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森に囲まれた!  作者: ちかず
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螻蛄の独り言…


ー螻蛄(土の精)の独り言ー


まったくぅ。

大森林の精霊様は人使い(螻蛄使いとも言う)が荒いんだから!!


僕らは、ある日精霊様から任務を命じられた。それは、精には少し荷が勝つ命令で。


『雪菜と共に行け。そして加護を与えよ』



ええーーー!!!

久しぶりに我々の前に姿を現された精霊様は、お元気そうで安心した。でも…。

人間?

加護??


無理、無理無理無理…。

我々は小さい、弱い、テリトリーを出ない。で、有名な精ですけど。



え?


『特別な力を貸そう』




こうして、僕ら三匹の螻蛄は『選ばれし螻蛄』になったのだ。

んんー。

でも、人間の為に??

何で??


この国の人間は、嫌いだ。森を敵視し我々を無視する。ずっと共に生きてきたのに。


!!!


でも、出会ってびっくりした。

あれが雪菜?

何て綺麗なんだぁ。コレ本当に人間か?


『ククク。世界は広いぞ。さあ、行け』


精霊様の笑い声は耳に入らなかった。だって…あんなにも綺麗な人間なんて見た事ないから目が釘付けで空いた口が塞がらないよ。


僕ら精は、人間の出す靄を視る事が出来る。

様々な色を持つ靄。

例えば悪い人間は、真っ黒な靄を纏っていて本体すら見えないのだ。

ま、だいたいどんな人間でも黒っぽい靄を多少なりと纏っているのだが。


なのに。。。


アレは真っ白な靄なのだ。ま、多少の変な色合いの靄もある(初めて視る色…ちょっと不安だ…)が側にいて気持ち良い。

よーし。やるゾォ!!

我々は俄然張り切った。

彼女の側にいると力も漲るし、彼女の側にいる人間も気持ちの良い靄ばかりで人間に対する偏見が消えた。

旅は続いた。


僕らは、そして知った。世界は大森林よりも危機的状況だったと。そして訪れた火山の予兆とリュカ様の消滅。さすがに我々もその時は加護無しでは吹っ飛んだだろう。


だけど、だ!!

トトラルの状況はそれ以上の悲惨さだった。何とカケラになった精霊様と出会うなんて。

そして

僕らは今、ようやく雪菜に出会ったんだ。



「さ。これから皆んなに働いて貰うわね」


優しげに笑う雪菜は思った通りに凄い力を秘めていた。けど。


超〜人使いが荒い。と後からしみじみ知る事になる。その時、張り切っていたけだどさ。



「さ、螻蛄ちゃんも、ミニハリネズミ軍団もこっちに来て!!」丸まったピテレの周りに集まっていた土の精たちが不安そうにしていたら呼ばれた。


何という大雑把な括り。それでも僕らは一列に並んだ。


ジャバジャバジャバーー!!


ぎぁっ!!

なんと頭から薬を掛けられたよぉ。あー薬が目に染みたぁ。。ん?んん??


漲る力ぁーー!


「あ、良かった。螻蛄ちゃんも元気になったね。じゃあ、早速コレ宜しくね」


雪菜が並べたのは、希少種と呼ばれる草や花など。まさか…これを?


「集めてきて欲しいの。あ、大丈夫。この森にあるはずよ、絶対に」


確信に満ちた雪菜に僕は尋ねた。


『何故、分かるの?』と、聞いたら大変だった。、


「きゃあーー!!!喋ったぁ!!螻蛄ちゃんやっぱり喋れるのね」


ピョコピョコ跳ねる雪菜の口からは…

何故、ヨダレ?

食べるつもりなのか??

ヒィ!!!!!


「あ、ごめんごめん。誤解だから。単なる可愛いモノ好きが昂じただけだから!!」


『激しい否定は、肯定だよね?』

精霊様ぁ。何という素晴らしいツッコミ!!


「いや、本当よ。コホンコホン。。。事態は深刻よ。さ、早速取り掛かりましょう。大量の薬を作るからエペはそれを『ゼゼレブ』に掛けて来てね。そして、私と精霊様は薬の配合ね〜」


げっ。まさかの精霊様まで働かせる気なのか…

でも、精霊様はカケラで無理が…アレ?

なんで嬉しそう??


『ほら、螻蛄くん。キミも頑張ってね。僕も元気が出たから雪菜と一緒に頑張るから!!』


げげっ!!

まさかの…

雪菜が手のひらに摘んで載せた?!


精霊様の身体からほんのり光が漏れる。

もしかして…力が戻りつつあるのかなぁ。


微かな希望を胸に僕は駆け出す。

信じてる。


だって、雪菜だから…ね?



ー雪菜視点ー


やるしかない!!

解毒薬を大量に作る。『ゼゼレブ』を本来の姿に戻す。そして…。


ミニハリネズミや螻蛄ちゃんに配合した薬を掛けて薬草の採取をお願いする。

この森は特別な森なのだと私は『ゼゼレブ』の変異からもそれを確信した。

そして。やっぱり薬草はあった。あとはやるだけ。とにかく必死に、配合をする。

精霊様も手伝ってくれた。出来るとエペに渡す。

エペは森中を駆け巡る。そして『無害なゼゼレブ』を増やしてゆく。

どんどん積み上がる薬草の束・束・束…。

あー、もう手が二本じゃ足りないよぉ。

必死な私は、ある時顔を上げて目を瞠る。


アレ?コレは…


頼んだミニハリネズミがどんどん薬草を持ってきてくれるのは、嬉しいよ。でも…増えてるよね?更に増えた子が、薬を要求するからもちろん、片っ端から掛けたわよ?そしたら…ねずみ算って、ハリネズミにも使えるの??

超増殖中…??


それに螻蛄ちゃん…成長途中でした?

巨大化してない??

そんな犬みたいな大きさだっけ??


極め付けは、森だよね?

大木は?ほら、太古の森的な雰囲気がぁ!?


こんな暢気な草原っぽい森だっけ??

広がる草原には、真っ白な『ゼゼレブ』の花畑が広がっていた。


驚いて呆然としてる私の前に、突然空からお客さんが降ってきた。

お客さん…その真っ白な歯は、まさかの牙ですか?

まさかのお怒り中ですか?


ピ、ピンチーーーです!!!!


降りてきたのは真っ白な虎に似た(いや。大きさが虎じゃない。象??)何かで。しかも確実にお怒りですよね。


さ、どうする、私!!

死んだふりとか、通用するかな?

。。。

人はパニックになると…ね?いや、やってないから!!だってその前に助っ人登場したから…、


『雪菜!!!』


エペ!!

めっちゃ男前です!!!

た、助かったぁ。、。あれ?背中に誰かいません??


まさかのブルーノ?


ちびっこブルーノ付きって、戦いに向かないから!!エペ…残念な男前に変更決定で…。


そんな下らない脳内お喋りをしている私は、またもやびっくり展開になるなんて、予想すらしていないかった。


あー。。

ミニハリネズミ、侮りがたし。。。




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