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森に囲まれた!  作者: ちかず
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救出作戦の後でー神鳥課長視点ー


ー神鳥課長視点ー


諦めの悪い部下。

それが春川の代名詞だったな。


ため息が溢れるのは、安堵からか。


まさかの『オゼルの大刀』本体を投げつけるとは…。

流石の我が主人も、かなりパワーを消費した様だ。



だが…。

やり遂げた。


マティと言う者は、辛うじて救われた。

更には元凶とも言えるあの石のあの姿…。


『雪菜よ、

あの姿の意味を理解しているのか?


アレこそ、『靄鬼』の秘密にしてその本来の姿。

穢された妖精や精達の成れの果て。

それが年月を経てあの『靄鬼』となるのだ。


勝手に湧き出る訳ではない。

人が、人の欲望がそれを生み出すのだ』


春川の青ざめた表情から、ショックが汲み取れる。

彼女からすれば、『そんな事を何故……』となるのだろうが人間は案外汚い。

己の欲望の為に、他者を振り返らない者たちもいるのだ。


先程のバカがそれだ。



「課長!!

もう、聞いてますか?」


ん?

しまった。話しかけられていたのか?

治療に専念していると思っていたのに…。


「だ・か・ら!!!

この場所へ皆んなを連れてきても良いですか?それとも…」


なるほど。遠慮がちな彼女らしい。


「もちろん、俺がマティ殿をお連れしよう。

この場所は、我が主人や春川の笛のお陰で浄化されたが普通の人間は近寄らない方が良い。さあ、行くぞ!」


単なる人間であった頃なら思いもしない力を得た。

春川の驚きも「もう、課長ってば待ってください!!」とか騒いでいるのを他所にさっさとマティ殿を抱き上げて階段を登る。


エペも側についていたしな…。

無論、雪菜のだ。


雪菜の後ろには、沢山の土の精が並んでいた。


しかし、ミニなハリネズミとか漫画の世界だな。カルガモの親鳥に彼女が見えるよ…。

ちょっと彼女が嬉しそうだから、俺はいち早く外へと急ごう。

あのサイラスとか言う騎士。

あれは…只者では無い。


奴ならば、ここへ潜る方法を…。



やはりか。。。



階段を降りる靴音がする。

もちろん、人間の耳には聞こえないほどの音。

この辺りも奴の実力が見え隠れする。


春川は、優しいお兄さん程度だろうが。

ふぅ。


不味いな。

マティ殿の意識がまた、途切れがちに…。



「「「マティ!!!」」」


あと1階分の階段で地上に出れるというところで、サイラス達が現れた。


ほう。

魔法石を使ったか。


さすが騎士だな。


彼らにマティ殿を預けて振り返れば、エペの背に乗った春川が怖がってしがみついてるのが見える!!!


エペめ。


美味しいところを持っていったな。

奴は俺よりも純粋な隷獣。

力の差は間違いなく、かなりある。


それを埋めるのは今のところ、春川を俺の方がより理解しているところか…。


「課長ーーー!!

ありがとうございました。すっごく心強かったです!!」


満面の笑みを向けて手を振る彼女に、思わず俺も笑みが溢れる。

周囲からどよめきが起きた気がしたが…そんなもの気にならない。



地上で本格的なマティ殿の治癒が始める。

俺もサポートしつつも、彼女の的確な診断に驚くばかりだ。

知識だけに頼らない。


観察力。


それは春川の最も優れたものの一つだ。


安定したマティ殿の様子にうっすら涙を浮かべた春川に慌てる騎士達。

和やかなこの場から俺は少し離れる。


誰にも見られない様にそっと袖を巻くる。



腕に巻きたく草の刺青…。



やっぱり…。


あの時…。


後悔はしていない。

(ただ、この刺青が身体中に広がれば…)


もう少し…もう少しだけ彼女の側で。

そう願いながらパワーを少し使って刺青を消した。

いや、本当は『見えなく細工した』…のだ…が。


願いを叶える為に…。




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