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森に囲まれた!  作者: ちかず
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自由人現る?!

ランバルとは、ドルタ帝国前宰相です。

かなり前にドルタから逃亡しております。。。


いつもお読み下さりありがとうございます。

カザエルとレサンタ編は最終になります。

宜しくお願いします。ちかず


ーカザエルの王宮にてー


「陛下。騎士団長がレサンタに向かいました」との騎士団からの報告に一つ頷いたのは、壮年の男性だ。


「どうやらその様だな。お客人、其方の差し金かね」彼の声は重さに満ちていたが、聞かれた本人は何事もなかった様に返答した。


「恐れ多い事に御座います。私の知るせめてもの情報をお伝えしたまで。あの魔女は中々に曲者と」


重臣達に静かな動揺が広がる。

だが、それも王座に座る男の一言で静まり返る。


「なるほど、さすがランバル殿だな。しかし、彼女の元には我が半身も向かった様だな。さて、彼女はどう出るか…」


それを聞いた途端、終始不敵な笑みを浮かべていた男から表情が抜け落ちる。


「陛下!!まさか海の精霊様が他国へ…」

臣下の中から太った男は汗を拭きながら不安そうに呟いた。


「ナガゼル。お主はまさか我が半身の為さり様に不安があると?」

ナガゼルと名指しされた太った男が途端に怯えた様に土下座をして「不敬を申し上げました。お詫び申し上げます」と必死に叫ぶも騎士団に「御身拘束させて頂きます」と引き摺られてゆく。


それを見ていた皆が鎮まり返った。


一人我に返ったランバルと呼ばれた男が「私も御前失礼致します」と足早にその場を去ると並んでいた家臣達も同様にその場から離れた。


一人、王座に残った男は天井まである大きな窓の方を眺めてため息をついた。

先程と違いその顔には深い憂いが浮かんでいた。



ー雪菜視点ー


自由人。

その称号を持つ人はかなり厄介だ。

何故なら全ての事柄が自己完結しているから。


会社でも、学校でもこの手の人にはかなり悩まさせた。が…相手は精霊。

金縛りの私に打てる手はないし…。


「お前、まだ話す気もないと言う事か。精霊を侮ればどうなるかその身に知らしめてやろうか…」あー。遂にキレかけてるし。


碧ちゃんと言えば「どうしよう。金縛り解いた方がいい?ううん、それじゃダメね。やっぱり助けを呼んでくるから、待ってて」と部屋の外へ。

碧ちゃん…たぶん人間は誰も近づけないと思うよ。だから、金縛りを解いて欲しかった!!いつもながら、明後日の方向に力を貸してくれるんだから。。。せめて砂漠の精霊を!!


そんな考え事している間に精霊はテーブルにあるモノをしげしげと見つめていた。

へ?

何も珍しいものなんて無いけど。


ただ、ホットケーキの残りが皿の上にあるくらいで。でも、精霊は基本的に人間の食べ物は食べれないはず……?!


「美味いな。うーん、これじゃ他の精霊も気にいるかもな。ヤバっ!!トラヴィスまで近くにいる気配がする。トンズラするか…」


皿の上にあった三人前のホットケーキは空っぽで、その上私特性のお茶もがぶ飲みしていた。


マジで本当に精霊?!

疑問を残しつつ彼は窓に足をかけた。

へ?まさかの窓から脱出?!

精霊らしさが皆無なんだけど、この金縛りやゲラン達がいない事も含めて間違いないんだろうけど…。


「おい、今度会った時はちゃんと挨拶しろよ!あ、ヤバっ!!!」

「「「雪菜殿ー!!!」」」


二つの声は重なりあった。

ドアは砂となり溶けていて、その向こうから駆けつけたのは予想通りにサイラス達とまさかのベルサークさん?!戦う執事なの?!


慌てたんだと思うけど、精霊は逃げる時に窓枠に引っかかって「痛っ!!」と小さな悲鳴上げた。


窓から逃げた割に姿が一瞬で消え失せて、やはり精霊だったのだと妙に納得したんだけど。


なんて、冷静っぽい事言ってますが。

今、危機一髪なのよ…。

あのー、サイラス。これって、絞め技ですか?

もうすぐ私の意識が落ちますけど、怒ってます?!


「あ、すみません。心配したものですから」

よ。よかった。気づいてくれた。


い、息がーー。

はぁはぁ。苦しかったー。


あれ?

解放されない?!


やっぱり腕の中に閉じ込められているこの形はまさかの『抱きしめ』と言うイケメン枠の得意技では?!


次々と起こる衝撃に、照れるより気が動転して思わず。


「グエッ。」


。。肘打ちしちゃった。


「ご、ごめんなさい、サイラス!!

つい、混乱してて。助けてくれたのにお礼も言わないで。

改めてありがとう」


「いえ。私こそ申し訳ない。扉は何をしても開かずしかも物音すら聞こえない。ドアから飛び出てきた祝卵殿が助けを求めて走り回っていたのを見た時は心底、震えました…」

見れば、手のひらから血が滲んでる。

どれほど強く扉を、叩いていたかが一発で分かるわ。

それは後ろのゲラン達も同じで。


精霊の力の威力を舐めていた自分が恥ずかしい。


「ううん。心配かけてごめんなさい。手から血が出てるけど大丈夫?」


と、手に触れようとしたらパッと引っ込められた。何故に?!


「こんなもの何ともありません。それよりも雪菜殿こそお身体は大丈夫ですか?

お顔が赤い気がするのですが…」


いや、そこは突っ込まないで欲しかった。

さっきから無駄に男の色気全開で私を見つめる貴方の責任だぁーと言いたいけど。

(抱きしめられた記憶がぁー!!後からジワリと来るんだものーー!!!干物にはキツイよぉ。。)



「さ、雪菜様。皆様。お茶が入りました。こちらへどうぞ」

ベルサークさん!!

感動するわ。このタイミング。


気まづさ100%だったから。

ふぅ。


それにしても、碧ちゃんと砂漠の精霊コンビはまさかの探偵ごっこ?!さっきの精霊の後をつけていったみたいだけど大丈夫かな?



ようやく落ち着いてお茶を飲んだ私達が、お開きにした後窓辺へと近づいた。

碧ちゃん達の姿がないかな?と。


ん?

キラッと目に光が入る。

夜なのに?!

ジッと目を凝らして見れば、窓辺に半透明の石っぽいモノが引っかかっていた。

手のひらに乗せれば、六角形の平べったい石はまるで鱗みたいで。


さっきの精霊のモノなのだろうか?



窓から逃げた精霊は、完全に人形だったけど本体は違うのかな?

私はそれを自分の懐にしまった。


やがて、ソレが鍵を握るとは知らぬままに…。



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