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森に囲まれた!  作者: ちかず
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囁く声は?!


ー雪菜視点ー


声がする…。


それはたぶん…知ってる声。


『ありがとう。

この世界をいつか覆い尽くし滅びを待つのみと思っていた。


あとは彼奴らのみだな…。

アレを生み出したのは、人間。

其方ならば、きっと…』



ーアーノルド視点ー


夢を見ているのだろうか?

長い長い夢を…。


あまりの展開に頭がついてゆけない。

いや、心が拒否する。


闇の精霊が担う大切な役割。

精霊樹の望む未来。


そのどれもが、我々の思惑とはかけ離れたモノで。



『大森林』の精霊は、恐らく精霊樹を守ろうとして暴走を繰り返して。

精霊樹も再生への道を失って…。



雪菜。

君がいなければ。


この世界はいったい…。

背中に冷たいモノが流れる。


真の闇に身を委ねる瞬間、我々は抵抗した。

闇は、恐ろしい。

だから、無闇に怖がったのだ。


その時、雪菜の声がした。


「聞いて。

闇は、夜は次の朝の為にあるもの。

今、精霊樹は再生の時を迎えるの。


それには闇の妖精のゲルガーの力が必要。

生まれ変わる精霊樹の為。

私達は、大丈夫よ。

信じましょう…」


いつもの優しい雪菜ではなく、どこか落ち着いた大人の雪菜だった。

諭すように言われた言葉に見えないと分かっていても頷いた。


そして、暫く意識を失って…。


どれほど経ったのだろう?

ここは?



目の覚めた我々が居たのは、なんとあの図書館の秘密の部屋だったのだ。


どうなったのだ?


大森林は?

精霊樹は?


いや、雪菜!!


我にかえって、焦った俺が辺りを見れば、ゲルガーの腕の中に抱き留められた雪菜の姿が。


『心配は要らぬ。

ふふふ…気づくか、其方は。我が誰であるのかを…ま、それも良かろう。

さて、事は済んだ。

我も去ろう。

この身体の居心地は良かったが限界のようだ。

此奴にはかなりの重労働だった。

暫し頼んだぞ!』


耳で聞こえる声では無い。

だが、頭の中に響く声はどこかゲルガーでない。


恐らくは…。

頭を振って考えるのをやめる。

それが身の為だと。


あ!!!


ゲルガーが雪菜ごと崩れ落ちた!!!


素早くエイダム殿が2人を抱き留めた!!!


…エイダム殿の方が早かったのだ…。



近くにいたブルーレルも手伝って、ゲルガーを寝かせる。


俺は素早く寝かせる2人から雪菜は受け取った。



ふふふ…役得をこの際発揮しなくては。



遠い存在になりかけた先程の雪菜が頭を霞めながらも、寝顔まで笑顔の雪菜に愛おしさが募る。


こんな俺でも少しは君の…。


「大変だ。

森の外が賑やかになってる。

ほら、行くぞ!!」


ブルーレルの言葉の振り向いた途端!!


俺たちは秘密の部屋から森の外へと飛び出した。


ブルーレル?

いったい何を…、


辺りを見れば…傷だらけのドルタ帝国の兵士が何人も倒れていた。


いや、1人だけ。


大柄の男が1人だけ、刀を杖にして辛うじて立っていた。



「其方は、アーノルド殿か?


そして腕の中は…雪菜殿なのか!!!

遂に…遂に希望が叶う時が…」


天を仰いで叫ぶ彼からは、痛切な感情が伝わった。


いったい…何が。




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