え?いつの間に決闘??
ー雪菜視点ー
しなやかな跳躍で一瞬で私の横に来た!!
び、びっくりしたぁ。
とは言え、真っ黒な獣は何処か親しみが感じられ怖さはない。
何故だろう…。
見た目は豹なんだけど。
近しい気がするのよ。
[お主…ちゃんと聞いてやれ。前に会ってるぞ?張り切った分だけ本人が拗ねている]
カンプフの言葉にジッと見れば…。
あれ?
バズールが跪いている?
「ご助力かたじけない」
え?
知ってるの?
「雪菜殿。我等は以前に人形をとったかの方からの助言に助けられました。
お忘れですか?
バンブル殿をお訪ねした折です…
『オゼルの大刀』のガブゼと言う」
「ああーーーー!!!
分かったわ。あの顔がはっきり見えない人ね」バズールさんの言葉を遮って答えれば笑顔が戻ってきた。
正解ね?
「ここからは、我々で警護しよう。
安心して委ねてくれ」
神鳥課長の台詞は、どうしてこう敵を作るのかしら?
今まで護衛してくれたゲラン達が色めき立ってるわ。
そうよね…。
今まで敵方だしね。
「雪菜殿。そうではありません。
雪菜殿のご発言から我等はかの者を信用する事に致しました。
しかし、我らも聖騎士団。長きにわたり訓練を積んで参りました。いくら『オゼルの大刀』の加護をあっても…」
まあ!
珍しいわ。ゲランが言い淀むなんて。
要するに実力を疑われてるのね、課長ってば。
まぁ、日本は平和だし元はヒョロヒョロだもの。私も強い課長は考えにくいし。
『石の声』は、ちょっとしか聞こえなかったけど『ルーベントへ向かえ』のみで。
でも、分かるの。
サイラス達が困ってるって。
急がなきゃと、言ったから護衛問題が勃発した訳。
アーノルドとエバンスさんはお留守番で。
エバンスさん曰く…「私は私の役に立つ場所に居たいと思います。王都へ戻りベレット殿の影となり皇帝陛下不在に、微力ながら力添えをしたいと思います」
うーん。
エバンスさんは、私が出会った中で一番変わったわ。人はこんなにも変われるのね。
キッパリした笑顔のエバンスさんは、もう出立した後で。
もちろん、これからバズールさんも帰途につく。護衛団は王都にあるべきもの。
アーノルドはバーラド村で『大森林』を見守る予定。
アレロアは身体が治ってから合流予定と伝えたら、突然「もう、治りました」とか言って皆んなに怒られてたわ。
特にバズールさんにね。
しかし、あの人は不死身ね。
あんなに満身創痍だったのに「いやぁ、雪菜殿のご馳走は傷に効きますなぁ」だって!!
ちょっとどん引くわ。。
あら?
考え事してから、どうしてこうなったの?
決闘って…。
中世じゃあるまいし。
「雪菜殿。
これは騎士ならば当然の結末。
実力こそ全て。力無き者は去れ!!
コレが掟です」
バズールの笑顔は何処か胡散臭いわ。
「雪菜。実力不足は命取りがこの世界の常識。だからこその決闘です。
…ですが、騎士たちは決闘狂が多い。特にバズール殿は無敗の王者ですし」
アーノルドの説明は最後は超小声でした。
なるほど…あの笑顔の理由は分かったわ。
女子には、永遠に分からない男の戦闘狂かぁ。
「ふふふ。
雪菜ってば。最も決闘好きはジェマよ」
!!!!!
び、び、びっくりしたーー!!!!!
背後にレジーとか!
どっから来たの?
お願いだから声かけて!!
(抱きつき魔だから余計びっくりするしーー!)
「面白いわね。
『オゼルの大刀』の従者の実力。見せてもらいましょう!!」
。。。
ここにも居た…戦闘狂。
え?
「だからぁ!!
我が部隊を集めたから、決闘場の整備は任せてね!!」
ダメだこりゃ。
話はどんどん大きくなる。
あ!
[聖騎士VS魔剣の従者 雪菜殿の近くに行くのは誰なのか!!]
看板…いつの間に?
え?
「聖騎士に賭ける人はいないか?
まだ、オッズは決まってないよーー!」
見れば遠くでゲランが凄い勢いで剣技の準備体操中。メゼルの手のひらには炎が!!
バレンが耳もとに囁いて笑ってるし!!
絶対、課長不利!!
怪我する…いいえ、命取りに?!
「課長!!
コレってば、早く降参して方が良いですって!」
慌てた私が止めようとしたのに…。
首を横に振って「お任せ下さい。初めて本気でやりたい事が出来ましたから…」
ぎゃぁーー!!
でたぁ!課長の薄ら笑い。
あれって最強なのよ。
大丈夫…かな?
大丈夫よね??




