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森に囲まれた!  作者: ちかず
155/233

動く心の咲く花…雪菜視点…


ー雪菜視点ー


はい!!!

こちら、真っ白な視界になっております。

何故かって…。


抱きしめされているからーー!!!!!


はぁはぁ。

つ、疲れる。こんな事態経験なんてある訳ない。そりゃOLやってもう10年よ。

嫌味な上司も、訳の分からないクレーム客も残業の果てにスーツのまま寝て顔に跡がついてずる休みした事もあるわ。


でもね。

見上げる勇気も無いほど柔らかくでも決して!!逃れられない強さで抱きこまれているとか。

え?

この場合何が正解?


悲鳴…は違うか。

赤い頬に照れた可愛い表情?

そんなの最も無理な注文よ。


あ、暴れたい気持ちと固まる身体に挟まれて出たのは


「あ、あの」


の一言。


このヘタレめ。って心の中で呟くけれど声は掠れて殆ど音にならず。

はぁ、これじゃあ出した勇気の無駄に…。


なってない!!

ギャビンってば、いつ王子様に転職したの?

頼りになる皇帝陛下的な雰囲気が皆無で、暖かな笑顔はまるで恋人に向けられるようで。


「良かった、雪菜殿目覚めたのだな」


おぉ、声まで変えるとかなんの技?

イケメン技かい!!


固まるのに忙しい私に頓着せずに続く言葉に驚く。


「雪菜殿と精達のおかげで噴火は免れました。それはこの世界にとり考えられぬ程の僥倖でありますが、それ以上にこの変化が」


良かったぁ。

何か途中から記憶が確かじゃないけど、ミニハリネズミ達はやったのね。

凄いわ。


でも、変化って何だろう?


やっと動かせた首を回してみれば…。


ん?

ここは何処?


や、山は?

その上、何か見慣れた風景にも見えるのは気のせいかしら?



桜並木とか…。



日本の中でも、一番愛されている桜。

お婆ちゃんの山にも美しい山桜が咲く。

山の奥に咲く山桜は周囲を大人5人分ある大木。


『この山桜はな、この山の守神様じゃ。桜はいつも我々を見守ってくださっておる』


そんな言葉を思い出すわ。

美しい桜並木は、ソメイヨシノだけじゃなくから。


様々な桜咲く不思議な桜並木。

開花時期が違う種類が咲き誇る美しい桜並木を確かな足取りで進むギャビンを見上げると何故か困った表情で。


何故?


「雪菜殿。何か悲しい事がありましたか?もしかして、故郷を思い出して…」


そう言ったきり黙るギャビンに、私は自分が泣いていた事に気付いた。

そして、この世界で初めてホームシックになったのだと知った。


ううん、違うわ。

やっとホームシックになれたのかも。


そんな風に思ってた私は気づかなかった。

肩の力が抜けたからだと。

さっきまで緊張してた姫抱きなのに、肩の力が抜けたと言うことの意味を知らぬまま。


目の前に見えてきた驚く場面に、慌てる事になるのだけど。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ホームシックになれたって、すてきな表現ですね。 イケメン技!おもろっ。
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