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森に囲まれた!  作者: ちかず
215/233

再会…そして。

編集致しました。


コピーの使い方を間違えて何度も同じ文章が書いてあるのを見て頭を抱えました。

お読み下さる皆様…。


本当に申し訳ありません。

今後重々気をつけますのでどうぞまた、お立ち寄りくだされば幸いです。


ちかず



ー雪菜視点ー


目が覚めたら心配そうに覗き込むその瞳は、懐かしい人のモノだったから、すぐに分かった。また夢を見ているんだと。

でも、思わず言葉にしてしまった。


「サイラス」と。


異世界に来てから何度彼の変わらぬフォローに助けられただろう。帰りたいと一人泣く夜も、朝になれば再び元気が出て踏ん張って来れたのも彼のお陰。いや、違うかも。こっちに来てから本当にたくさんの人達に支えられていたのだと一人になった今なら分かる。


あの時。

手を伸ばす私が彼のその視界に全く写っていないと理解した途端、身体中の力が抜けて座り込んのだから。もし、ラドルフさんに拾われなかったからあのまま立ち上がれなかったかもしれない。私の上を視線が通過するショックでその景色を何度となく夢で見ては魘された。



今回も同じ夢なのか。でも…やたらと揺さぶられる気がするし、何度もお腹を押されてみたいない感覚があって結構、痛い。

やがて、息まで苦しくなって思わず「うげっ」と声が出て本格的に目が覚めた。


え?あれ??


馬上にいる。なんでと考えて思い出した。そうだわ、誘拐されたんだと。あの嫌な奴第一位に。

鞍の上に下向きに乗せられていたせいで馬具にお腹が圧迫されて痛みが強いしおまけに吐き気まで連れてきてるし。


でも、オカシイわ。

この馬は今止まってるのに、誰も私を下ろしに来ないから。こんなに放っておかれるなんてもしかして、今が逃げ時かな?

そう考えた私は、痛みに顔を顰めながらもやっと身体を起こす。何せ北海道の牧場で止まってる馬に乗った経験しかないからこの高さにまずはかなりビビってる。しかも、動き出したら確実に落馬決定よ?自分の運動神経なんてモノは全く信用ならないから、慎重にそっと馬から滑り落ちるようにっと。

あっ、!結局失敗して『ドスン!』と勢いよくお尻から落ちた私は涙目から周りを見て固まった。

あれ?やっぱりこれが夢の中かしら…不安で頬っぺたを抓ったら、地味に痛い。

頬っぺた抓るなんて誰が思いついたのかしら…これってあんまり良い方法じゃないよね?

。。。なんて現実逃避する考え事している暇はないみたい。


だって私の目の前で繰り広げられているのは、1対多数の乱戦で。しかも多数を相手にしてるのは、夢かと思ったサイラスだったし。

知ってるけど知らない顔で(般若なの?!)サイラスが次々と誘拐犯の一味をなぎ倒すのが目に入る。息も乱れないサイラスの余裕の態度に比べてガムシャラに敵は打ち掛かって来る。


サイラス、何でいるの?

もしかして、私元に戻ったの??


微かな希望に慌てて顔を手で触りながらよく知る自分の顔でありますようにと祈るも虚しい結果になる。ちょっぴり生えている髭が少年の身体だと簡単に教えてくれてから。


だとすれば、結論はひとつね。

誘拐された私を放っておけなかった。そう、見知らぬ少年の為に命を張る、それが聖騎士なのね。

今のサイラスの背中から滲み出る『絶対ここは通さない』と言う固い決意を感じる。

そんな彼が近くにいる事からかしら?あれからいつも警戒していた身体から力が抜けてゆくのを感じる。

サイラスはと言えば、敵にも情けをかけているのか誰もかれも怪我のみで…やっぱり聖騎士の実力って半端ないと実感する頃には戦いはサイラスの勝利が決定していた。


戦いも終盤に来て私に気づいたサイラスがこちらを振り向いた。

「あ、起きたんだね。あと少しだからちょっと待ってて。」そう声かけしてくれた。


柔らかな笑顔がこちらを振り向いた途端視界が霞む。


あ、ダメダメ。馬鹿な雪菜め。

助けられて何で泣くのよ。サイラスがする他人行儀な笑顔に胸が苦しくて泣くなんて…見ず知らずの少年を命懸けで救助してくれるサイラスに失礼よ。

それよりも、再び会えた事に感謝しなきゃ!!

両手で気合を頬っぺた入れて立ち上がったその時には、すべての敵がゴロゴロと倒されて戦いは終結した。


「怪我はないかい?もしかして君はこの連中を知ってるかな。ちょっと教えてくれないか?あ、そうだ。ごめんよ。自己紹介がまだだったね。聖騎士のサイラスと言うんだ。」爽やか青年そのままの笑顔で手を伸ばすサイラスと握手を交すと頭を下げて礼を述べた。


「お助け下さりありがとうございます。僕の名前はサイと言います。コイツらはザルグフと言う悪者なんです。」


どう?

ちゃんとやれば出来るでしょ?


そう、ここにいない碧ちゃんに心の中で尋ねた。


改めて自己紹介をするサイラスに『普通の少年らしい笑顔』が、出来たよね?と。

三十路を舐めないでよね。

会社や友達にも、何度もこんな作り物の顔を使ってきたもの。


そんな頑張る私の頭を撫でてくれるサイラスが、その時ビックリ箱を掘り込んできた。


「あの、君に会った事があるよね?もしかして…ゆき…」


え?雪菜って言いかけた?!

でも、最後までその台詞を聞くことはなかった。

何故なら言いかけたその時、倒れていたはずの敵の一人が起き上がって鈍く光る何かを持ってこちらに向かって来るのが見えたから。


「危ない!!」と言ったのと脇腹に熱さを感じたのは同時だった気がする。その次には息も出来ない激痛に襲われて。



『鈍臭い私が人を庇うなんてできる訳ないから。単なる偶然だから。』と。


敵を叩きのめしたサイラスが私を抱きしめながら何度も「絶対助けるから」との言葉を繰り返すのを聞きながらそんな言い訳は、ちゃんと言葉に出来たかな?



でも…そのままブラックアウトした私には、サイラスの雄叫びも叫びも届かないかった。

だから知らなかったのだ。



彼が「雪菜ー!!」と叫んでいたのを。





 

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