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森に囲まれた!  作者: ちかず
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不敬罪って、重い罪かしら…


ー雪菜視点ー


激しくドアを叩く音に全員が緊張を走らせていたけど、一人だけ全く意に介していない人物がいたわ。


「皆さま、お休みのところお騒がせしております。少し席を外します」


全く慌てた風でないハンナさんが、ドアから出てゆくのを[大丈夫なの?]目線でサイラスに尋ねたら。


「雪菜殿。ハンナ殿はこの国の方です。まずは様子をみましょう」


その言葉に私も納得しつつも、近くに行って様子を知りたかった。

でも、粗忽な私だもの。何かヤラカシてからでは不味いし。


悶々とする私にサイラスが「全員外へ出ております。近くまで私がお連れしますから着替え下さい」と。


えーと。

また、ヤラカシタの私の顔ってば?!


「雪菜殿、もう随分ご一緒しております。雪菜殿ならハンナ殿をそのままにするのは不安に思われるでしょうから」


イケメンの心遣いって、何故か照れるわ。

でも、今は時間がない。ハンナさんに何かあってからでは遅いから。


素早く着替えた私とサイラス、それにリカルドが一緒に玄関近くへと向かうと。

やはり怒声が聞こえてきた。


「お主なぁ。如何にアーノルド様の乳母であろうと神殿のご意向は王宮とは別。とにかく、家の中の捜索に協力せよ!!」


「あら?これは可笑しな事をおっしゃるわ。

神殿のご意向であるならば、まずは証明をされては如何?」


ぬーぅ。と唸り声がする。

身分証を持参しない人物なのね。やっぱり怪しいわ。


「我らの姿を見てその様な事を申すなど、お主の信仰心を疑うわ!!我ら神殿の者たちがこの街を守らねば、王家の暴発した輩に踏みにじられておるのだぞ!!我らに感謝を捧げるならいざ知らず、反抗するとは〜!!!」


完全に激昂し始めた怒声の持ち主は、既に冷静な受け答えになっていない様だわ。

神殿って、この国ではそんなに偉いのかしら?

そもそも、何の神様を信じてるの?


落ち着いているハンナさんに、安心した私が考え事をしていると『答えは僕らが教えるね』

え?何処から声が…と見回すと。なんとミニハリネズミが一匹玄関から入ってくるのが目に入る。


ぎゃぁ!

あの神殿の怒りんぼに捕まるって!!


んん??

何故か全員がスルーしてる。

もしかして、後ろにいるサイラスたちも気付いてないの?


近くに来たミニハリネズミが喋った…。


『そりゃそうさ。普段は人間に我らの姿は見えないから。ズバリ!!答えは[精霊]です。まぁ国の名前にも入ってるから』


なるほど。

と、なるとリュカが消えたのも知っていて怒っているのね。

。。。ちょっと待って。

ミニハリネズミ達ってば、こんなキャラだったっけ?

それに、何処か見た目も違うような。

大きさや色柄だって。

既視感が変にあるのも不思議だし…


『ハハハ。奴らは精霊の事など把握してないよ。感応力が皆無なんだから』


結構、毒舌家に変身したミニハリネズミ君だけど、その内容はもっとヤバい。

だって…それって神殿の中では致命的なんじゃ。。。なるほど!!

そうか、そうよね。だから左遷されてあんなに荒れているのね。


『うーん。雪菜ってば斜め上が得意すぎるよ。神殿長すら感応力なんて持ってない。因みにこの国で持ってたのは、アーノルド一人だよ?』


えーー!!!

じゃあ、アーノルドってこの国にとって大切な人なんじゃないの?私ってば、庭の農作業にこき使っていた気がするんだけど…


「とにかく、アーノルド様の名を使って我らを愚弄するのはやめて頂きたい。神聖の名を汚しますぞ!!」怒声が響き渡る。


シンセイって…申請じゃないわよね?

ダメね。現実逃避癖がついたわ。


たぶん『神聖』の方よね、この場合。

不味いわ。

アーノルドにした医療行為が頭に浮かぶ。

カウントに入らないはずのファースト○○…。



アレは、ほら。人助けの為で…。


あーーー。もう完璧、不敬罪とかの予感しかしないし。


『ククク。雪菜ってば、自分がその神聖よりずっと上だって事分からないんだもの、な』


混乱した頭を抱えていた私はミニハリネズミ君が呟いた事は耳に入っていない。


「とにかく、今日はお帰り下さい。身分証を持参した暁には、お話を聞かせて頂きますので」


恐らく柔らかな笑みと共に放たれた言葉に、怒りんぼは、ぐぅと唸った後決め台詞を一つ。


『その言葉、忘れるなよ!!』


うーん。悪役の皆様。

その台詞、好きねえ。


「ちょっと、俺。出てくる」

後ろで囁かれた言葉に振り向くと、超美人が一人。


えーと、どなた様?


その間にも美人は、裏口から出てゆく気配がする。


キョトンとした私と玄関に潮を巻いて(こちらの世界でもあるのね…)戻ってきたハンナさんにサイラスが、一言。


「アレ…リカルドだから。変装は彼の特技の一つだよ」


笑顔で返された私は、ガクッと肩を落とす。

イケメンって、美人になるのね。

普段から女子やってるのに、完璧に敗北感満載なんだけど…。


その様子を見たサイラスの誤解によりまたもや姫抱き復活してベットへ一直線。


あー。

もう、慣れた。


ごめんなさい…ウソつきました。

もう、諦めた。の間違いです!!



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