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森に囲まれた!  作者: ちかず
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幻影園の消滅の後にーブルーノ視点ー


ーブルーノ視点ー


ただ、呆然と見ているしかなかったんだよ。

サイラスやリカルドがいるし、何よりこんなに劇的な展開についてゆけなくて。


目の前に立っている青年らしき人物が噂の 朝霧の精『ペペス』だと思うが、半信半疑だし。前にピテレから聞いていた妖精や精の掟だと、今までそれ自体が奇跡なのだと言われた。だから、リカルドの悲願は叶わないと。

沈む心は、まるで自分がトトラルを思う気持ちと重なった。だからやり切れない想いも。


それが、だ。


完全体となった朝霧の精の姿で立つ『ペペス』リカルドの悲願は叶ったのだ。


リカルドを見ればペペスと手を取り合うものの、まだ唖然とした表情のまま。

分かる。だって幻影園の消滅の瞬間に起こった変化は、これだけではなかったんだから。


柔らかな日差しに揺れる既に絶滅した草花や樹々、妖精や精が多く飛び交うこの風景。

信じられる?!

太古の昔の風景そのもの!!!

あり得ないよ。こんなの…。


あ、サイラスが動いた。

こちらも有り得ない事態が起こっていた。


マティさんだ。


颯爽と立つその姿は、凄いと思う。だけど…魔力が消えているよね?!


「マティ。その変化は…」とサイラス。


「魔力の必要が無くなったのだよ。だから魔力が消えただけだ。心配するな。

まあ、幻影園が消滅すると言う事は私の身体の中の妖精の能力も消滅したと言う事だ」


劇的変化を和やかにそう言いきって笑うマティさんの身体は2回り程大きくなっていた。これって、まさか本来のもの?だとすると騎士としての能力は??


天は二物も与えるんだな。


この変化は恐らく雪菜だと思う。

あの笛の音。間違いないよ。

こんなめちゃくちゃな事する人間は、彼女しかいない。

突然、居なくなってこれだもの。

普段のあのマイペースな彼女の言動からは、想像もつかない程の能力だよなぁ。


なんて考えていたら…。


ピンクの花吹雪???


何処から…あ!!!


霞から浮かび上がるように目の前にピンクの花を沢山つけた美しい並木道が一本見える。

幻が突如、現実になったような感覚だ。

その並木道をなんと、ギャビンさんと…。


雪菜?



初めて見る泣き顔の雪菜がギャビンさんの腕の中に収まって、こちらへと歩いて来た。


泣き顔は、初めて会う(ヒト)のようで…。


まさか別人?



ー雪菜視点ー


懐かしい桜並木の風景に胸が苦しくなり、でも久しぶりの涙は何故か心を軽くしてくれたわ。


は!!

アレは…。


桜並木の向こうに突然見えたのはサイラス達!!!


良かった…無事だったの。。。ん??


ええーーー!!!!

この風景ってば、幻影園は何処いったの?

ここは何処?


あのめっちゃ爽やかなイケメンはまさかのペペス?

さ、更にガタイの良い貴族の微笑みのあの人は、まさかのマティさん?相変わらず神がかった微笑みとか浮かべてるけど。


ん?サイラスとギャビンさんが熱中してお話し合いしてるから、私は慌てて降りた。


いや、降りようとして失敗した。

何故?

もう大丈夫よ!!


き、聞いてないし。


「雪菜殿、心配無用ですよ。安心してここにいて下さい。」

「ギャビン殿。お主もボロボロの様子。雪菜殿の事は安堵して私に託されよ」

「ふふふ。サイラス殿ともあろう者がおかしいですな。私がボロボロなのは服のみ。身体は万全です。いや、例え万全でなくても雪菜殿ならばいつでも」

「皇帝ともあろう者が任せる事も知らぬとは残念な。ドルタ皇帝陛下。さあ、こちらへ、あ!雪菜殿??」


私は強引におりましたとも。

えぇ、えぇ。もう勝手に暴れて降りてやりましたとも!!!


何、この精神的拷問系??

誰か止めて〜と見ても、目線が合わないし!!


ギャビン…、

だから捨てられた子犬の目で私を見ないで!!!


それに、サイラス!!

大金落とした人のガッカリ感やめて〜。



とにかく、ここが何処か誰か教えてーーー。


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