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森に囲まれた!  作者: ちかず
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リュカ様の消滅?!


ーギャビン視点ー


何が起こったか把握する前に、雪菜殿の手のひらには小指ほどのリュカ様の姿が。

一緒にショックを受けてる雪菜殿がそっと手を伸ばしたその時。


微かに笑ったリュカ様が淡雪のように崩れさる。最後の台詞は空気に溶けるように響いた。


『防げなかった。どうかこの世界の子供らを守って。僅かな時しか稼げない。

僕が最後の力を振り絞っている間に避難を頼むよ。


山が火を噴くから…』


山が火を噴く??

ま・さ・か…。


「ぎゃぁーー!!リュカ様ってば消えないで。頑張るから最後とか言わないで。いやぁ!」


泣きながら手のひらに既に姿のないリュカ様をまるで守るように抱きしめて泣く雪菜殿に我にかえる。


「雪菜殿。雪菜殿。

山が火を噴くとは、この世界においては大変な事なのです。言い伝えがあります。

世界が割れる時山が火を噴き地が割れると。

リュカ様がお一人で食止めて下さる間に我が国のみならず世界全てへ避難の呼びかけをしなくては…」


私の言葉に泣きながら雪菜殿が見上げている。私の言った言葉を噛み砕くように口の中で呟きて泣き止んだ。


と、思ったら私を睨みつけてる。

何故?


「ギャビンの悪い癖だよ。言い伝えとかは破る為にあるんだから。

お婆ちゃんが言ってた。言い伝えとは忠告だって。このままではダメよって意味なの。

だから、打開策があるはず」



『火山活動だから、マグマがあるよね。マグマの出口を変えればもしかして山から噴き出すとか防げるとかないかなぁ』

口の中でぶつぶつ呟く彼女は集中している。

だから気づいていない。


私が彼女を抱き上げながら走っている事を。

リュカ様が消えた瞬間から大地にヒビが入りだし、亀裂は目の前に迫る。

何故か体力も魔力も全回復した私は風魔法で時折身体を浮かしながら飛ぶように下山を始めていた。


そう…魔法まで使える。

これこそがリュカ様が本当に消滅したという意味する。忸怩たる思いを胸に彼女を守る事に集中する。

崩れる崖から落ちる大岩を避け、毒の花畑を魔力でバリアを作って避け狙われる様に落ちてくる雷を打ち返し。


いつもなら周りの状況に聡い彼女は、まだ思案中だ。


お?彼女が笑顔で私を見上げた。

「分かった。出来るわ、山が火を噴かない方法よ。

ミニハリネズミちゃん達の力を借り…えーー!!!、

これ何、何でこんな世紀末的な状況に?」


慌て出す彼女を更に抱きしめると、顔を赤らめて固まった。

良かった、降り落ちてしまうところだ。

役得など下世話な気持ちに蓋をして集中する私と固まった彼女に声がした。


『雪菜、呼んだ?

皆んな集めたから笛吹いて。とりあえずパワー頂戴』


何処にも姿が見えないが、彼女は何処か見つめて頷いている。

笛を懐から取り出すと一節吹いた。


不思議な笛。

何処からで出来たのか?懐には収まらない形なのに。


♪♪♪♭♪♪♪♭♪♪♪〜


ピタッと全てが止まる。


揺れもひび割れも雷や暴風も、だ。

平坦な草原となった場所にそっと彼女を下ろすと彼女が頼みことをする。


草原に向かって。



「お願いーーー!!!

力を貸して下さい。マグマの通り道を地の底に作って海へと逃して」


マグマ?

地の底に街?

海へ?


彼女が目指す先は不明だが、草原がざわざわと揺れる。

風もないのに。

草しかないのに、何か他にもいる様に感じた。そしてそれは一斉に蠢きだした。


そう、感じた。


見えないが、何か大きな事がおきている。

確信がある。


何故なら雪菜殿だからだ。

そして、彼女が笑顔で笛を吹き続けているから。


ならば、私のする事はひとつ。

彼女を守るのみ。


四方から飛んでくる毒虫を剣を持って除外する。この毒虫は、異様だ。

まるで悪意を持って襲う様に雪菜殿のみ狙う。


だが、私の体力の続く限り彼女には掠らせもしない。

私は丹田に力を込めて剣を振るう。


出来れば、このまま彼女の騎士で在りたい。

押し殺した本心が滲む。


皇帝である我が身をいっとき忘れて…




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