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森に囲まれた!  作者: ちかず
131/233

決闘!!


ー雪菜視点ー


「さぁ、ここにいて下さい。

一番よく見えますよ!!」


興奮は、ちっとも私には伝わらない。


レジーの部下の皆さんは素顔がない。

いや、語弊があるわ。

えーと。素顔が分からない魔法みたいな仮面を付けてるの。


でもこの声色…間違いなく嬉しそうね。



「雪菜ぁーーーー!!!」


うっ!!

慣れたけど。慣れたけどなんでいつも抱きつくのかしら…レジーさん。

と、聞いたら聖騎士の女性騎士さんの伝統的挨拶法?とか。


。。。


ま、いいか。

レジーさんは、意外に心遣いがあって色々と心配りしてくれる。


旅の準備も。

残るアーノルド達への支援も。


そのどれより力を入れたのが、この決闘。

団員の皆さんが集まってあっという間に出来上がった闘技場。


まぁ、アレロアさんの団員さんが施した魔法のバリア的なのが一番大切らしい。


それほどの戦いなの?


いつものようにどこ吹く風の課長の涼しげな顔に腹が立つわ。

心配してるのに…こういう所が苦手なのよ!!


アーノルドがやけにゲルガー達に入れ知恵してるし。

エバンスさんまで、肩入れしてる?


『さぁ、静まれ。

審判員を申し遣ったバズールだ。

俺の言う事には、必ず従え、いいな?』


ん?

声が拡散してる?


まさかのマイク??


「雪菜ってば。こんなの魔法の基本中の基本!!ふふふ(でも心配してる顔も可愛いわね…)心配し過ぎ!!

大丈夫よ?

完全体のバズール殿相手なら、ねじ伏せれば一発よ!」


ね、ねじ伏せる??


審判員って、そんな役割だっけ?   


レジーの説明に更に不安要素が増加しただけのような。

周りのギャラリーからの怒声に近い掛け声にビビってると、課長達がこちら向いて一礼した。


そしたら、ゲルガー達も観客も全員が立ち上がってまさかのうち揃っての一礼??



えーー!!!



人生初のどうして良いか分かんない状況を他所に戦いは始まった…。




ーゲルガー視点ー


作戦は練った。

無論、バレンの指示によるものだ。


先手は俺だ。

まずは、奴の使えない魔法ではなく肉弾戦で相手の出方を探る。


常套手段だ。



奴のそばに居るおかしな獣は『俺は知らん。お前一人でやれ!』と言ったと思うとさっさと雪菜殿の近くへ。


「クッソー、馬鹿にしやがって!!

雪菜殿の近くへ勝手に行くなんて…許せない!!」心の中の声がうっかり表に出たが皆も同じらしい。


観客席に座る不安そうな雪菜殿の顔を見るとさっさと決める必要を感じる。

身体に漲る力を込めて前を向いた。


相変わらずだな…。

まぁ良い。


とにかく!!

実力なき者は去れ…だ!!


身体に力を込めて防御体制を作り、最初の一撃を待つ。

まずは様子伺いだ(素人相手だしな…)

さてと、先手を譲り攻撃を受けてから踏み込むのが良いか…


そんな事を考えていたら、突然奴が動いた!!

しかもだ…ふぁっと動いた奴は、まるで空気のように軽い足取りで一気に距離を詰め俺の横に!!

俺は、咄嗟に大きく飛び退くと、呼吸を整える。


奴はいったいなんだ?!

さっきの隙だらけはどこへ?


あれは!!


いつの間にか、奴見た事もない大刀を構えているではないか!!

奴の武器は小さいのではなかったのか?!

慌てては不味い。

とにかく俺は、急遽作戦変更して蹴りを数発入れる。

もう遠慮は要らない。


俺の蹴りは、1秒間数十発の連打だ。

普通の人間ならば2発目まで保たないモノ。


さぁ、これで…??


堪えてない?!

アレを軽く受けて止め涼しい顔とは…。


そうか、全力で行かねば…。


俺は更に身体中の力を練ると右手に込めながら、身体を捻り拳を突き出す!!

俺の手と共に周りの空気を巻き込んでゴゥと音が出る。

竜巻の様な渦を作った渾身の一撃を


なんと…まさか避けたのか?

しかし、ここから連携が始まる。


一瞬の隙を見つけたメゼルの炎が大地を舐めるように奴を襲った。


今度こそ…!!


奴は毛ほども気にした様子なく立ったまま、片手で炎を払ったではないか!!


休む暇を与えまいとここからは、コンビネーションプレイとなる。右方向から俺…左方向からメゼル。


そして、正面からバレン。


三位一体の攻撃は、普通ならば一撃でも必殺技と言えるモノばかり。

それを次々と繰り出す。

これでも、それぞれ各チームに帰れば精鋭なのだ。


じりじりと後ろへ下がる奴に、ようやく突破口が見えたかと思った俺の耳にあの獣の声が聞こえてきた。


『おい。

そんな暇はない。さっさとカタをつけろ。

遊んでるんじゃない!!』


その時、メゼルの炎が獄炎とまで昇華する。

こんな時にレベルアップとは…。

負けじの俺の拳もトルネードを伴って繰り出すと氷の粒まで生まれ始めた。

俺もまさかのレベルアップか?

おぉ、バレンもか?


が…そんなムードはここまでだった。


「そうだな。

主様に叱られないうちにケリをつけるか」


その言葉の途端…。


俺の顔は地面にあった。

何があったか分からない。


分かるのは、身体がバラバラな感覚と倒された事のみで…。


「ゲランー!メゼルー!バレンー!」

悲鳴の様な雪菜殿の声が近づいて来る。


「酷い!!課長ってばここまで仲間を痛めつける人だとは思わなかった!!」

怒りに満ちた雪菜殿の声とは違い手は優しさに満ちていた。


雪菜殿特製の薬。

その凄さを知らぬ聖騎士はいない。


悔しさと護衛失格となった現実の重みに打ちのめされていると…。


『おい。コイツら少しは使いものになる。

連れて行けよ。

雪菜に恨まれるぞ?お前…』



結局、この一言が効いたらしく我々と雪菜殿。そして刀の従者と獣。

途中までレジー様が先導されると聞く。


なるほど…マティ様の危機的な状況だとの噂は真実なのか…。


雪菜殿の薬ですっかり元気になった我々は更なるレベルアップを誓い護衛の任に就いた。


(まぁ…本心は雪辱を果たすが真実だが…)


元気になった我らに、笑顔の雪菜殿に一層の忠誠を誓いバーラド村を後にする。







小さな刀は見るものによって姿が違う。

雪菜を護る時、本来の力を発揮する。


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