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森に囲まれた!  作者: ちかず
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懐かれてます?!


ー雪菜視点ー


親玉の気絶と共に私達は部屋を出た。

今回の事は、誰も予想しない事態らしいし。


アレロアさんも意識を取り戻したから、とにかく話し合いをしようと訪ねた。


「なるほど…。

そんな事情など予測外過ぎて、今すぐは何とも言えないですね。

ただ、言えるのは次元を超える魔法は天才と言われたフローラ殿ですら己の命と引き換えだと言うことです。

それ以上は何とも…」


そうよね。

彼らが犯した罪がそれで帳消しになる程軽いモノではないし。


うーん…。

やっぱり、図書館に戻ってブルーレルに…ん?


何??


アレロアさんが叫んでる?!


何で??



あーーーーー!!!!!



歩くナイフ??


ぎゃぁーー!!

私に張り付いた!!!



取ってーー!!!!



。。。



結論的に言えば『オゼルの大刀』が私のモノになりました。


いや、欲しくないわよ。

刀とか…厨二病の男子じゃないわよ。

三十路のOLに必要ないもの。


でも。

テーブルに置いても。


部屋を離れても。


付いてきます『オゼルの大刀』改めて『オゼルのフルーツナイフ』



ハハハ…笑うしかない。

完全にフルーツナイフにまで変化した責任とか絶対にとれない…サイラスに何て謝ろう…。



悩む私を他所に、何故かエイダムさんが興奮していたわ。


ん?

凄いこと?


「雪菜。

『オゼルの大刀』が主人を選ぶと言うのは、誰でも知る事。だが、その姿を変えてまで主人へ力を貸すなんて前代未聞だ。

恐らく…新たな魔剣の誕生なのだろうな」とアーノルド。



え?だろうな、とか落ち着いて言われても…。


「とにかく、とても凄いことです!!

そんな嫌そうなお顔をされなくても…。

魔剣は、主人の意向には逆らわないと言われますから人を傷つける事態にはならないかと」


エイダムさんが正気に戻って私に言ってくれた一言にホッとする。

そう。


なら、良かったと。


話は『最果ての一味』と『雪星の雫』の事に戻る。


解決には、ブルーレルが必要だと思った私が皆んなを図書館へと招待する…招待??


出来ないーーー!!!



何で??

戻れないの??


「雪菜、落ち着いて。

たぶん、『精霊樹』の生まれ変わりによって『大森林』に何か緊急事態が起こって受け入れられないんだろう。

雪菜、君だけはいずれ必ず戻れる」

力強いアーノルドの言葉に少し気持ちが落ち着いたわ。



そうよね…。

ブルーレルだもの…きっと!!


私は自分に出来る事をしなきゃね。


「春川。

俺も参加させてくれないか?」


何と…あの身体で神鳥課長がドアに立ってる?!


しかもめっちゃ皆んなが睨んでいるし。


「俺ならば、キチンと現状を説明出来る。

特に、我らのお頭を救ってくれた恩人だ。

出来る限り『雪星の雫』について話そう」


考え込んでいたら、周りから反対意見が噴出する。


「雪菜殿。

我々、聖騎士団の者たちにとっては此奴らの言う事など信じるに能わないモノ!!」

「雪菜。人が良いのは素敵だが今は封印した方が良いのでは?」

アーノルドまで。



でも…。


「あのね。この人が私と同じ世界からの異世界人だから言うのではないのよ。

今はヒントを一つでも集めた方がいいと。

それにね…。

まぁ、長い付き合いだから嘘は見抜けると思うわ!!」


私の言葉にすごーく静まりかえった後、アレロアさんが一言。


「とりあえずお聞かせ願いますか?」



ーアーノルド視点ー


こんな事態になるとは…。


我々が森の外で見た戦場は悲惨の一言に尽きた。


倒れた者達の呻き声と血の匂いが充満する戦場そのもの。


女性である雪菜には、と気遣いつつ見ればなんと敵方に付き添う姿が目に入る。


慌てた俺への一言に周りも凍りつく。


『医療には、敵味方はない。』


胸の奥深く突き刺さった。


その後も必死で働く雪菜を手伝おうとサイ村長以下駆けつけた聖騎士団も参加しての数時間。


不可能を可能した雪菜の治癒術。


一人の犠牲も出さず、敵方さえ収容した。


しかしだ。

その中に怪しい目つきの奴を見つけた。


明らかに雪菜を見知った人間の視線。

しかも、アレは…。




『最果ての一味』が異世界人の集まりだと知った我々の驚愕と言ったら。

親玉を救う雪菜にも慌てた。


誰にでも、簡単に己れの持ち得る全てを注いでの治癒への姿勢は素晴らしいと思う…が。


『オゼルの大刀』の変化と言い、図書館への転移不能と言い。

あり得ない事態は進むも何故か雪菜の隣ならば力が湧いてくる。


彼女の支えになりたい。

初めて懐く熱い欲望と言えるほどの願い。



今の憂慮は一つだけ…。


『カンドリカチョウ』なる男のみ…だな。


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