は腹拵えよね。


 え?

 オタクの常識じゃないの?



 青汁の臭いが抜けた居間で、いつもの朝ご飯。


「いただきます」


 拙い日本語が居間に溢れた…

 


 

他の作品共々、誤字脱字をご指摘ありがとうございます。


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